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13.皇族の帰還・再動

二百六十七話 皇族での初仕事・面通し

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267話 一応皇族の仲間入りだから

「吸血・・・鬼・・・王?」
「どうした?そんな呆けた顔をして、皇帝のする顔では無いぞ」
「まぁ皇帝じゃ・・・って、そんなんじゃなくて吸血鬼王って何?仲良くって?!」
「ん?あぁ・・・お前は会った事も聞いた事も無かったのか?」
「無い無い、その通り聞いた事も!」
「そうだったか、言葉通り吸血鬼の王の事だ、城の裏手に城が見えるだろう?」
「あぁ・・・なんか真昼でも暗く見えるあの赤い城壁の城?」
「そうだ、あそこの主の事だ」
「吸血鬼ってそんな知能あったの?魔物でしょ?」
「見た目は人間と殆ど変わらんぞ・・・普段はな」
最後にボソッと言った、興奮している彼女には聞こえていないようだが・・・
「えぇっ!普通に獣みたいなのと思ってた・・・」
「取り敢えず皇位継承の前に彼に面通ししておかないとな」
「ん~でも関係あるの?あそこに住んでるだけでしょ?」
「彼は・・・いや彼らは今この国の安定のために動いてくれているからな、礼の1つは
しなければなるまい?」
「そうなの?ならそうね・・・でもお礼ってどうすればいいの?」
「何か適当な物を持っていけばいい」
「その適当な物って何よ、それが知りたいわ」
「そうだな、ワインやチーズ等の様な幾らか保存の効く消費出来る物が1番いい」
「食べ物とかがいいの?宝石とか金じゃなくて?」
「それらは彼らにとって大して価値が無いからな、彼らなら自分達で簡単に集める
事が出来る物だし生成も容易だ」
「宝石とか作るの?!」
「あぁそれもかなりいい物をな、だから彼らにとって宝石に対した価値は無い」
「成程・・・ん~寝かしてるワインでも持ってくかな、私は殆ど飲まないし」
「いいと思うぞ、確か長女殿がワイン好きだったはずだ」
「本人もワインを好んでいる、だが最高級の物を出すよりも良さげなものを多めに
持って行った方がいいぞ・・・そっちの方が好みらしいからな」
「ん?となるとあんまり熟成してないのがいいのかな、何年物が良いんだろ」
「50年までにしておくといい、100年単位の物なら彼らの領分だしな」
「そうなの?まぁ吸血種は長生きって聞くけど」
「2000年は生きているんじゃなかったか?確か前に星の初期生命体の内の1つとか
言っていたからな、それ位生きているだろう」
「最初の生命の1つって・・・やばいじゃん、あれでしょ?原始生命体って奴でしょ?
基本的に性能がぶっとんでるって言う強すぎる生命体」
「そうだな見た目は老人のようだが、当然身体能力は人類最強ですら相手にならん
・・・最強クラスの魔物も原始生命体と言われているからな、強さもそのクラスだ」
「機嫌損ねたら一瞬で消し飛ばされるのかな・・・一瞬なら痛みも無いからいいけど」
「後ろ向きになり過ぎだ、彼はそんな粗野でも野蛮な者では無いし気も長い」
「長生きだもんね・・・少しは大目に見てくれるよね・・・」
「はぁ・・・つまらんことは考えるな、まぁ殺されても直ぐに蘇生してもらえるから
死ぬ事など気にするだけ無駄だ」
「ヒエッ・・・」
さっきまでどこか遠くを見ていたような目が、光を失い涙目のようになり顔が青く
なっている・・・人間は妙な性質を持っているんだな、僅かに体色を変化できるのか
「そら呆けてないでとっとと準備をしに行け」
「ホントに必要かなぁ?・・・後でもいいんじゃない?」
「いや先に行かねばならん、彼に会わねばお前が皇族とは誰も直ぐには認めん」
「えぇ!さっきはいけるって言ってたじゃん!」
「あぁ、だが知らぬ奴が自分は皇族と言って誰が信じる?」
「そりゃそうだけど・・・でも会ったからそれでどうなるっての?流石に口利きして
もらったからってそれだけで皇位に着けないでしょ?」
「彼は吸血鬼の王、言ってしまえば最も血を理解し持ちを扱う存在・・・血に関する
事に関しては彼以上の存在はいまい」
「それで・・・ん?」
「分かったか?皇族の血族である事を彼に保証してもらうんだ、それに血に関する
ならば呪いや祝福まで把握出来るようでな、何か異常がないかも見てもらえ」
「成程・・・ってなんか利用してない?お偉いさんでしょ?」
「別にかまわん、調べる際に勝手に判るだろうからな、気にする事でも無い」
「んーなんか悪い気も」
「余りにも不敬を働かぬ限り彼は気にせん、寛大と言うか・・・そうだな、上下関係に
特に関心が無いと言った方がいいか、友好的であれば気は悪くしない奴だからな」
「そう・・・分かった、まぁ兄さん達も居るし大丈夫でしょう」
「ん?我等は行く気無いぞ、あまり死人に頼るんじゃない」
「えっ?!行かないのか?兄者!?」
「なんでお前は行く気になってるんだ」
あちこち見回って飽きたんだろうな、さっきまで話に興味無さそうだったのに急に
反応している・・・と言う事は最初からバルゼリットもこうなると分かっていたのか
「うぅ・・・彼らなら霊体でも普通に認識するし、なんだったら戦闘訓練も出来ると
思っていたんだ、たまには思いっきり戦いたいんだ兄者!」
「流石にそこまで迷惑は掛けれんだろう、私はここに残って継承の儀に代理で使え
そうな物を用意しとかねばならんが・・・まぁお前は好きにするがいい」
「!うむ、では行くぞティナ!」
急に生き生きとしだし気分良さげに外に足を進めている、兄弟間で何か伝わる事で
もあったのだろうか?妹の方も分かっている様子はないが・・・?足が止まった
「そうだ、主も行かぬか?彼らは物知りだからな、気にしている事があるようだし
この機会に知りたい事を聞いてみると良いのではないか?」
「ふむ、確かに気になる事はあるが・・・今回は邪魔じゃないか?」
「1回で終わらせる方が互いにいいと思う・・・んだが確かに今回の主題とは関係ない
事だからな、まぁそもそも個人的な話に取り合ってくれるかどうかもある・・・だが
どっちにしろ共に行かねば話のしようもないだろう?」
「そうだな・・・まぁ邪魔にならないように着いて行くよ」
「じゃぁ準備は終わったなティナ?」
「終わる訳ないじゃん!今から取りに行くんだよ!このアホ!」
「アホとはなんだアホとは!事実であっても言っていい事と悪い事があるぞ!」
「えっあっうん・・・自分で分かってたんだ、ごめん」
「別に構わんがな!ガハハ!お前もアホだのぅ」
「んだオッラー!」
兄へ殴りかかる妹の図が出来上がっている、バーゼスクライトは呆れているのか
軽く頭を振って出て行こうとしている・・・なんとかしなくていいのか?
「2人共墓地で暴れるのはやめないか、まったく・・・常識が無いのかお前達は」
「ため息と共に吐き出されたその言葉に2人は立ち尽くすしか無かったのだった」
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