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大平原
超大家族
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「アカネさん、あれは一体なんですか? まるで大地が移動しているような……」
「私にもそう見えるよ、シグレさん。そんなわけはないんだろうけど……」
仔馬さんの先導について凄い進むと、地響きとともに大地が迫ってくるような感覚に襲われた。まだ距離はあるけれど、このまま進めばぶつかりそう。
『お主よ、あれは魔馬の……』
「アカネさん! もしかしてあれって全部、馬の群れじゃないですか? ほら、目を凝らすと土煙の合間から……」
「あ本当だ! お馬さん、そういうことであってる?」
『そのようである。もともと魔馬はあそこまで群れの規模を大きくすることはないのだが、もしかしたら人間どもに対抗するために群れを巨大化しておるのかもしれぬ。あの群れを率いれば人間どもを蹂躙することなど容易かろうな! いずれにせよ奴らはどうやら我らの群れの元へと向かって移動しているようである。お主よ、一度奴らと合流し、この魔馬どもを預けてしまいたいのだが……』
「私もそれに賛成。シグレさん、一度あの馬の群れと合流したいんだけど、特に問題はないよね」
「ええ、私は構いませんよ。完全にアカネさんにお任せ状態で申し訳ないのですが」
「そんな、お互い厄介ごとに巻き込まれただけだし、気にしないでよ!」
それからしばらく進むと馬の群れが目と鼻の先まで近づいてきた。と、一定の距離感になったタイミングで馬の群れの進行が止まり、仔馬さんとお馬さんも足を止めて群れと群れが対峙した形になった。
『お主よ、荷馬車を一度その馬に繋ぎかえ、お主は我に乗り換えるがよい。これから群れの首領と交渉をせねばならぬ』
「そうなんだ。えっとシグレさん。これからあの群れのリーダーと話し合いをするみたいなんだけど、シグレさんもついてくる?」
「いえ、私は……。あの、違ってたら失礼と思って聞かずにいたんですが、アカネさんはもしかして馬達が話している言葉を聞き取れるのですか⁉︎」
「え、うん。そうだけど、言ってなかったっけ」
「聞いてないです! 馬屋になると馬語も話せるようになるんですね、凄いです!」
『……お主よ、我らの言葉を聞き取れるのはお主が異常なのだからな。少なくとも我は、我の言葉が通じる人間を他には知らぬ』
うん。というか私はそもそも馬屋ってわけじゃないんだけどね。シグレさんにはまずはその辺りの誤解を解く必要がありそうかな。
「それじゃあシグレさんはここで待ってて。私はお馬さんと一緒に話をつけてくるから」
馬からお馬さんに乗り換えて、仔馬さんとお馬さんの二頭で群れから抜け出ると、向こうの群れからも代表らしき魔馬が一頭、飛び出してきた。
『おいてめえ、まさか人を乗せたまま交渉しようってんじゃねぇだろうな⁉︎ 人族を保護しようってのは結構なこったが言葉の通じねえそれは邪魔だ。その辺に降ろしておきな!』
『お主よ、失礼な同族ですまぬな』
「ほんと、失礼な馬さんだよね。人を荷物みたいに言うんだもん」
『なぬ⁉︎ おいおまえ、そいつはもしかして俺たちの言葉を理解しているのか? それともたまたまか?』
『安心せよ、我が主人は我らの言葉を完璧に理解しておる』
『そうだよ! お姉さんに謝ってよ!』
「いや、いいよ仔馬さん。私だって言葉が通じないと思ったらあんな感じの態度を取っちゃうだろうし」
『そんなことないもん! お姉さんは後ろの馬達にも優しいもん!』
『と、このようなやつなのだ。我らの話し合いに混ぜてやっても問題なかろう?』
『ああ、すまなかったな人間。それでおまえらもあいつらに追われてきたのか?』
『そうなのだ。我は最近この平原に戻ったばかりで明るくないのだが、ああいう輩は多いのか?』
『そうだな、まずはその辺りから話すとするか。だがいつまでも一カ所にとどまるのはよくない、群れを動かしながらでもいいか?』
