13 / 20
絶海孤島編
第13話 ゴブリンたち
しおりを挟む
朝、拠点が騒がしかった。
ドナンが岩壁に金具を打ち込んでいる音。
レイスが設計図を広げながら何かを呟いている声。
ダンジョンから戻って三日が経っていた。
全員の傷は癒えた。ファルの腕の傷も、もうほとんど分からない。ドナンが打ち身を二か所負っていたが、「問題ない」と言って翌日から作業を再開した。
「今日はどこまで伸ばすんですか」
レイスが設計図を指差した。
「北側にもう一棟。それと、東の岩壁を利用して貯蔵庫を作りたい。素材の量が増えてきたから」
「ゴーレムから取れた岩の欠片も置き場が必要ですね」
「そうだ。ドナンが加工できるものを選り分けてくれている」
ドナンが遠くから「使えるものが多い」と言った。
「ゴーレムの岩は密度が高い。武器の素材になる」
「武器、か」とファルが静かに言った。コーヒーのように煮出した木の実の汁を飲みながら、外を見ている。「そういう段階になってきたな」
「拠点が広がれば、守る必要も出てくる」とレイスが言った。「早めに考えておく方がいい」
「今日は北側を探索したいと思っています」と僕は言った。「まだ白紙の部分が多い」
「全員で行くか」
「体力的には問題ないです。ダンジョンより楽なはずなので」
ファルが立ち上がった。
「行こう。ドナンとレイスは今日は作業があるか」
「私は行ける」とレイスが言った。「設計は頭の中に入っている。現場を見ながら考えたい」
「俺も行く」とドナンが言った。作業の手を止めずに、でも立ち上がりながら。「北側の地形を見ておきたい。素材が眠っているかもしれない」
シロが「出発するなら早い方がいい」と言った。すでに入口の傍に立っている。
全員で、北へ向かった。
*
北側の森は、今まで探索した場所と少し違った。
木が太い。密度が高い。足元に苔が多い。光が届きにくくて、昼間でも薄暗い感じがする。
「《波長理解》、どうだ」とファルが聞いた。
「反応が多い。ただ、ほとんどが小型で、遠い。近くには——」
少し、引っかかった。
「……何かいる。魔物じゃない。もっと細かい波長だ」
「人間か」
「人間とも違う。でも、知性がある感じがする」
シロが鼻を鳴らした。
「匂いがする。煙だ。火を使っている」
「この先に何かある」
全員で慎重に進んだ。
木々の間から、何かが見えてきた。
小さな建物が、いくつか並んでいる。木と泥で作られた小屋だ。大きさはまちまちで、丁寧に作られたものもあれば、急いで建てたような粗いものもある。
村だ。
「……こんな場所に」
「魔物の村か」とファルが低く言った。手が剣に伸びかけた。
「待って」と僕は言った。「敵意はない。《波長理解》で読める。怯えてる。こっちを怖がってる」
「怖がっているなら逃げる。逃げていない」
「何かに困っているからだと思う」
そのとき、茂みが揺れた。
小さな影が、転がるように飛び出してきた。
緑色の肌。大きな耳。丸い目。
ゴブリンだった。
一匹ではない。二匹、三匹——気づけば周囲に十匹ほどのゴブリンが集まっていた。でも誰も武器を持っていない。全員が、こちらを見て何かを言っている。
言葉が分からない。
「案内人、言葉は」
『解析します。……ゴブリン語系の方言です。標準的な魔物語とは少し異なりますが、基本的な意味は取れます』
「何て言ってる」
『「助けてくれ」「来てくれ」「早く」——繰り返しています。何かが急いでいる様子です』
「助けを求めてる」
ファルが剣から手を離した。
その中の一匹が、他より少し大きかった。年老いてはいないが、他のゴブリンよりも目に落ち着きがある。リーダーだろうと思った。
そのゴブリンが、僕の方に真っ直ぐ近づいてきた。
胸に手を当てて、頭を下げた。
「……デルタ」
自分の名前を言っているのだと分かった。
「カルドです」と僕は答えた。
デルタが顔を上げた。目が合った。
「カルド」とデルタが繰り返した。それから、森の奥を指差した。
その方向から、地面が揺れた。
「来る」とシロが言った。
*
森の奥から現れたのは、巨大な熊型の魔物だった。
体長は四メートルを超えている。全身の毛が逆立っていて、目が赤く充血している。普通の熊型魔物とは違う。魔力が膨れ上がっている。凶暴化しているか、縄張りを荒らされて怒り狂っているか。
