目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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旅3

弟が危なっかしくて見てらんない

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 うん。
 いやさ、確かに私は「適当で良い」って言ったけどさ。
 でも、まな板を通り抜けてテーブルごと真っ二つにするのは違うと思うんだよね……。
 魔道を使ってもらってナイフを消毒してもらって、ついでに木の板を加工してもらってまな板も作ってもらったところまでは良い感じだったんだよ。
 でも、私がナイフで皮を剥いたニンジンのような野菜をヒサメくんのまな板の上に置いて「切ってみて」って言った途端にこれだよ。

「ごめんなさい、アカネ姉さん……」
「いや良いよ、これは私も予想外だったし。でもあとで謝りにいこっか、私もついてくから。
 それよりもヒサメくんは手加減ってものを覚えた方がいいんじゃないかな。ほら、こうやってトントンって切れば綺麗に切れるから」
「うん。ありがとう……頑張る!」

 とりあえずヒサメくんの使っていたテーブルは諦めて、少し狭いけど私のテーブルを二人で使うことにしようかな。
 それにしても、お馬さんに乗って無双していたヒサメくんと同じ人とは思えないぐらいヒサメくんは不器用だった。さすがにテーブルごと真っ二つになることはもうなさそうだけど、一振りごとにまな板に刃物の跡が刻まれていく。
 かと思ったら今度は手加減しすぎたのかうまく最後まで切ることができずにアコーディオンみたいに繋がったままだったり。

「ごめんなさい、アカネ姉さん……」
「まあ、初めはみんなそんなもんだよ。きっと。練習すればすぐに上達するって! だからあまり落ち込まないで」
「うん、わかった……」

 ヤッバイ。
 しょんぼりする弟って、可愛くない? なんていうか庇護欲をかきたてるっていうか……。
 今までそんなこと考えたこともなたなかったんだけど、目の当たりにするとやっぱ違うね……って、そうじゃなくて。

「ヒサメくん、もっと力を抜いて。ほらだから、こうやって力抜いて、ああもう! 包丁は押すんじゃなくて、手前に引くの。だからこうやって……あ、」
「えっと、こう、ですか?」

 思わずヒサメくんの手を握ってしまったけど、手の小ささにびっくりしちゃった。……って、そうじゃなくって‼︎
 ヒサメくんも顔を赤らめないで! ッスゥー、ハァー!

「そう、そんな感じ! だいぶ上手くなってきたじゃない! さすがヒサメくんね!」
「そんな、お姉さんの教え方がうまいからですよ!」
「やだもう、褒めたって何も出ないわよ!」

 口ではそういうものの、心臓が口から飛び出そうなぐらいに高鳴ってるんだけど⁉︎
 まさか、これが恋?

「お姉さん、見てください。綺麗に切れました!」
「そうだね! その調子だよ!」

 ……お前の笑顔の方が綺麗だよ!
 って、そんなことを言ったら幻滅されるだろうから口には出さないけど。
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