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旅3
大変ありがたい申し出ですが、今回は見送りさせていただきます。
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「とりあえずこれ、お返ししようと思うんだけどどうしたら良いの?」
「えっと、ボクがお姉さんに許可したのは一回分の魔力の使用権なので、もう元に戻っていると思いますよ。でも、こんなすごい力なのに手放しても良いんですか?」
「うんまあ、私には別に必要ないからね。暑い時に涼しくなるぐらいの力だったらもらってもよかったけど、これはさすがに過ぎた力というか……」
「え、大丈夫ですか? アカネお姉さん、記憶とともに欲望も失ったりしてないです?」
うん。余計なお世話だよね。
多分、仲良くなったお坊ちゃんから突然大金を渡されるのと感覚的には同じなんだと思う。お金をもらえるのは嬉しいけど、そうじゃないと言うか……。
それに、こんな軽い調子で雪景色を作ってしまう力って、逆に使いにくい気がするんだよね。何事もほどほどがいいというか。
今回はたまたま射線上に誰もいなかったみたいだけど、もしこれが人に当たってたら凍傷じゃ済まないだろうし、間違って都会なんかで発動したら大迷惑だろうしね。
「うん。まあなくて困るものでもないし、別にいいかな。私もとから冷え性だし、これ以上やると雪女になりかねないし……」
「雪女? ……でも、いいんですか? こんな機会そうそう訪れませんよ? 僕ならアカネ姉さんに、さっき以上の力も与えることができるんですよ⁉︎」
なんか、セール品の押し売り見たくなってきたね。
でも私、要らないものは「要らない」って言えるタイプの人だから。それに、無料より高いものはないっていうしね。変な力を持つことで無駄な戦いに巻き込まれたり、力に溺れてヒサメくんに逆らえなくなったりしたら本末転倒だし。
「さすがはボクの姉さんです。謙虚なあなたには1%、さっきの10倍の魔力の使用権を……」
「だから要らないってば」
「え、しょうがないですね。だったら10%までですよ……」
「いやそういうのではなく。本当に要らないから……」
「えっ⁉︎」
ヒサメくんは私が本気で「魔力は要らない」って言っているのだとわかると「言葉の意味はわかるが何を言っているのか分からない」みたいな顔をしてキョトンとしていた。
「アカネさん。その、言葉の意味はわかるんですがアカネ姉さんが何を言いたいのか、その意図が全く掴めません……」
「あ、本当に言うんだ。てか言ってることは単純だよ。私にはヒサメくんの魔力は必要ないってこと」
「でも、アカネさんは見たところなんの加護も受けていませんよね。自前の魔力だけだと不便じゃないですか?」
「まあ、私にとっては魔力無しのが当たり前だったからね……」
馬車に揺られながら丁寧に説明すると、ようやくヒサメくんは納得してくれたみたい。いやみた感じ「納得した」と言うよりは「理解するのを諦めた」に近いかな。
今まで魔力を欲しがる人ばかりだったから私みたいな人は珍しいのかもしれない。だったら私が、世の中には金に釣られる安い女ばかりじゃないってことを教えてあげないとね。
「えっと、ボクがお姉さんに許可したのは一回分の魔力の使用権なので、もう元に戻っていると思いますよ。でも、こんなすごい力なのに手放しても良いんですか?」
「うんまあ、私には別に必要ないからね。暑い時に涼しくなるぐらいの力だったらもらってもよかったけど、これはさすがに過ぎた力というか……」
「え、大丈夫ですか? アカネお姉さん、記憶とともに欲望も失ったりしてないです?」
うん。余計なお世話だよね。
多分、仲良くなったお坊ちゃんから突然大金を渡されるのと感覚的には同じなんだと思う。お金をもらえるのは嬉しいけど、そうじゃないと言うか……。
それに、こんな軽い調子で雪景色を作ってしまう力って、逆に使いにくい気がするんだよね。何事もほどほどがいいというか。
今回はたまたま射線上に誰もいなかったみたいだけど、もしこれが人に当たってたら凍傷じゃ済まないだろうし、間違って都会なんかで発動したら大迷惑だろうしね。
「うん。まあなくて困るものでもないし、別にいいかな。私もとから冷え性だし、これ以上やると雪女になりかねないし……」
「雪女? ……でも、いいんですか? こんな機会そうそう訪れませんよ? 僕ならアカネ姉さんに、さっき以上の力も与えることができるんですよ⁉︎」
なんか、セール品の押し売り見たくなってきたね。
でも私、要らないものは「要らない」って言えるタイプの人だから。それに、無料より高いものはないっていうしね。変な力を持つことで無駄な戦いに巻き込まれたり、力に溺れてヒサメくんに逆らえなくなったりしたら本末転倒だし。
「さすがはボクの姉さんです。謙虚なあなたには1%、さっきの10倍の魔力の使用権を……」
「だから要らないってば」
「え、しょうがないですね。だったら10%までですよ……」
「いやそういうのではなく。本当に要らないから……」
「えっ⁉︎」
ヒサメくんは私が本気で「魔力は要らない」って言っているのだとわかると「言葉の意味はわかるが何を言っているのか分からない」みたいな顔をしてキョトンとしていた。
「アカネさん。その、言葉の意味はわかるんですがアカネ姉さんが何を言いたいのか、その意図が全く掴めません……」
「あ、本当に言うんだ。てか言ってることは単純だよ。私にはヒサメくんの魔力は必要ないってこと」
「でも、アカネさんは見たところなんの加護も受けていませんよね。自前の魔力だけだと不便じゃないですか?」
「まあ、私にとっては魔力無しのが当たり前だったからね……」
馬車に揺られながら丁寧に説明すると、ようやくヒサメくんは納得してくれたみたい。いやみた感じ「納得した」と言うよりは「理解するのを諦めた」に近いかな。
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