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旅3
異世界だと料理のお手伝いも楽じゃない
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私としては、今後一人でテントを立てる時の予行演習としてテント設営を手伝いたかったんだけど、わがまま言って手伝わせてもらってるんだから贅沢は言わない。
それに私自身、料理は苦手な方じゃないはずだしね。
こう見えて家庭的なところもあることをヒサメくんに見せつけて行こう!
「ヒサメくんはお料理得意?」
「いえ、今まで経験したことがないです。アカネ姉さんは得意なんですか?」
「私はねぇ……」
ヒサメくんに「そこそこ得意」と言おうとして調理場を見たら私の知らない光景が広がっていた。
まず当然といえば当然かもしれないけど、調理のスタートは肉の解体から進むらしい。今日のメインは道中で捕らえた鹿のような魔獣の肉で、すでに毛皮と肉には分けられてるけど、ここからさらに部位ごとに分解したりするの?
てか、調理には刃物じゃなくて魔力を宿した手刀が使われていたり、鍋の火力調節にも魔導技術が使われていたりと、一言で表すと「私の知ってる料理じゃない」ってことだけはわかる。
「私も……実はあんまり詳しくないんだ。偉そうなこと言っといて役に立てなさそうでごめんね」
「いえ、アカネ姉さんは記憶喪失なので仕方ありませんよ。それに、アカネ姉さんと一緒に勉強できて、ボクはそっちの方が嬉しいです」
「だよね! わかんないことはこれから勉強すれば良いんだもんね!」
まあ、そもそも魔力を持たない私が役に立てるのかどうかは知らないけど。
やっぱりヒサメくんに魔力をもらっといた方が良かったのかな。いやいや、あの威力は料理するのには持て余してるし。それよりも魔道具の取り扱いに慣れるのが先かな。
「お待ちしておりましたヒサメ様、アカネ様。早速ですがお二人には肉や野菜を食べやすい大きさに切り分けてもらいます。下処理が終わった食材をお渡ししますので、一口で食べられる大きさになるようにして下さい。切り終わったらそちらの鍋に入れてくださいね」
「「はい、わかりました!」」
騎士たちのネットワークで、私とヒサメくんが手伝いに行くってことはもう伝わっていたみたい。
私たちの仕事は野菜や肉を切るだけの仕事。まあ、素人にいきなり難しい仕事は任せられないよね。とはいえそもそも作ろうとしているもの自体が、適当に鍋に突っ込んで煮るだけの簡単な料理みたいだから、そもそも難しい工程がないだけなのかもしれないけど。
「ところで、せめて何か刃物を使いたいんですけど……ナイフとかってありますか? できるだけ清潔なやつを……」
「刃物? こちらの小刀でしたら未使用なので清潔ですしお貸ししても構いませんが。手刀で切った方が楽ですよ?」
そりゃ、君達からしたらそうだろうけどね。
私は魔力がないから、ひとつひとつ包丁で切らないとダメなんだよね……。
私が騎士さんからナイフを受け取ると、ヒサメくんも私の真似をしたのか懐からナイフを取り出した。
「それでアカネ姉さん、この野菜はどう切れば良いんですか?」
「え、そんなの適当で良いんじゃない? 料理にはある程度の適当さも大事なんだよ」
「そうなんですね! 勉強になります!」
ごめんヒサメくん。
私のこのセリフ自体が適当に言ったものなんだけど……。
でもまあ実際そんなもんだろうし、とりあえず刃物を使うから怪我しないように注意だけすれば大丈夫だよね。
それに私自身、料理は苦手な方じゃないはずだしね。
こう見えて家庭的なところもあることをヒサメくんに見せつけて行こう!
「ヒサメくんはお料理得意?」
「いえ、今まで経験したことがないです。アカネ姉さんは得意なんですか?」
「私はねぇ……」
ヒサメくんに「そこそこ得意」と言おうとして調理場を見たら私の知らない光景が広がっていた。
まず当然といえば当然かもしれないけど、調理のスタートは肉の解体から進むらしい。今日のメインは道中で捕らえた鹿のような魔獣の肉で、すでに毛皮と肉には分けられてるけど、ここからさらに部位ごとに分解したりするの?
てか、調理には刃物じゃなくて魔力を宿した手刀が使われていたり、鍋の火力調節にも魔導技術が使われていたりと、一言で表すと「私の知ってる料理じゃない」ってことだけはわかる。
「私も……実はあんまり詳しくないんだ。偉そうなこと言っといて役に立てなさそうでごめんね」
「いえ、アカネ姉さんは記憶喪失なので仕方ありませんよ。それに、アカネ姉さんと一緒に勉強できて、ボクはそっちの方が嬉しいです」
「だよね! わかんないことはこれから勉強すれば良いんだもんね!」
まあ、そもそも魔力を持たない私が役に立てるのかどうかは知らないけど。
やっぱりヒサメくんに魔力をもらっといた方が良かったのかな。いやいや、あの威力は料理するのには持て余してるし。それよりも魔道具の取り扱いに慣れるのが先かな。
「お待ちしておりましたヒサメ様、アカネ様。早速ですがお二人には肉や野菜を食べやすい大きさに切り分けてもらいます。下処理が終わった食材をお渡ししますので、一口で食べられる大きさになるようにして下さい。切り終わったらそちらの鍋に入れてくださいね」
「「はい、わかりました!」」
騎士たちのネットワークで、私とヒサメくんが手伝いに行くってことはもう伝わっていたみたい。
私たちの仕事は野菜や肉を切るだけの仕事。まあ、素人にいきなり難しい仕事は任せられないよね。とはいえそもそも作ろうとしているもの自体が、適当に鍋に突っ込んで煮るだけの簡単な料理みたいだから、そもそも難しい工程がないだけなのかもしれないけど。
「ところで、せめて何か刃物を使いたいんですけど……ナイフとかってありますか? できるだけ清潔なやつを……」
「刃物? こちらの小刀でしたら未使用なので清潔ですしお貸ししても構いませんが。手刀で切った方が楽ですよ?」
そりゃ、君達からしたらそうだろうけどね。
私は魔力がないから、ひとつひとつ包丁で切らないとダメなんだよね……。
私が騎士さんからナイフを受け取ると、ヒサメくんも私の真似をしたのか懐からナイフを取り出した。
「それでアカネ姉さん、この野菜はどう切れば良いんですか?」
「え、そんなの適当で良いんじゃない? 料理にはある程度の適当さも大事なんだよ」
「そうなんですね! 勉強になります!」
ごめんヒサメくん。
私のこのセリフ自体が適当に言ったものなんだけど……。
でもまあ実際そんなもんだろうし、とりあえず刃物を使うから怪我しないように注意だけすれば大丈夫だよね。
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