村の方向に向かっていた。
「村を狙ってる」
『警告。凶暴化した大熊型魔物です。通常個体より身体能力が約二倍に増強されています。魔力も不安定な状態です』
「不安定というのは」
『感情的に暴走しています。理性的な判断ができない状態です。ただし、それが弱点にもなります』
「どういうこと」
『冷静な個体は弱点を本能的に守ります。この個体は守りません』
「つまり弱点を狙いやすい」
「状況を説明してくれ」とファルが言った。剣を抜きながら、でも目は魔物から離さずに。
「弱点が露出している大型魔物です。ただし速くて力が強い。《慧眼》で急所を確認します——」
《慧眼》を向ける。
凶暴化した状態でも、急所は変わらない。首の付け根。左前足の関節。腹部の毛が薄い部分。
「首の付け根、左前足の関節、腹部の薄い部分。三か所です」
「連携で各部位を同時に崩す」とファルが言った。「シロ、左前足を頼む。ドナン、腹部に入れるか」
「できる」とドナンが、短く言った。目が鋭くなっている。
「私は後方で状況を見る」とレイスが言った。「全体の動きを把握する」
「カルド、首の付け根を頼む。《魔力圧縮》を使え」
「了解」
そのとき、デルタが声を上げた。
他のゴブリンたちが散った。でも逃げたわけじゃない。村の方向に走りながら、何かを取ってきた。
石を括りつけた棒。粗末な弓。
武器だ。
「……一緒に戦うつもりか」
デルタが短く何かを言った。
『「私たちの村だ。私たちも守る」』
「案内人、デルタに伝えてくれ。左前足の付け根に集中してほしい。そこが一番崩れやすい」
『伝えます』
案内人が何かを言った。デルタが頷いた。他のゴブリンたちに素早く指示を出す。
「行く」とファルが言った。
魔物が、こちらに気づいた。
赤い目が、向いた。
「来い——」
魔物が動いた。
速い。凶暴化した分、動作が荒い。でも力は本物だ。
ファルが正面から向かう。
魔物の爪を、剣で流す。一本、二本。
「シロ!」
シロが左前足の関節に飛びかかった。牙が関節を捉える。
同時に、ゴブリンたちが棒で左前足の付け根を叩き始めた。ばらばらではなく、デルタが指示した通りに、集中して。
魔物の左前足が揺れた。
「今だ」
魔力を引き込む。圧縮する。
首の付け根に向けて放つ。
《魔力圧縮》を乗せた火球が、首の付け根に直撃した。
魔物が大きくよろけた。
ドナンが腹部に棒を突き刺す。
「続けて」とファルが言った。
魔物が向き直った。今度はシロを狙った。
「シロ、右!」
シロが跳んだ。
魔物の爪がシロをかすった。
「シロ!」
「問題ない」と、少しだけ荒い息で言った。「続けろ」
魔物がもう一度こちらを向いた。
ゴブリンたちが叫びながら棒を振り続けている。怖いはずなのに、誰も逃げない。デルタが先頭に立って、一番近い場所で戦っている。
レイスが後方から言った。
「右後足、さっきから庇っている。元々傷があるはずだ」
「急所じゃないが、そこに集中すれば動きが鈍る」とファルが言った。「カルド」
「分かった。デルタに伝えてほしい」
案内人が伝える。
デルタが即座に動いた。ゴブリンたちが右後足に集中し始める。
ファルが正面から圧力をかける。
魔物の動きが落ちた。
「今」
シロが首の付け根に飛びかかった。
僕が《魔力圧縮》を重ねた火球を腹部に叩き込む。
ドナンが関節に棒を捻じ込む。
爆発。
魔物が倒れた。
地面が、揺れた。
静寂。
ゴブリンたちが、一瞬止まった。
それから、一斉に声を上げた。
喜びの声だった。
*
「……みんな、無事ですか」
「問題ない」とファルが答えた。腕の古傷の近くを少し押さえているが、新しい傷ではないようだ。
「シロ」
「かすり傷だ」と、耳を少し伏せながら言った。「問題ない」
ゴブリンたちが、こちらに集まってきた。デルタが先頭に立って、全員に頭を下げた。
『「ありがとう。村を守ってくれた」』と案内人が訳した。
「一緒に戦ったのはあなたたちだ」と僕は言った。「案内人、伝えてくれ」
案内人が伝える。
デルタが少し目を見開いた。それから、照れたように鼻を鳴らした。
「デルタ、一つ聞いていいか」と僕は言った。「案内人に頼んで伝えてもらう」
デルタが頷いた。
「あの魔物は、前からここにいたのか。それとも最近来たのか」
『「最近だ。三日前から現れた。ダンジョンの方から来た」』
ダンジョンの方から。
