美少女モンクにTS転生した俺はとにかく殴る!たまに蹴る!〜底辺の脳筋ジョブと言われたが筋肉を極め知識チートで無双する〜

🔨大木げん

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第四部 美少女モンクと大魔王

第157話 最強キャラの無自覚無双

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「ここは俺に任せて先に行け!」

「ザック行くよ!」

 ルイの指示を聞いたシーラは、そう一声かけると不死鳥フェニックスザックに飛び乗り北西の水の塔へと向かった。

「え~っと、ルイお姉ちゃんが言ってたのは……水の塔には『ぶつりむこうバリア』がはってあるから魔法しか使えないってことだったよね」

「ぴえっ!」

「だからてきも魔法しか使えないから、いつもリフレクトの魔法をかけておくのと……『サイレント』とかの魔法が使えないようになる魔法をてきにかけるのが良いんだっけ」

「ぴえっ!」

「だけどわたしはつおいから、こうげき魔法でなぐってたおすのがてっとり早いってルイお姉ちゃんは言ってたよね。ねぇザック、魔法ってなぐれるの?」

「ぴえっ、ぴぇ~!」

「そうだよね、魔法じゃなぐれないよね。あれ? でも『魔法剣士』の人は、『魔法剣』で戦うんだから……魔法でなぐるって言えるのかな?? よくわからないけど、まぁ良っか! それじゃあ塔に入るよ! リフレクト✕2」

 水の塔の一般モンスター『闇の魔法使いレベル~』が次々とシーラとザックに襲いかかってきたが、どのレベルの敵も聖竜装備でサポート・ブーストされたシーラの高い知性と精神のステータスから繰り出される魔法で、ワンパンで倒されていく。

 敵は団体様で襲って来るのだが、シーラとザックは魔道士系の敵の、遅い素早さステータスとは違い桁違いに素早い。そのためシーラの範囲魔法の一撃で、敵の攻撃を食らうことなく次々に殲滅して上階へと上がっていく。


 
 向かうところ敵なしで楽々と進むシーラとザックは、ルイに絶対に取ってくれようにと言われた八階の宝箱までたどり着いた。宝箱を開けると、光輝く透明の鱗がまだらに黒ずんだクリスタルドラゴンが現れた!

「わぁ、ドラゴンだ! でもなんか元気がなさそうだね。お父さんみたいに黒くなってるし……」  

 先制攻撃でクリスタルドラゴンの繰り出した氷結ブレスを、あっさりとザックが『真炎の障壁フェニックスウォール』でガードし、シーラが火系極大魔法ファイザムで追い討ちをかけるが、魔法は跳ね返されてしまった。

「あっ、このドラゴンさんには、永久リフレクトがかかっているんだったね。いっけない!」 

 跳ね返ってきたシーラ自身の放ったファイザムを、瞬時に続く連続魔法で相殺した。

 戦闘で倒す事よりも、自身のルーツと同種であるドラゴンとの出会いの方に興味津津なシーラ。戦闘に集中しつつも、じっくりと観察をする。

「お父さんと同じって事は……メッタメタにぶったぎってあげてから浄化してあげれば良いんだ! よーし! まっててね、いま切りきざんでたすけてあげるから!」

 シーラの物騒な発言に、思わず身じろぎしてしまうクリスタルドラゴン。

「あっ! でも破邪の剣はっちゃんは今いないから……ぶったぎるのはできないかぁ。とっくんして聖竜気はじょうずに使えるようになったから、なんとかできないかなぁ。あっ、お父さんを喚べばいいのか!  えっ? お父さん? 自力でやってみよ? 良いくんれんになるぞ?」

『聖竜玉の道標』を通じて聖竜王ファーヴニルから声が届いた。

「ぴえっ、ぴえぇ!」

 ザックが浄化の炎を生み出し、シーラにまとわせる。

「あっ、ザックありがとう! 聖竜気と一緒にあわせればすごくよくなるね!」
 
「ぴえっ、ぴえぇ!」
 
「え~っと、このまま殴ればいいの? ルイお姉ちゃんみたいに?」
 
「ぴえ!」

 有り余るステータスに物を言わせてクリスタルドラゴンに接近し、浄化の炎を組み合わせた桃色の聖竜気でフルボッコにするシーラ。

 殴った所から黒ずみがどんどん取れて行くが、物理無効フィールドの為ダメージは入っていない。

「よ~し! そろそろ仕上げだよっ!」

 クリスタルドラゴンから距離を取り、全身の聖竜気を極限まで両の掌に集中させ、一気に撃ち出す!

「せ~い~せ~い~破ぁー!!」 
 
 バシュゥウー!!
 
 シーラが突き出した手の平からクリスタルドラゴンを包み込むほどの桃色の光が放出され、一気にクリスタルドラゴンの全身を生来の透き通る半透明に染め上げていく!

 黒い呪いから断末魔の声のような音があがり、クリスタルドラゴンは完全に浄化された。

 頭をたれ、シーラに思念を飛ばすクリスタルドラゴン。『新たなる聖竜王様に生涯お仕えします』

 クリスタルドラゴンの発するその声は若干ふるえていた。

「よろしくね、クリちゃん!」

 クリスタルドラゴンとは反対に、ニコニコ笑顔のシーラ。ふぅ、良いことをした、と満足気である。
 
 クリスタルドラゴンとは実体を保ったままの召喚契約を結び、宝箱の中身である最強の刀『まさむね』を回収したシーラは、ザックと共に最上階を目指す。




 水の塔最上階のボス『闇の大魔道士』とは壮絶な魔法の撃ち合いとなったが、魔法合戦はシーラの圧勝だった。

「お、おのれ! かくなる上は! ホホホ! ワタクシは魔法だけではなくマナを纏った身体強化による肉弾戦も得意なのですよ! 覚醒バーサクゥ! 更に、魔封空間発動!」

 水の塔最上階に仕組まれた罠により、ここまで魔法オンリーの塔でありながら物理と切り替わり魔法を封じてきた闇の大魔道士!

「え~っと、本当ならここからルイお姉ちゃんの出番だったんだよね。今はいないからわたしがなぐれば良いんだね! あっ、でもただなぐるんじゃなくて、聖竜気みたいに魔法をこぶしに宿してなぐれば良いんじゃない!? きっと魔法でなぐるってそういうことなんだね!」

 両手にそれぞれ火系極大魔法ファイザムと氷系極大魔法アイスザムのエネルギーを纏わせて闇の大魔道士をボッコボコにするシーラ。

「ぴえぇ!」

 温かい炎に包まれるシーラとザック。ザックがルイの注意を忘れずに、『復活の炎』をかけた。

「とどめだよ!」

 闇の大魔道士にシーラのとどめの一撃が入って、HPが0になった瞬間に闇の大魔道士は自爆した!

「うわっ! いったぁ~い! ヒールザム! もう! 本当に自爆するなんて、ルイお姉ちゃんの言ったとおりだったね」

 大ダメージをくらってしまった事に、ぷんすこ怒るシーラ。

「よ~し! これで水の塔は私達のものだね、ザック!」

 自分の役目をやり遂げたニコニコ笑顔のシーラ。 

 だがシーラは気付いていなかったが、本日ファンサ5世界に『魔法拳』という新スキル体系が確立され、『魔法拳士』というジョブが新たに誕生した瞬間だった。



 
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