どうも初めまして! 異種族通訳者のアリスと申します!

わさびもち

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調子に乗りすぎ、ダメ絶対

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「ふいー! 気持ちぃぃー!」
「ふふっ。 それっ! もっと速度をつけて行くよ?」
「イヤッホー!」

 セシリアの操縦によってぐるんぐるんと空中を縦横無尽に動き回る私たち。
 なぜこんな事をしているのかと言うと……目的地が分からなくなってしまったから。
 セシリアが魔力で作った蝶を先方のエルフさん達に送ったのでそこに関しての問題はないのですが……要は暇つぶしです。
 森の上という邪魔をするものがない所なので……このように童心が騒いでしまうのは仕方ないでしょう。 

「さてアリス! まだまだ行けるよね?」
「……え? うそ。 これ以上はちょっと……?」
「ふふっ。 私の箒に乗ったということは……その覚悟があるということさ!」
「いやちょっ……待ってぇぇぇ!?」

 調子に乗ったセシリアがより一層に速度を増して宙を回転したり、勢いよく滑り落ちたりを開始しました。
 このトラウマになりそうな体験は……エルフさん達から返信が帰ってくるまで数十分に及び続いたのでした。

 ★★★★★

『ようこそお越しいただきました。 アリスさんとセシリアさんですね? 魔法大学の校長さんからお話は聞いております。 私はこの街の村長の……サロメと申します。 以後お見知り置きを。 まずはご馳走を用意しておりますのでそこで依頼内容を……』
「……箒怖い箒怖い箒怖い箒怖い箒怖い箒怖い箒怖い」
『ええと……アリスさん? どうしたのですか?』
『いやぁ……済まないね。 ちょっとここにやって来るまでに一悶着あったんだ』
『そ……そうですか』

 ブツブツと「箒怖い……」と連呼する私に若干引いた様子のサロメさん。
 どちらとも積極的に交流していたという歴史的背景から、エルフの言語は人間と魔族の言語を合体したようなものです。 
 ですから結構難しい言語として有名なんですよね。 最も私には関係ありませんが。 フツーに聞こえますし。

『ええと……。 初めまして。 異種族通訳者のアリスと申します……うっぷ!』
『ええと……大丈夫ですか? 体調が優れないようでしたら私たちの集落で休まれても……』
『いえ……お気づかいなく。 少ししたら落ち着きますから……うっぷ!』

 そう話している間にも先程の箒操縦による酔いがどちゃくそに回ってきました……ヤバいです。 このままじゃありえない醜態を晒す羽目に……!

「……バトンタッチ。 私ちょっとそこの茂みに行ってくるから。 ……お願い……っぷ」
「わ……分かったよ。 ただ……周囲に迷惑をかけないように」
「……(コクリ)」

 最早声を出すのもヤバいです。
 意図が伝わったのを確認した私は足早に茂みへと去っていき……その間にセシリアがサロメさんとのお話を続けてくれました。

「……っ!!!!! ふうっ……」

 ……事を終えた私は何食わぬ顔でセシリアと合流しました。
 その後の歓迎会にて、私が普段と比べて有り得ない程にご飯を食べたのでした。
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