目が覚めたら異世界で草生える

みももも

文字の大きさ
38 / 89
旅3

大変ありがたい申し出ですが、今回は見送りさせていただきます。

しおりを挟む
「とりあえずこれ、お返ししようと思うんだけどどうしたら良いの?」
「えっと、ボクがお姉さんに許可したのは魔力の使用権なので、もう元に戻っていると思いますよ。でも、こんなすごい力なのに手放しても良いんですか?」
「うんまあ、私には別に必要ないからね。暑い時に涼しくなるぐらいの力だったらもらってもよかったけど、これはさすがに過ぎた力というか……」
「え、大丈夫ですか? アカネお姉さん、記憶とともに欲望も失ったりしてないです?」

 うん。余計なお世話だよね。
 多分、仲良くなったお坊ちゃんから突然大金を渡されるのと感覚的には同じなんだと思う。お金をもらえるのは嬉しいけど、そうじゃないと言うか……。
 それに、こんな軽い調子で雪景色を作ってしまう力って、逆に使いにくい気がするんだよね。何事もほどほどがいいというか。
 今回はたまたま射線上に誰もいなかったみたいだけど、もしこれが人に当たってたら凍傷じゃ済まないだろうし、間違って都会なんかで発動したら大迷惑だろうしね。

「うん。まあなくて困るものでもないし、別にいいかな。私もとから冷え性だし、これ以上やると雪女になりかねないし……」
「雪女? ……でも、いいんですか? こんな機会そうそう訪れませんよ? 僕ならアカネ姉さんに、さっき以上の力も与えることができるんですよ⁉︎」

 なんか、セール品の押し売り見たくなってきたね。
 でも私、要らないものは「要らない」って言えるタイプの人だから。それに、無料ただより高いものはないっていうしね。変な力を持つことで無駄な戦いに巻き込まれたり、力に溺れてヒサメくんに逆らえなくなったりしたら本末転倒だし。

「さすがはボクの姉さんです。謙虚なあなたには1%、さっきの10倍の魔力の使用権を……」
「だから要らないってば」
「え、しょうがないですね。だったら10%までですよ……」
「いやそういうのではなく。本当に要らないから……」
「えっ⁉︎」

 ヒサメくんは私が「魔力は要らない」って言っているのだとわかると「言葉の意味はわかるが何を言っているのか分からない」みたいな顔をしてキョトンとしていた。

「アカネさん。その、言葉の意味はわかるんですがアカネ姉さんが何を言いたいのか、その意図が全く掴めません……」
「あ、本当に言うんだ。てか言ってることは単純だよ。私にはヒサメくんの魔力は必要ないってこと」
「でも、アカネさんは見たところなんの加護も受けていませんよね。自前の魔力だけだと不便じゃないですか?」
「まあ、私にとっては魔力無しこっちのが当たり前だったからね……」

 馬車に揺られながら丁寧に説明すると、ようやくヒサメくんは納得してくれたみたい。いやみた感じ「納得した」と言うよりは「理解するのを諦めた」に近いかな。
 今まで魔力を欲しがる人ばかりだったから私みたいな人は珍しいのかもしれない。だったら私が、世の中には金に釣られる安い女ばかりじゃないってことを教えてあげないとね。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~

ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。 休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。 啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。 異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。 これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。

処理中です...