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えっと……お仕事終わりかな???
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『「我らの願いはただ一つ、盟友の障害となる仇敵を討ち果たすのみ!」』
「「……????」」
魔王さんに面倒ごとを押し付けた翌日、いけしゃあしゃあとやって来た私たちを待っていたのは……固く結束して私たちを睨みつける魔王さんと自称勇者さんペア。
いつぞやの雌豚さんのように、昨日とは打って変わった態度を見せる自称勇者さんに困惑する私とセシリア。
そんな私たちの肩をポンポンと叩く猫耳の獣人さん。
『……えーと。 私は魔王様の側近のミーナと申します。 以後お見知り置きをアリスさんとセシリアさん』
『あぁはい。 それで……この状況を説明してもらっても?』
『私もそのつもりでした。 ただ……どちゃくそにバカバカしい話ですけど本当に聞きます?』
『えっとまぁ……一応お願いします』
私の嘆願を聞いてゆっくりと話し始めたミーナさんの話は、前置き通り本当にバカバカしいものでした。
聞くところによると昨日、自称勇者さんを預けられた魔王さんは腹を割って話をするべく、人間の言語が少し分かるミーナさんを通訳代わりにして行きつけの酒場に向かったのだとか。
初めのうちはお互いに気まずい雰囲気が流れていたようですが……流石は酒の力と言うべきか次第に話が弾んでいったらしく……気がついたら話題は私たちのことに。
初めは異種族通訳者としての私アリスの話だったようですが……やがて熱を帯びてセシリアにボコされた話になったのだとか。
そして男たちは同盟を結んだそうです……外的を倒すために。
『なんとまぁ馬鹿らしい……』
『本当ですよねー。 私も途中で止めておけばこんなことにならなかったのですが……』
だったらあなたが止めてくださいよ!?
そう叫びたい衝動をグッと飲み込みました。
分かりますよその気持ち。 通訳の立場で議論に口を挟むのはなかなかに勇気が要りますもんね。
相手が自分の上司である魔王さんならば尚更でしょう。
『「かかってこいセシリア! 我ら二人が力を合わせたのならば……誰も敵いはしない!」』
弱い犬ほどよく吠える。
どこかの国のことわざですが……本当ならばこの二人とも群れる必要がないくらいに強いんですけどねぇ……。
セシリアが規格外なだけで、二人とも純粋な戦闘能力で言えば敵う相手はそういないと思います……たぶんね。
しかしまぁ……いくら束になったと言えど……その選択はあまりに愚かだとしか言えませんね。
「なかなかに面白いことを言ってくれるね。 さて……何分持つかな?」
かつて見たことの無いくらい好戦的な笑みを浮かべたセシリア。
嬉々として杖を抜いたセシリアによって二人が蹂躙されるのは……一分にも満たない間の出来事でした。
★★★★★
『「本っ当に申し訳ありませんでした!!!!」』
セシリアに蹂躙され、プライドをへし折られた二人は地面に頭を擦り付けてセシリアに許しを乞うておりました。
「ふふっ。 私だって楽しい時間を過ごさせてもらったからそんなに謝る必要は無いさ。 最も……もしもアリスを人質に取るような巫山戯た真似をしたら許さないが」
セシリアの言葉にひえっ! と肩をふるわせる若干一名。
その言葉に嘘偽りが含まれていないことに気がついたのでしょう。
楽しい時間(一分足らず)を過ごして満足したセシリアと対照的に意気消沈した魔王勇者軍団。 結果としては自称勇者さんの偏りまくった思想の矯正には成功しましたね。
色々と紆余曲折はありましたが……これで今回の依頼は終了……ですかね?
「「……????」」
魔王さんに面倒ごとを押し付けた翌日、いけしゃあしゃあとやって来た私たちを待っていたのは……固く結束して私たちを睨みつける魔王さんと自称勇者さんペア。
いつぞやの雌豚さんのように、昨日とは打って変わった態度を見せる自称勇者さんに困惑する私とセシリア。
そんな私たちの肩をポンポンと叩く猫耳の獣人さん。
『……えーと。 私は魔王様の側近のミーナと申します。 以後お見知り置きをアリスさんとセシリアさん』
『あぁはい。 それで……この状況を説明してもらっても?』
『私もそのつもりでした。 ただ……どちゃくそにバカバカしい話ですけど本当に聞きます?』
『えっとまぁ……一応お願いします』
私の嘆願を聞いてゆっくりと話し始めたミーナさんの話は、前置き通り本当にバカバカしいものでした。
聞くところによると昨日、自称勇者さんを預けられた魔王さんは腹を割って話をするべく、人間の言語が少し分かるミーナさんを通訳代わりにして行きつけの酒場に向かったのだとか。
初めのうちはお互いに気まずい雰囲気が流れていたようですが……流石は酒の力と言うべきか次第に話が弾んでいったらしく……気がついたら話題は私たちのことに。
初めは異種族通訳者としての私アリスの話だったようですが……やがて熱を帯びてセシリアにボコされた話になったのだとか。
そして男たちは同盟を結んだそうです……外的を倒すために。
『なんとまぁ馬鹿らしい……』
『本当ですよねー。 私も途中で止めておけばこんなことにならなかったのですが……』
だったらあなたが止めてくださいよ!?
そう叫びたい衝動をグッと飲み込みました。
分かりますよその気持ち。 通訳の立場で議論に口を挟むのはなかなかに勇気が要りますもんね。
相手が自分の上司である魔王さんならば尚更でしょう。
『「かかってこいセシリア! 我ら二人が力を合わせたのならば……誰も敵いはしない!」』
弱い犬ほどよく吠える。
どこかの国のことわざですが……本当ならばこの二人とも群れる必要がないくらいに強いんですけどねぇ……。
セシリアが規格外なだけで、二人とも純粋な戦闘能力で言えば敵う相手はそういないと思います……たぶんね。
しかしまぁ……いくら束になったと言えど……その選択はあまりに愚かだとしか言えませんね。
「なかなかに面白いことを言ってくれるね。 さて……何分持つかな?」
かつて見たことの無いくらい好戦的な笑みを浮かべたセシリア。
嬉々として杖を抜いたセシリアによって二人が蹂躙されるのは……一分にも満たない間の出来事でした。
★★★★★
『「本っ当に申し訳ありませんでした!!!!」』
セシリアに蹂躙され、プライドをへし折られた二人は地面に頭を擦り付けてセシリアに許しを乞うておりました。
「ふふっ。 私だって楽しい時間を過ごさせてもらったからそんなに謝る必要は無いさ。 最も……もしもアリスを人質に取るような巫山戯た真似をしたら許さないが」
セシリアの言葉にひえっ! と肩をふるわせる若干一名。
その言葉に嘘偽りが含まれていないことに気がついたのでしょう。
楽しい時間(一分足らず)を過ごして満足したセシリアと対照的に意気消沈した魔王勇者軍団。 結果としては自称勇者さんの偏りまくった思想の矯正には成功しましたね。
色々と紆余曲折はありましたが……これで今回の依頼は終了……ですかね?
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