目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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準備も整ったので旅に出てみた

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「さて、と」
 保存食の在庫は良し!
 倉庫で見つけた杖があったから、これも持っていくことにしよう。
 暇な時に読む魔導大全娯楽小説も鞄に詰め込んで、とりあえず向かうのは北にあるというミゼル領。
 もはや人の物を漁ることに対して嫌悪感も感じなくなってきたけど、これはまあ、勇者と転生者の特権ということで。
 ……。
 いつか、余裕ができたらこの倉庫の所有者を探し出して、それでその時に「実はあなたは命の恩人なんです!」みたいな茶番ができたらいいな。
 だけど未来のことを考えるのは程々にして、今は北に向かうことにしよう。

 しばらくの間、太陽を背にして歩いていると、柵のようなものが見えてきた。
 どうやらこの柵は草原をぐるっと囲うように建てられているようで、しばらく柵沿いに進むと出入り口のようになっている場所を見つけた。
 柵の門は開け放たれていて、柵の外には道が続いている。

「道があるということは、この先に人の住む街があるはず!」

 迷っている時間も惜しいので、私は街道に沿って歩いてみることにした。
 しばらく進むと、細い道同士で寄り合わさって少し太い道になり、さらに別の大きな道に合流してさらに大きな道になった。
 私の他にこの道を進む人はいないみたいだけど、新そうな轍が続いてるから、そのうち行商人とか旅人とかに合流できるかも?
 この世界で初めて会う人は、優しい人だといいな……。

 ガラガラガラガラ……。

 そんなことを考えていたら、後ろから車を轢く音と、かすかに馬のような足音が混じって聞こえてきた。

「あ、こんにち……は」
 ガラガラガラガラ……ヒヒーン!!
「……」

 挨拶をしようと道の脇に寄ったら、馬車は私を完全に無視して通り過ぎていった。
 生まれて初めて馬車でドップラー効果を体感したけど、感じる虚しさは救急車でも荷馬車でも同じなんだね。

「いやいや、これはなしでしょ! 顔も見てないし、ノーカンノーカン!!」
「あはは! おねーちゃん何やってんの?」
「おやお嬢さん、こんなところでどうしたの? おつかいかな?」
「うん、そうなの! 今日は魔獣討伐のクエストを受けてたの! おねーちゃんもそうなの?」
「えっと……、私は旅行かな。一人旅ってやつ?」
「おねーちゃん、すごいの! 大人のレディなの‼︎」

 べ、別に嘘ついてるわけじゃないし!
 異世界に旅行してるみたいなものだもん!
 それにしても、こんな小さい子供から「クエスト」とか「魔獣討伐」とかって言葉が聞けるとは。
 やっぱりここは異世界だったんだなあ……。
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