「ゴーレムを倒したから、縄張りが崩れたのかもしれない」とレイスが静かに言った。「ダンジョン内の生態系に影響が出た可能性がある」
「僕たちのせいでこの村が危険になったということか」
「結果としては、そうかもしれない」
レイスが少し眉をひそめた。
「ただ、こうして解決できた。次のことを考えよう」
デルタが何かを言った。
『「あなたたちは、どこから来た。この島に人間がいるとは知らなかった」』
「この島の南側に拠点を作っています。僕たちは流れ着いた者です」と僕は答えた。「この島で、一緒に生きていきたいと思っている。良ければ、仲間になってほしい」
案内人が伝える。
デルタが黙った。
他のゴブリンたちを見回した。何か話し合っている。
長くはかからなかった。
デルタが振り返った。
『「条件がある」』
「聞かせてほしい」
『「村は残す。ここは私たちの場所だ。ただ、若い者と手先が器用な者は、あなたたちの拠点で学びたい。行き来できるようにしたい」』
「もちろんです」
『「それと——」』デルタが少し間を置いた。『「あなたたちのことを、もっと知りたい。この島で何をしようとしているのか」』
「強い者も弱い者も、人間も魔物も関係なく、生きていける場所を作りたい」
案内人が伝える。
デルタは少し目を細めた。
「どんな顔をしてる?」と僕は案内人に聞いた。
『……笑っているようです』
デルタが何かを言った。
『「面白い人間だ」』
「よく言われます」
デルタが短く笑った。言葉が分からなくても、笑いは分かった。
*
「一つお願いがある」と僕は言った。
デルタが頷く。
「みんなに名前をつけさせてほしい。もし良ければ、こちらで呼び名を考えたい。嫌なら断ってくれていい」
案内人が伝える。
デルタがしばらく考えた。
それから、何かを言った。
『「私たちは名前を持たない者が多い。リーダーと古い者だけが名前を持つ。若い者たちに名前をつけてくれるなら、嬉しい」』
「分かった。ただ、今日はまだ顔も覚えられていない。一緒に過ごしながら、一人ずつつけていきたい」
案内人が伝える。
デルタが少し目を細めた。それから、笑った。
『「焦らなくていい。名前は、その者を見てつけるものだ」』
「そうします」
デルタが何かを言った。
『「ただ、一つだけ言っておく。私たちの言葉では、名前はつけた者への誓いだ。名前を受け取った者は、つけた者に忠誠を誓う。それでもいいか」』
静かな言葉だった。
全員が、こちらを見ていた。
ゴブリンたちだけじゃない。
ファルも、シロも、ドナンも、レイスも。
「……受け取ります」
案内人が伝える。
デルタが深く頭を下げた。
それから、顔を上げて、笑った。
『「では、よろしく頼む、カルド」』
*
拠点への帰り道は、にぎやかだった。
十五匹のゴブリンが一緒に歩いている。きょろきょろしている一匹がシロの尻尾を追いかけようとして、シロに睨まれた。道具好きらしい一匹はドナンの工具袋をずっと眺めていた。一番小さい一匹は途中から僕の隣を歩き始めた。子供のはずなのに、一番堂々としていた。
「ドナン」と僕は言った。
「何だ」
「その子、道具に興味があるみたいです」
ドナンが後ろを見た。その子がさっと目をそらした。
「……こっちに来い」
おずおずと近づく。
ドナンが工具袋から小さな鉄片を取り出した。手渡した。
その子が、両手で受け取った。しげしげと眺める。
「素材が分かるか」
案内人が伝える。
少し考えてから、頷いた。何かを言った。
『「硬い。でも、熱を加えると変わる」』
ドナンが少し目を細めた。
「……正しい」と、低い声で言った。
それだけだったが、その子は嬉しそうに鉄片を抱えた。
レイスは腕の長い一匹に気づいて、「建築の仕事に向いている」と言った。その子が首を傾けた。案内人が伝えると、目が輝いた。
ファルはずっと自分を観察している一匹に気づいていた。
「何を見ている」と剣に手をかけながら聞いた。
案内人が伝える。
その子が真剣な顔で何かを言った。
『「あなたの剣の動きを見ていた。速い。どうやって動くのか知りたい」』
ファルが少し間を置いた。
「……探索者になりたいのか」
案内人が伝える。
力強く頷いた。
ファルが短く息を吐いた。そして、少し口角を上げた。
「教えられるかどうかは分からないが、見ていろ」
拠点が見えてきたとき、十五匹のゴブリンが全員立ち止まった。
広い空間。岩壁に支えられた小屋。川の音。火の跡。
ルカが何かを言った。
『「大きい」』
「まだ大きくなります」と僕は言った。
ルカが目を丸くした。
コトが僕の袖を引っ張った。
『「ここが、新しい場所か」』
「そうです。みんなの場所でもある」
コトが拠点を見た。
それから、短く何かを言った。
『「悪くない」』
*
夜、火を囲んだ。
今までで一番多い人数だった。
ゴブリンたちは慣れない場所でも、思ったより落ち着いていた。ルカだけがずっとそわそわしていたが、シロの傍に座ることで落ち着いたようだった。シロは特に何も言わなかった。ただ、追い払いもしなかった。
「今日は疲れた」とレイスが笑いながら言った。「いい疲れだが」
「一気に増えましたね」
「三十人分の名前をこれからつけていくのか」とファルが、少し呆れた目で言った。
「一人ずつ、顔を見ながらつけます」
「……そういうものか」
ドナンが鉄片を抱えたまま眠ってしまったゴブリンの子を見た。手から離さずに。
「……使える」と、静かに言った。
「弟子にするつもりですか」
「そんな大袈裟なものじゃない」と言いながら、少しだけ口角が上がっていた。
レイスが腕の長い一匹を見た。その子はレイスの設計図の切れ端を借りて、何かを描いていた。
「何を描いているんだ」
案内人が伝える。
見せてもらった。
小屋の絵だった。ゴブリンの村の小屋を、拠点の建築と組み合わせたような設計だった。荒削りだが、発想が面白い。
「……なるほど」とレイスが言った。「ゴブリンの建築様式は知らなかった。学べることがあるかもしれない」
ファルが剣を観察し続けている一匹を見た。
「もう寝ろ」とファルが言った。
案内人が伝える。
「明日教えてくれるか」と返ってきた。
「……考える」とファルが言った。
でも、断らなかった。
小さな一匹が僕の隣で丸まっていた。いつの間にか眠っていた。小さな体が、規則正しく上下している。
「増えたな」
「そうですね」
「以前は一人だった」
「今は——」
数えた。カルド、シロ、ファル、ドナン、レイス。そしてゴブリンが十五匹。
「二十人だ」と、シロが言った。
「村に残った十五匹も仲間です。向こうにも顔を出すつもりだから、実質三十人」
「国の始まりだな」
シロが、珍しくそう言った。
「そうかもしれない」
「お前が望んでいたものに、少し近づいた」
「まだ遠い。でも、近づいてる」
シロが短く息を吐いた。
「……急ぐな」
「急いでないよ」
「急いでないなら、寝ろ。明日も探索がある」
コトが僕の隣で丸まっていた。いつの間にか眠っていた。小さな体が、規則正しく上下している。
地図を広げた。
北側の森に、ゴブリンの村を書き加えた。
デルタという名前も。
それから、余白に小さく記した。「名前、29人分——これから」。
三十の命。
「……忘れない」
火が、静かに燃えている。
川の音が続いている。
東の気配が、また揺れた。
いつもより、はっきりしている。
でも今夜は、怖くなかった。
三十の名前を預かった夜は、なんとなく、大丈夫な気がした。
ドナンが岩壁に金具を打ち込んでいる音。
レイスが設計図を広げながら何かを呟いている声。
ダンジョンから戻って三日が経っていた。
全員の傷は癒えた。ファルの腕の傷も、もうほとんど分からない。ドナンが打ち身を二か所負っていたが、「問題ない」と言って翌日から作業を再開した。
「今日はどこまで伸ばすんですか」
レイスが設計図を指差した。
「北側にもう一棟。それと、東の岩壁を利用して貯蔵庫を作りたい。素材の量が増えてきたから」
「ゴーレムから取れた岩の欠片も置き場が必要ですね」
「そうだ。ドナンが加工できるものを選り分けてくれている」
ドナンが遠くから「使えるものが多い」と言った。
「ゴーレムの岩は密度が高い。武器の素材になる」
「武器、か」とファルが静かに言った。コーヒーのように煮出した木の実の汁を飲みながら、外を見ている。「そういう段階になってきたな」
「拠点が広がれば、守る必要も出てくる」とレイスが言った。「早めに考えておく方がいい」
「今日は北側を探索したいと思っています」と僕は言った。「まだ白紙の部分が多い」
「全員で行くか」
「体力的には問題ないです。ダンジョンより楽なはずなので」
