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13.皇族の帰還・再動

二百六十八話 意外な出会い

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268話 唐突なる面通しの発生

どこからともなく楽しそうな声色をしたしわがれた様な声が響く・・・?誰の声だ?
「全く何を言って・・・ん?」
「何変な事言って・・・ん?」
そして2人揃って顔を見合わせると、バーゼスクライトが向かっていた出口へと
顔を向ける、それにつられて見るとバーゼスクライトの隣に音も気配も無く誰かが
居た・・・綺麗で少し派手目な貴族らしき服を着た渇き荒れている銀の髪の老人だ
「む?そっちから出向いて来るとは、何故ここに?」
「おぉバー坊、元気にしとったか?って死んどるんだったな、ハハハ!」
「バー坊は止めてくれんか?どことなくアホっぽい」
「いいではないか~、バル坊も元気そうだの!どっちも揃って死んでもうとるが」
「久しぶりですなクー爺、俺はいつだって元気だぞ!」
「フハハ!ワシも元気だぞい、それでそこの2人は初じゃな~?ん?娘の方はお前
さんらの妹じゃないか、生きておったか行幸行幸」
「直ぐに尋ねに向かう理由が1つ減ってしまうな」
「ワシがここに来た理由か?死んだはずの血族の集結と異様な気配を感じたでな」
「その妹であるティナの皇族証明として1枚証明書を作ってくれんか?」
「ん~?そりゃ全然かまーわんわんなのだが・・・ふむ?そっちのは前に広場で見た
気がするなァ?墓地の広間的な場所だけに?ん?ここは広場なのか?」
「む?会った事があるのか?」
「いやワシが一方的に見ただーけ、息子の演説時におったろ、1人だけ死んだように
つっ立っとるだけの奴、死人を引き連れとるだけに」
「あぁ・・・あの広間が血に染まっていた時の奴ですか?」
「うむそうじゃ・・・そうじゃったか?いやそうだなぁ、敬語はヤメロルルォ!?
背中や脳みそがなんかゾーワゾワする、お主に言われると?・・・な!」
「何この人・・・話しに着いてけないんだけど」
「気にするなこう言う人なんだ」
後ろで2人がコソコソ話し合っている・・・やはり気が合うのか仲がいいなこの2人
「さてヴラド卿、もう1つ用件がありまして」
「ん~ぬぁ、貴様がそう呼ぶとぉき真面目な話にぬぁるではにぃか・・・わしゃもう
おふざけモードから降りるは無い!ってこっちに来たってぇのによぉ~?」
「まぁそこまで重要な事でも無いから気を楽にしてくれていいぞ」
「貴様ァ・・・重要な事じゃないって言う時いっつも重要な事だと気付いてるかぁ?」
「・・・だが一先ず血脈証明書を用意してくれないか?」
「うぉい!うぉん!お前重要な話を先にせんか!気になるやろがい!」
バーゼスクライトはもしかして彼との効率的な話し方を判っているのではないか?
それで口を挟んで修正してくれているが、こっちを巻き込んで来ているんじゃ・・・
「だが本当に重要度合いはこっちが高いのだ、もう1つは予想出来ているだろう?
そっちに関してはまだまだ余裕があるからな」
「成程・・・時間的余裕の差かァ?重要度はそっちの方が高いって言ってるような
もんじゃねェかよ、ったくお前さん死んでも変わらんなァ・・・まァもうそりゃいいん
だがよ、タダってワケにゃぁいかねェぜ?これでも互いに王なんだからな」
「私は実質最後まで皇子でしか無かったようなものだがな・・・」
「いやお前さんは皇帝さ、なんつったって親父どころか歴代の中でも群を抜いて
皇帝として資質がある・・・特別なのさお前は」
「普通だよ、少し資質が高いだけだろう?凡人と変わらんさ」
「クククッ・・・まァいいさ、血脈証明書は直ぐに用意してやるが・・・取り敢えずワシ
の城に取りに来い、そこでもう1つの話をゆっくりとしようじゃないか」
「着いて来いと?だがタダじゃないんじゃなかったか?」
「そうだったな、まァそれはあっちに着いてからでもいい、いやそっちの方がイイ
んじゃないか?なぁに少し体を動かしたい気分と言うだけだ」
「それが引き金になんて事があると分かっていてか?」
「分かっとるさ、だが制御出来ているのか覚醒はしているのか、はたまた引っ張ら
れているのか・・・しかと判別せねばなるまい?今世界が滅ぶのはワシも困るんでな」
「そうか・・・悪いことにならない様に願わせてもらうよ」
「ウソつけぇカケラも思っとらんだろ・・・そらっ、お前さんら着いて来い」
いつの間にか始まりいつの間にか2人の間で全て終わったようで、途中から会話に
入れなかった私達3人は顔を見合わせるしかなかった・・・
「これ贈り物どうすりゃいいの?」
「別に後で送ればいいんじゃないか?」
「そうだな、今は着いて行くしかあるまい」
そして離れていくその背を追いかける、足取り軽やかに歩いているのかと思ったら
脚が少し浮かんでいた・・・足は歩く様な動きをしているが何の意味があるんだ?
城を出てそのまま左側へと城壁に沿う様にして進んでいくと、途中から舗装されて
いる道に使われている石の模様や色に形状や並びが変わった、黒と白の石から赤や
青に緑と色んな色が混じっている石が多くなったようで所々に見える、そして赤い
城壁が見えてきた・・・城は屋根とその近くが赤く他は少し暗めの白になっている
「さてようこそ、客人よ・・・あァ久しい客だ、最後に来たのはバー坊だったかァ?
ならもう10年は経っている訳だ」
「貴族たちは来なかったのか?話すべき事もあっただろう?」
「それは城が混乱の真っただ中の事だった・・・白銀に輝ける月を背にワシは城の・・・
広間の直ぐ側にあるアレ、アレじゃアレの手すり「バルコニーか?」そうソレに
空から舞い降りた、慌ただしく動き回る使用人と疑心暗鬼で互いに警戒しあう貴族
が裏切り者が居ないかと牽制をしあう中「では要点を放してくれ」・・・オイィ?」
「何だ?」
「今からがイィトコロだってのによォ?簡単に言えば皇族が居なくなって貴族は
混乱し、しかも洗脳されている者まで居た訳で内部は混乱と不信でせめぎ合い」
さっきまでの話の要点らしき所を早口で終わらせた・・・
「それで政務がまともに機能していなかったからワシの分身をそっちにやっていた
って訳でんな、言っちまえば今の国の安定はワシのお蔭じゃぞォ?」
「あぁ、もちろん我等は貴公に感謝しているとも、贈り物は後で届ける・・・しかし
随分と遅くなったしまってすまない」
「いや?別にイイゾ、やったのは分身と部下だからな・・・それにワシはワシで豪遊
しとったしそれで貰うのもなァ?」
「謙遜している様に見せて催促するな」
「チッ、なァんでバレるかなァ?」
「にやけ顔でチラチラ見るからだ」
「クッそうか、でもワシって判り易い純真で素直な性格じゃから仕方ないのォ!」
「あぁ、そうだな」
「オォイそこは突っ込むトコロじゃろがい、まったくボケ甲斐ないのー」
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