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7.必然の転機

百五十五話 愚かなる法王の選択

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155話 予想外の状況/新たな報復者

ギルド内部どころか外に居る人達の注目を一身に浴びるその兵士が発するのは?
「ほっほほっほおぉ、くっここくがんっが」
「落ち着けよ、どうしたってんだ?これでも飲んどけ」
近くにいた冒険者が飲み物を差し出し、兵士が一気に煽り飲む
「っふぅ~、ありがとよ助かった、よし聞いて驚くんじゃねぇぞ?」
本人が冗談っぽく言っているためか周囲ではやいのやいの言っている、そして
大きく息を吐くと眼を細め空気を引き締める、途端に空気はひりつくようになり
冒険者達は誰もが一斉に口を閉じ、引き締めた顔を向け言葉を待つ
「法国のバカどもが妖精の森に火を放ちやがった!」
「なっ!?」
「はっ!?」
「正気か!?」
「法国が正気なわけねぇだろ!頭大丈夫か!?」
「それもそうだな、それにしても頭イカれてるぜ」
「人類滅ぼす気かよあいつら」
「場合によっちゃ星自体死んじまうってのに」
「だから最近付近の魔物が活性化したり移動してたのか?」
「かもな、取り敢えず現状はどうなんだ?」
「被害自体は大きくないようだが、これで妖精も本格的に参戦するだろうな」
「まぁ参加する可能性は元からあったしな、今までは人間同士の争いだったから
関わって来なかったってだけで」
「つうかこうなると国はどうすんだろうな」
「もう兵士向かわせる必要もねぇだろうし」
「妖精の報復が始まっちまうし退かせるんじゃね?」
そこから1時間近く騒ぎのような話し合いになり、しかし結果は国の選択に戻る
「一気に静かになったわね」
「一通り騒いでたし結論が出たんでしょ」
「話す内容も無くなったんじゃない?」
そう誰もが座って黙りこくっていて、さっきまで騒いでいたのはなんだったのか
まるで幻覚でも見ていたんじゃないかと思うほど、異様な程に静かになっている
「それにしてもギルドの職員も居なくなっちゃったし、午後はどうしようか」
「もうお昼だしなんか食べてからにしようか?」
「そうねぇ、思えばお腹減ってきたかも」
「ふむ···だったら行ってくるといい、どうせ暫く待つしかないしな」
「そうねここで待ってるだけじゃ時間の無駄だし」
「じゃ行ってくるね」
「依頼も貼り出される時間だけどどうなるか分かんないしね、じゃ」
3人は出ていったが他には誰も動かない、この様子だと待機命令でも出ているのか
と言わんばかりで、そうでないなら異様どころか恐ろしいと言える状況だろう
そこから静かなまま暫く時間が経ち、職員がバタバタと動きだした
「えぇっと皆さん、申し訳ありませんが暫くの間依頼に制限がかかります」
「ん?活動範囲の制限はもうあるが···それじゃなく依頼の制限?」
「正確には更なる活動範囲の制限になります、今までは依頼であれば幾らか
活動許可が出ましたが今回はそれもありません」
「んで暫くってのは?いつまでだ?」
「大体2~3日ですかね、今回の戦争が終わる頃には制限が解ける手筈ですから」
「あいよ、しゃあねぇか面倒に巻き込まれたくもねぇしな」
それぞれチームだろうか?短い話し合いが終わるとそのまま皆出ていく
聞く限りどうやら依頼の更新はなさそうだ、さてどうしたものか···困ったな
メンバーが増えて直ぐに躓くことになるとは、ダンジョンにでも行きたかったが
暫くは一緒にいてもらって仲良くなって貰うしかないか、もう問題無さそうだけど
しかしやることが無い、訳でもないが魔法をチマチマ使って訓練する位か
どうしたものか、ここを出ても特に行くところも無いからな···
あぁそうだ機体の確認にでもいくか、現状人には見つかってないだろうけど
魔物には見つかっているかもしれないし、状態の確認はしておくべきだろう
既に職員も居なくなって誰もいない場所にいつまでもいるのもあれだし
適当に店でも回ってみるか?知らない店もかなり多いし行くのもありかも
ん?いつの間にか外がおもったよりも静かになっている、何かあったのだろうか
扉を開ければ静かさの割に人が多くいる、しかし何故か異様に静かだ
話し声も音も聞こえない一切の音が無くなっている···と言う訳でもない
自分の足音や鎧に布のこすれる音や扉を開いた時はちゃんと聞こえている
異様なのはそこからだ、付近ですら喋っているだろう口を動かしている人がいるし
楽器を鳴らしたり板同士をハンマーで打ち付けている人もいる、こっちは音が
出ない方がおかしいだろう、ギルドに無音や遮音の結界とかが張られている···
といった様子もないし当然周囲に張られている訳もない、どうなっている?
静かだ···静かすぎる、いや最早一切の音が無い無音の世界と言った方がいいな
しかし周囲に変化も無ければ誰も気にした様子は無い、となると自分だけか?
ふーむ?疲れている訳でもないしどうしたのか、特に違和感は感じないのだが
まぁ今はいいか、取り敢えず人気の無い場所へ行って機体の場所へ転移で跳ぶ
やはりここを登録していてよかったな、どうやら荒らされている様子も無い
魔物も近くまで来ているのか木の実の残骸が近くに散らばっているがそれだけだ
小型であれば害もないだろう、まぁ大きいものに不用意に近付こうとしないだけ
なのかもしれないが···やはり音が聞こえないな、耳がおかしくなったのか?
肉体の感覚は変わってない、触れた物の触感は分かるし流れて触れる空気だって
ちゃんと分かるし地面を踏んでいる感覚もしっかりある、分からん···
とは言え機体の確認も終わったし帰るか···いや少し歩き回ろう
一応街の周囲なら出歩いても問題ないようだし、少し経てば治るかもしれない
下に飛び降りる···ん?なぜ躊躇も意味もなく飛び降りた?いや確かに速く下に着く
だろうがこれだけの高度、飛び降りれば無傷ではすまないと判っているだろうに
だがもう飛び降りた後今さら後悔してももう遅い、何より一番下にいくために
途中にある岩場へと落ちないよう跳んで距離をとっている、これでは戻れないし
何処か途中に掴まったり降りたり出来ない、仕方無く着地するため体勢を整える
恐らく足が折れるのではないかと思う、まぁ砕けるまではいかないと思っている
着地と同時に強烈な衝撃を感じ、直ぐにそれが足から頭部へと上がっていく
その衝撃に体は硬直したまま、足が無事でありそうな事に安堵していると
ズブリと足下が沈み地面に呑み込まれていく、まるで泥の様に沈んでいくが
足は一向に上がらない、力が入らないわけでも動かない訳でもない、かといって
歩ける訳でもなく、呑み込まれるこの泥のような地面から抜け出せないのだ
うーむあんまり長い事土の中にいると、流石に私も窒息死するかもしれない
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