ファルが立ち上がった。
「行こう。ドナンとレイスは今日は作業があるか」
「私は行ける」とレイスが言った。「設計は頭の中に入っている。現場を見ながら考えたい」
「俺も行く」とドナンが言った。作業の手を止めずに、でも立ち上がりながら。「北側の地形を見ておきたい。素材が眠っているかもしれない」
シロが「出発するなら早い方がいい」と言った。すでに入口の傍に立っている。
全員で、北へ向かった。
*
北側の森は、今まで探索した場所と少し違った。
木が太い。密度が高い。足元に苔が多い。光が届きにくくて、昼間でも薄暗い感じがする。
「《波長理解》、どうだ」とファルが聞いた。
「反応が多い。ただ、ほとんどが小型で、遠い。近くには——」
少し、引っかかった。
「……何かいる。魔物じゃない。もっと細かい波長だ」
「人間か」
「人間とも違う。でも、知性がある感じがする」
シロが鼻を鳴らした。
「匂いがする。煙だ。火を使っている」
「この先に何かある」
全員で慎重に進んだ。
木々の間から、何かが見えてきた。
小さな建物が、いくつか並んでいる。木と泥で作られた小屋だ。大きさはまちまちで、丁寧に作られたものもあれば、急いで建てたような粗いものもある。
村だ。
「……こんな場所に」
「魔物の村か」とファルが低く言った。手が剣に伸びかけた。
「待って」と僕は言った。「敵意はない。《波長理解》で読める。怯えてる。こっちを怖がってる」
「怖がっているなら逃げる。逃げていない」
「何かに困っているからだと思う」
そのとき、茂みが揺れた。
小さな影が、転がるように飛び出してきた。
緑色の肌。大きな耳。丸い目。
ゴブリンだった。
一匹ではない。二匹、三匹——気づけば周囲に十匹ほどのゴブリンが集まっていた。でも誰も武器を持っていない。全員が、こちらを見て何かを言っている。
言葉が分からない。
「案内人、言葉は」
『解析します。……ゴブリン語系の方言です。標準的な魔物語とは少し異なりますが、基本的な意味は取れます』
「何て言ってる」
『「助けてくれ」「来てくれ」「早く」——繰り返しています。何かが急いでいる様子です』
「助けを求めてる」
ファルが剣から手を離した。
その中の一匹が、他より少し大きかった。年老いてはいないが、他のゴブリンよりも目に落ち着きがある。リーダーだろうと思った。
そのゴブリンが、僕の方に真っ直ぐ近づいてきた。
胸に手を当てて、頭を下げた。
「……デルタ」
自分の名前を言っているのだと分かった。
「カルドです」と僕は答えた。
デルタが顔を上げた。目が合った。
「カルド」とデルタが繰り返した。それから、森の奥を指差した。
その方向から、地面が揺れた。
「来る」とシロが言った。
*
森の奥から現れたのは、巨大な熊型の魔物だった。
体長は四メートルを超えている。全身の毛が逆立っていて、目が赤く充血している。普通の熊型魔物とは違う。魔力が膨れ上がっている。凶暴化しているか、縄張りを荒らされて怒り狂っているか。
村の方向に向かっていた。
「村を狙ってる」
『警告。凶暴化した大熊型魔物です。通常個体より身体能力が約二倍に増強されています。魔力も不安定な状態です』
「不安定というのは」
『感情的に暴走しています。理性的な判断ができない状態です。ただし、それが弱点にもなります』
「どういうこと」
『冷静な個体は弱点を本能的に守ります。この個体は守りません』
「つまり弱点を狙いやすい」
「状況を説明してくれ」とファルが言った。剣を抜きながら、でも目は魔物から離さずに。
「弱点が露出している大型魔物です。ただし速くて力が強い。《慧眼》で急所を確認します——」
《慧眼》を向ける。
凶暴化した状態でも、急所は変わらない。首の付け根。左前足の関節。腹部の毛が薄い部分。
「首の付け根、左前足の関節、腹部の薄い部分。三か所です」
「連携で各部位を同時に崩す」とファルが言った。「シロ、左前足を頼む。ドナン、腹部に入れるか」
「できる」とドナンが、短く言った。目が鋭くなっている。
「私は後方で状況を見る」とレイスが言った。「全体の動きを把握する」
「カルド、首の付け根を頼む。《魔力圧縮》を使え」
「了解」
そのとき、デルタが声を上げた。
他のゴブリンたちが散った。でも逃げたわけじゃない。村の方向に走りながら、何かを取ってきた。
石を括りつけた棒。粗末な弓。
武器だ。
「……一緒に戦うつもりか」
デルタが短く何かを言った。
『「私たちの村だ。私たちも守る」』
「案内人、デルタに伝えてくれ。左前足の付け根に集中してほしい。そこが一番崩れやすい」
『伝えます』
案内人が何かを言った。デルタが頷いた。他のゴブリンたちに素早く指示を出す。
「行く」とファルが言った。
魔物が、こちらに気づいた。
赤い目が、向いた。
「来い——」
魔物が動いた。
速い。凶暴化した分、動作が荒い。でも力は本物だ。
ファルが正面から向かう。
魔物の爪を、剣で流す。一本、二本。
「シロ!」
シロが左前足の関節に飛びかかった。牙が関節を捉える。
同時に、ゴブリンたちが棒で左前足の付け根を叩き始めた。ばらばらではなく、デルタが指示した通りに、集中して。
魔物の左前足が揺れた。
「今だ」
魔力を引き込む。圧縮する。
首の付け根に向けて放つ。
《魔力圧縮》を乗せた火球が、首の付け根に直撃した。
魔物が大きくよろけた。
ドナンが腹部に棒を突き刺す。
「続けて」とファルが言った。
魔物が向き直った。今度はシロを狙った。
「シロ、右!」
シロが跳んだ。
魔物の爪がシロをかすった。
「シロ!」
「問題ない」と、少しだけ荒い息で言った。「続けろ」
魔物がもう一度こちらを向いた。
ゴブリンたちが叫びながら棒を振り続けている。怖いはずなのに、誰も逃げない。デルタが先頭に立って、一番近い場所で戦っている。
レイスが後方から言った。
「右後足、さっきから庇っている。元々傷があるはずだ」
「急所じゃないが、そこに集中すれば動きが鈍る」とファルが言った。「カルド」
「分かった。デルタに伝えてほしい」
案内人が伝える。
デルタが即座に動いた。ゴブリンたちが右後足に集中し始める。
ファルが正面から圧力をかける。
魔物の動きが落ちた。
「今」
シロが首の付け根に飛びかかった。
僕が《魔力圧縮》を重ねた火球を腹部に叩き込む。
ドナンが関節に棒を捻じ込む。
爆発。
魔物が倒れた。
地面が、揺れた。
静寂。
ゴブリンたちが、一瞬止まった。
それから、一斉に声を上げた。
喜びの声だった。
*
「……みんな、無事ですか」
「問題ない」とファルが答えた。腕の古傷の近くを少し押さえているが、新しい傷ではないようだ。
「シロ」
「かすり傷だ」と、耳を少し伏せながら言った。「問題ない」
ゴブリンたちが、こちらに集まってきた。デルタが先頭に立って、全員に頭を下げた。
『「ありがとう。村を守ってくれた」』と案内人が訳した。
「一緒に戦ったのはあなたたちだ」と僕は言った。「案内人、伝えてくれ」
案内人が伝える。
デルタが少し目を見開いた。それから、照れたように鼻を鳴らした。
「デルタ、一つ聞いていいか」と僕は言った。「案内人に頼んで伝えてもらう」
デルタが頷いた。
「あの魔物は、前からここにいたのか。それとも最近来たのか」
『「最近だ。三日前から現れた。ダンジョンの方から来た」』
ダンジョンの方から。
「ゴーレムを倒したから、縄張りが崩れたのかもしれない」とレイスが静かに言った。「ダンジョン内の生態系に影響が出た可能性がある」
「僕たちのせいでこの村が危険になったということか」
「結果としては、そうかもしれない」
レイスが少し眉をひそめた。
「ただ、こうして解決できた。次のことを考えよう」
デルタが何かを言った。
『「あなたたちは、どこから来た。この島に人間がいるとは知らなかった」』
「この島の南側に拠点を作っています。僕たちは流れ着いた者です」と僕は答えた。「この島で、一緒に生きていきたいと思っている。良ければ、仲間になってほしい」
案内人が伝える。
デルタが黙った。
他のゴブリンたちを見回した。何か話し合っている。
長くはかからなかった。
デルタが振り返った。
『「条件がある」』
「聞かせてほしい」
『「村は残す。ここは私たちの場所だ。ただ、若い者と手先が器用な者は、あなたたちの拠点で学びたい。行き来できるようにしたい」』
「もちろんです」
『「それと——」』デルタが少し間を置いた。『「あなたたちのことを、もっと知りたい。この島で何をしようとしているのか」』
「強い者も弱い者も、人間も魔物も関係なく、生きていける場所を作りたい」
案内人が伝える。
