41 / 89
旅3
弟が危なっかしくて見てらんない
しおりを挟む
うん。
いやさ、確かに私は「適当で良い」って言ったけどさ。
でも、まな板を通り抜けてテーブルごと真っ二つにするのは違うと思うんだよね……。
魔道を使ってもらってナイフを消毒してもらって、ついでに木の板を加工してもらってまな板も作ってもらったところまでは良い感じだったんだよ。
でも、私がナイフで皮を剥いたニンジンのような野菜をヒサメくんのまな板の上に置いて「切ってみて」って言った途端にこれだよ。
「ごめんなさい、アカネ姉さん……」
「いや良いよ、これは私も予想外だったし。でもあとで謝りにいこっか、私もついてくから。
それよりもヒサメくんは手加減ってものを覚えた方がいいんじゃないかな。ほら、こうやってトントンって切れば綺麗に切れるから」
「うん。ありがとう……頑張る!」
とりあえずヒサメくんの使っていたテーブルは諦めて、少し狭いけど私のテーブルを二人で使うことにしようかな。
それにしても、お馬さんに乗って無双していたヒサメくんと同じ人とは思えないぐらいヒサメくんは不器用だった。さすがにテーブルごと真っ二つになることはもうなさそうだけど、一振りごとにまな板に刃物の跡が刻まれていく。
かと思ったら今度は手加減しすぎたのかうまく最後まで切ることができずにアコーディオンみたいに繋がったままだったり。
「ごめんなさい、アカネ姉さん……」
「まあ、初めはみんなそんなもんだよ。きっと。練習すればすぐに上達するって! だからあまり落ち込まないで」
「うん、わかった……」
ヤッバイ。
しょんぼりする弟って、可愛くない? なんていうか庇護欲をかきたてるっていうか……。
今までそんなこと考えたこともなたなかったんだけど、目の当たりにするとやっぱ違うね……って、そうじゃなくて。
「ヒサメくん、もっと力を抜いて。ほらだから、こうやって力抜いて、ああもう! 包丁は押すんじゃなくて、手前に引くの。だからこうやって……あ、」
「えっと、こう、ですか?」
思わずヒサメくんの手を握ってしまったけど、手の小ささにびっくりしちゃった。……って、そうじゃなくって‼︎
ヒサメくんも顔を赤らめないで! ッスゥー、ハァー!
「そう、そんな感じ! だいぶ上手くなってきたじゃない! さすがヒサメくんね!」
「そんな、お姉さんの教え方がうまいからですよ!」
「やだもう、褒めたって何も出ないわよ!」
口ではそういうものの、心臓が口から飛び出そうなぐらいに高鳴ってるんだけど⁉︎
まさか、これが恋?
「お姉さん、見てください。綺麗に切れました!」
「そうだね! その調子だよ!」
……お前の笑顔の方が綺麗だよ!
って、そんなことを言ったら幻滅されるだろうから口には出さないけど。
いやさ、確かに私は「適当で良い」って言ったけどさ。
でも、まな板を通り抜けてテーブルごと真っ二つにするのは違うと思うんだよね……。
魔道を使ってもらってナイフを消毒してもらって、ついでに木の板を加工してもらってまな板も作ってもらったところまでは良い感じだったんだよ。
でも、私がナイフで皮を剥いたニンジンのような野菜をヒサメくんのまな板の上に置いて「切ってみて」って言った途端にこれだよ。
「ごめんなさい、アカネ姉さん……」
「いや良いよ、これは私も予想外だったし。でもあとで謝りにいこっか、私もついてくから。
それよりもヒサメくんは手加減ってものを覚えた方がいいんじゃないかな。ほら、こうやってトントンって切れば綺麗に切れるから」
「うん。ありがとう……頑張る!」
とりあえずヒサメくんの使っていたテーブルは諦めて、少し狭いけど私のテーブルを二人で使うことにしようかな。
それにしても、お馬さんに乗って無双していたヒサメくんと同じ人とは思えないぐらいヒサメくんは不器用だった。さすがにテーブルごと真っ二つになることはもうなさそうだけど、一振りごとにまな板に刃物の跡が刻まれていく。
かと思ったら今度は手加減しすぎたのかうまく最後まで切ることができずにアコーディオンみたいに繋がったままだったり。
「ごめんなさい、アカネ姉さん……」
「まあ、初めはみんなそんなもんだよ。きっと。練習すればすぐに上達するって! だからあまり落ち込まないで」
「うん、わかった……」
ヤッバイ。
しょんぼりする弟って、可愛くない? なんていうか庇護欲をかきたてるっていうか……。
今までそんなこと考えたこともなたなかったんだけど、目の当たりにするとやっぱ違うね……って、そうじゃなくて。
「ヒサメくん、もっと力を抜いて。ほらだから、こうやって力抜いて、ああもう! 包丁は押すんじゃなくて、手前に引くの。だからこうやって……あ、」
「えっと、こう、ですか?」
思わずヒサメくんの手を握ってしまったけど、手の小ささにびっくりしちゃった。……って、そうじゃなくって‼︎
ヒサメくんも顔を赤らめないで! ッスゥー、ハァー!
「そう、そんな感じ! だいぶ上手くなってきたじゃない! さすがヒサメくんね!」
「そんな、お姉さんの教え方がうまいからですよ!」
「やだもう、褒めたって何も出ないわよ!」
口ではそういうものの、心臓が口から飛び出そうなぐらいに高鳴ってるんだけど⁉︎
まさか、これが恋?
「お姉さん、見てください。綺麗に切れました!」
「そうだね! その調子だよ!」
……お前の笑顔の方が綺麗だよ!
って、そんなことを言ったら幻滅されるだろうから口には出さないけど。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる