目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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大平原

馬達の現状

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「お馬さん、お待たせ」
『お主か。どうやら族どもが我らの追跡を再開したらしい。まだ急がずとも良いが早めにここを離れた方が良さそうである』
「そうなんだ。じゃあ出発……あれ、この群れのおささんは?」
群長むれおさは、ほかの馬達と連絡を取るそうだ。すぐに戻る、戻ったらすぐに出発すると言っておったから、お主は我の上で待機するのがよかろう』
「そうさせてもらおう、かな」
 再びお馬さんの背中の上に戻って、高い視点から馬の群れを見ると、馬の数が随分と増えたっていうか、一気に増えすぎっていうか。馬の背中で地面も見えない状態がかなり遠くの方まで続いている。
 馬群の長さんが「連絡をとってくる」と言っていたということは、お馬さんや仔馬さんのように言葉を話せる魔馬がこの群れには長さん以外に何頭なんにんか他にもいるってことだと思う。魔馬が言葉を理解できるようになる条件は幼い頃に人に捕まって調教されることだから、素直に言葉が通じることを喜んでいいのかどうか。
 ちなみに、普通の馬は品種改良とかも行われているらしいけど、魔馬の人工繁殖は今のところあまり上手くいっていないらしい。というのも魔馬は産まれてから数日間は同じ魔馬の群れの中で過ごさないとあっという間に魔力が抜けて普通の馬に戻ってしまうらしいから。
 お馬さんにも細かい理屈まではよくわかっていないらしいけど、魔力にも浸透圧みたいなのがあって体内の魔力生産機構ができるまでは群れの中で親たちの魔力を借りて過ごす必要があるんだって。
 つまりこの群れに言葉を話せる魔馬がたくさんいるということは、それだけ多くの魔馬が無理やり人間に捕まってその後逃げ出したが逃されてきたってことになる。あまり健全な状態とは言えない気がするね。

『すまんな、待たせたか?』
「私も今戻ったところ。そっちの話は大丈夫だったの?」
『……あ、ああ。人間と話すってのは慣れねえな。だが群れの連中にお前のことを紹介はしておいた。皆半信半疑ではあるが概ねお前のことを受け入れるつもりではあるらしいから安心しな!』
『うむ。基本的に我らは人間に育てられてきた過去を持つが、それ故にお主のような者がいないということも実感しておるからな。言葉の通じる人間がいたと言われてもすぐには信用できぬのであろう』
「そんなもんなんだ……」
 ていうか、てっきり私はお馬さんたちがに話しかけてるから他の人には通じないみたいな感じなのかもって思ってたけど、今の話を聞くとどちらかというと他の人には話しかけても届かない感じなの?
「ねえお馬さん、つかぬことを聞くんだけど。なんで私にはお馬さんたちの話している言葉を理解できるのかな」
『さてな。その辺りの理屈は我にはわからぬが、少なくともお主を初めて一目見た瞬間から話が通じそうだとは思った。だからこそあの時声をかけたのだが……そう言えばなぜ我はそう思ったのであろうな……』
『ちょっと口を挟んでもいいか? これは俺の推測なんだが、お前が背に乗せている人間はどう考えても魔力が低すぎることと関係があるんじゃないか? 俺らの会話もどうやら魔力を通して行われてるって話してるやつもいるぐらいだしな』
「え、どういうこと?
『なるほど、それは一理あるかも知れぬ。人間は魔馬以上の魔力を体内に抱え込んでおるから、我らの微細な魔力による会話を聞きとれぬのかも知れぬな。その点お主は魔力に対して剥き出しになっておるからな……』
『まあこれも推測に過ぎねえが、俺らにとって重要なのは、お前は言葉の通じる仲間だってことだ。それよりもこれ以上は走りながら話すことにしよう、流石にこれ以上この場にとどまるのはあまりよくない』

 そう言って長さんはゆっくりと歩き出すので、私の乗るお馬さんにも長さんについていくような合図を出しておいた。さっきまで普通の馬に乗って走っていたからわかるけど、お馬さんは実は私が合図を出すより前に動き始めてる。多分将来的に私が普通の馬に乗ってもちゃんとできるようにわざわざ合図を出す練習をさせてくれてるんだと思う。
 そんなことにまで気が効くお馬さんはマジでイケメンだと思う。
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