デルタは少し目を細めた。
「どんな顔をしてる?」と僕は案内人に聞いた。
『……笑っているようです』
デルタが何かを言った。
『「面白い人間だ」』
「よく言われます」
デルタが短く笑った。言葉が分からなくても、笑いは分かった。
*
「一つお願いがある」と僕は言った。
デルタが頷く。
「みんなに名前をつけさせてほしい。もし良ければ、こちらで呼び名を考えたい。嫌なら断ってくれていい」
案内人が伝える。
デルタがしばらく考えた。
それから、何かを言った。
『「私たちは名前を持たない者が多い。リーダーと古い者だけが名前を持つ。若い者たちに名前をつけてくれるなら、嬉しい」』
「分かった。ただ、今日はまだ顔も覚えられていない。一緒に過ごしながら、一人ずつつけていきたい」
案内人が伝える。
デルタが少し目を細めた。それから、笑った。
『「焦らなくていい。名前は、その者を見てつけるものだ」』
「そうします」
デルタが何かを言った。
『「ただ、一つだけ言っておく。私たちの言葉では、名前はつけた者への誓いだ。名前を受け取った者は、つけた者に忠誠を誓う。それでもいいか」』
静かな言葉だった。
全員が、こちらを見ていた。
ゴブリンたちだけじゃない。
ファルも、シロも、ドナンも、レイスも。
「……受け取ります」
案内人が伝える。
デルタが深く頭を下げた。
それから、顔を上げて、笑った。
『「では、よろしく頼む、カルド」』
*
拠点への帰り道は、にぎやかだった。
十五匹のゴブリンが一緒に歩いている。きょろきょろしている一匹がシロの尻尾を追いかけようとして、シロに睨まれた。道具好きらしい一匹はドナンの工具袋をずっと眺めていた。一番小さい一匹は途中から僕の隣を歩き始めた。子供のはずなのに、一番堂々としていた。
「ドナン」と僕は言った。
「何だ」
「その子、道具に興味があるみたいです」
ドナンが後ろを見た。その子がさっと目をそらした。
「……こっちに来い」
おずおずと近づく。
ドナンが工具袋から小さな鉄片を取り出した。手渡した。
その子が、両手で受け取った。しげしげと眺める。
「素材が分かるか」
案内人が伝える。
少し考えてから、頷いた。何かを言った。
『「硬い。でも、熱を加えると変わる」』
ドナンが少し目を細めた。
「……正しい」と、低い声で言った。
それだけだったが、その子は嬉しそうに鉄片を抱えた。
レイスは腕の長い一匹に気づいて、「建築の仕事に向いている」と言った。その子が首を傾けた。案内人が伝えると、目が輝いた。
ファルはずっと自分を観察している一匹に気づいていた。
「何を見ている」と剣に手をかけながら聞いた。
案内人が伝える。
その子が真剣な顔で何かを言った。
『「あなたの剣の動きを見ていた。速い。どうやって動くのか知りたい」』
ファルが少し間を置いた。
「……探索者になりたいのか」
案内人が伝える。
力強く頷いた。
ファルが短く息を吐いた。そして、少し口角を上げた。
「教えられるかどうかは分からないが、見ていろ」
拠点が見えてきたとき、十五匹のゴブリンが全員立ち止まった。
広い空間。岩壁に支えられた小屋。川の音。火の跡。
ルカが何かを言った。
『「大きい」』
「まだ大きくなります」と僕は言った。
ルカが目を丸くした。
コトが僕の袖を引っ張った。
『「ここが、新しい場所か」』
「そうです。みんなの場所でもある」
コトが拠点を見た。
それから、短く何かを言った。
『「悪くない」』
*
夜、火を囲んだ。
今までで一番多い人数だった。
ゴブリンたちは慣れない場所でも、思ったより落ち着いていた。ルカだけがずっとそわそわしていたが、シロの傍に座ることで落ち着いたようだった。シロは特に何も言わなかった。ただ、追い払いもしなかった。
「今日は疲れた」とレイスが笑いながら言った。「いい疲れだが」
「一気に増えましたね」
「三十人分の名前をこれからつけていくのか」とファルが、少し呆れた目で言った。
「一人ずつ、顔を見ながらつけます」
「……そういうものか」
ドナンが鉄片を抱えたまま眠ってしまったゴブリンの子を見た。手から離さずに。
「……使える」と、静かに言った。
「弟子にするつもりですか」
「そんな大袈裟なものじゃない」と言いながら、少しだけ口角が上がっていた。
レイスが腕の長い一匹を見た。その子はレイスの設計図の切れ端を借りて、何かを描いていた。