『お主よ、問題ないか?』
「いいよ。でも一応シグレさんにも聞いておかないとね」
「私にもそう見えるよ、シグレさん。そんなわけはないんだろうけど……」
仔馬さんの先導について凄い進むと、地響きとともに大地が迫ってくるような感覚に襲われた。まだ距離はあるけれど、このまま進めばぶつかりそう。
『お主よ、あれは魔馬の……』
「アカネさん! もしかしてあれって全部、馬の群れじゃないですか? ほら、目を凝らすと土煙の合間から……」
「あ本当だ! お馬さん、そういうことであってる?」
『そのようである。もともと魔馬はあそこまで群れの規模を大きくすることはないのだが、もしかしたら人間どもに対抗するために群れを巨大化しておるのかもしれぬ。あの群れを率いれば人間どもを蹂躙することなど容易かろうな! いずれにせよ奴らはどうやら我らの群れの元へと向かって移動しているようである。お主よ、一度奴らと合流し、この魔馬どもを預けてしまいたいのだが……』
「私もそれに賛成。シグレさん、一度あの馬の群れと合流したいんだけど、特に問題はないよね」
「ええ、私は構いませんよ。完全にアカネさんにお任せ状態で申し訳ないのですが」
「そんな、お互い厄介ごとに巻き込まれただけだし、気にしないでよ!」
それからしばらく進むと馬の群れが目と鼻の先まで近づいてきた。と、一定の距離感になったタイミングで馬の群れの進行が止まり、仔馬さんとお馬さんも足を止めて群れと群れが対峙した形になった。
『お主よ、荷馬車を一度その馬に繋ぎかえ、お主は我に乗り換えるがよい。これから群れの首領と交渉をせねばならぬ』
「そうなんだ。えっとシグレさん。これからあの群れのリーダーと話し合いをするみたいなんだけど、シグレさんもついてくる?」
「いえ、私は……。あの、違ってたら失礼と思って聞かずにいたんですが、アカネさんはもしかして馬達が話している言葉を聞き取れるのですか⁉︎」
「え、うん。そうだけど、言ってなかったっけ」
「聞いてないです! 馬屋になると馬語も話せるようになるんですね、凄いです!」
『……お主よ、我らの言葉を聞き取れるのはお主が異常なのだからな。少なくとも我は、我の言葉が通じる人間を他には知らぬ』
うん。というか私はそもそも馬屋ってわけじゃないんだけどね。シグレさんにはまずはその辺りの誤解を解く必要がありそうかな。
「それじゃあシグレさんはここで待ってて。私はお馬さんと一緒に話をつけてくるから」
馬からお馬さんに乗り換えて、仔馬さんとお馬さんの二頭で群れから抜け出ると、向こうの群れからも代表らしき魔馬が一頭、飛び出してきた。
『おいてめえ、まさか人を乗せたまま交渉しようってんじゃねぇだろうな⁉︎ 人族を保護しようってのは結構なこったが言葉の通じねえそれは邪魔だ。その辺に降ろしておきな!』
『お主よ、失礼な同族ですまぬな』
「ほんと、失礼な馬さんだよね。人を荷物みたいに言うんだもん」
『なぬ⁉︎ おいおまえ、そいつはもしかして俺たちの言葉を理解しているのか? それともたまたまか?』
『安心せよ、我が主人は我らの言葉を完璧に理解しておる』
『そうだよ! お姉さんに謝ってよ!』
「いや、いいよ仔馬さん。私だって言葉が通じないと思ったらあんな感じの態度を取っちゃうだろうし」
『そんなことないもん! お姉さんは後ろの馬達にも優しいもん!』
『と、このようなやつなのだ。我らの話し合いに混ぜてやっても問題なかろう?』
『ああ、すまなかったな人間。それでおまえらもあいつらに追われてきたのか?』
『そうなのだ。我は最近この平原に戻ったばかりで明るくないのだが、ああいう輩は多いのか?』
『そうだな、まずはその辺りから話すとするか。だがいつまでも一カ所にとどまるのはよくない、群れを動かしながらでもいいか?』
『お主よ、問題ないか?』
「いいよ。でも一応シグレさんにも聞いておかないとね」
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