「何を描いているんだ」
案内人が伝える。
見せてもらった。
小屋の絵だった。ゴブリンの村の小屋を、拠点の建築と組み合わせたような設計だった。荒削りだが、発想が面白い。
「……なるほど」とレイスが言った。「ゴブリンの建築様式は知らなかった。学べることがあるかもしれない」
ファルが剣を観察し続けている一匹を見た。
「もう寝ろ」とファルが言った。
案内人が伝える。
「明日教えてくれるか」と返ってきた。
「……考える」とファルが言った。
でも、断らなかった。
小さな一匹が僕の隣で丸まっていた。いつの間にか眠っていた。小さな体が、規則正しく上下している。
「増えたな」
「そうですね」
「以前は一人だった」
「今は——」
数えた。カルド、シロ、ファル、ドナン、レイス。そしてゴブリンが十五匹。
「二十人だ」と、シロが言った。
「村に残った十五匹も仲間です。向こうにも顔を出すつもりだから、実質三十人」
「国の始まりだな」
シロが、珍しくそう言った。
「そうかもしれない」
「お前が望んでいたものに、少し近づいた」
「まだ遠い。でも、近づいてる」
シロが短く息を吐いた。
「……急ぐな」
「急いでないよ」
「急いでないなら、寝ろ。明日も探索がある」
コトが僕の隣で丸まっていた。いつの間にか眠っていた。小さな体が、規則正しく上下している。
地図を広げた。
北側の森に、ゴブリンの村を書き加えた。
デルタという名前も。
それから、余白に小さく記した。「名前、29人分——これから」。
三十の命。
「……忘れない」
火が、静かに燃えている。
川の音が続いている。
東の気配が、また揺れた。
いつもより、はっきりしている。
でも今夜は、怖くなかった。
三十の名前を預かった夜は、なんとなく、大丈夫な気がした。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
【完結】まもの牧場へようこそ!~転移先は魔物牧場でした ~-ドラゴンの子育てから始める異世界田舎暮らし-
いっぺいちゃん
ファンタジー
平凡なサラリーマン、相原正人が目を覚ましたのは、
見知らぬ草原に佇むひとつの牧場だった。
そこは、人に捨てられ、行き場を失った魔物の孤児たちが集う場所。
泣き虫の赤子ドラゴン「リュー」。
やんちゃなフェンリルの仔「ギン」。
臆病なユニコーンの仔「フィーネ」。
ぷるぷる働き者のスライム「モチョ」。
彼らを「処分すべき危険種」と呼ぶ声が、王都や冒険者から届く。
けれど正人は誓う。
――この子たちは、ただの“危険”なんかじゃない。
――ここは、家族の居場所だ。
癒やしのスキル【癒やしの手】を頼りに、
命を守り、日々を紡ぎ、
“人と魔物が共に生きる未来”を探していく。
◇
🐉 癒やしと涙と、もふもふと。
――これは、小さな牧場から始まる大きな物語。
――世界に抗いながら、共に暮らすことを選んだ者たちの、優しい日常譚。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
15歳になった男子は、冒険者になる。それが当たり前の世界。だがクテュールは、冒険者になるつもりはなかった。男だけど裁縫が好きで、道具屋とかに勤めたいと思っていた。
クテュールは、15歳になる前日に、幼馴染のエジンに稽古すると連れ出され殺されかけた!いや、偶然魔物の上に落ち助かったのだ!それが『レッドアイの森』のボス、キュイだった!
ヤンデレ女神と征く開拓スローライフ。
山椒
ファンタジー
両親に、友達に、恋人に、嫁に裏切られ続けた男、神室千照は絶望して自ら命を絶った。
すべてが終わるという安堵感であったが次に目覚めた時には女神が目の前にいた。
千照のことをずっと見ていた女神、アマテラスは千照に異世界転生を提案する。
まだ人生に未練があった千照はそれを受け入れ、二度目の人生を送ることになる。
だが千照は知らなかった。千照にはとてつもない才能が秘められていることを。
千照は知らなかった。アマテラスがヤンデレであることを。
千照は知らなかった。彼を裏切らないものはとてつもない人格の持ち主であることを。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる