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第13話 ルシード港防衛戦
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「緊急事態です!」
俺たちが重苦しい空気になって考え込んでいるところに、ツクレシーさんが飛び込んできた。
「ランスブルク海軍から応援要請です。ルシード港から敵襲あり、フペイン帝国軍です」
「ルシード港に!?」
ルシード港は俺たちラドニール魔法部隊やラドニール魔法学園があるラドニールのすぐ東にある港で、海の向こうはフペイン帝国だ。
「まずいな……戦況は?」
すかさずジェイソンさんが尋ねた。
「芳しくないようです。なんせランスブルクの首都は反対側ですから、応援が間に合うかどうか……それで、我々に白羽の矢が立ったのだと思われます」
ジェイソンさんは少し考え込んでから、力強くこう言った。
「みんな、ルシード港はここから東にある。万が一ラドニールに攻め込まれることがあれば、ラドニールの市民や学生が犠牲になってしまう!急ぎ防衛戦の準備をしよう。絶対にラドニールをフペイン軍から守るんだ!」
「はい!」
「10分後にブリーフィングを実施する。各自、身支度を済ませるように!」
その場が解散になり、俺はニルドラ先生と一緒に身支度を整えた。なんだか胸のあたりがざわざわする。魔物やカナウス様と戦うのとは訳が違うのだ。
身支度を終えて本部のミーティングルームに行くと、ジェイソンさん、ケビンさん、メアリーさんが作戦の話し合いをしていた。続々と他のメンバーも集まって、いよいよブリーフィング……作戦会議が始まる。
「まず、本部のあるラドニール魔法学園はラドニールの東側にある。ツクレシーさんに伝達して学園には緊急避難の指示をすませてある。同様に、市街地にも避難勧告を出した。市民の安全確保にはアインとエリスを。本部にはクイン、メアリー、ジェイソンがつき、ケビンとセインはルシード港方面の街道の防衛を頼む」
ジェイソンさんは周辺の地図を机上に広げて説明しながらてきぱきと指示を出した。ツクレシーさんが情報の補足説明をつけてくれる。
「入った情報によると、フペイン軍は紫色の軍服だそうで、国外軍部だと思われます」
「適宜通信魔法で連絡を取るように。ランスブルクの首都からもテレポート移動で応援が来るから、それまで時間を稼ぐんだ。特にアインとエリスは応援に市民の安全を任せたら、本部に応援に来てほしい」
「了解!」
俺とエリスさんはまず学園に残っている人がいないかくまなく探し、避難所に誘導することが任務だ。ツリーは人の気配を察知するのがとても得意なので、逃げ遅れた人がいないか確かめるのに非常に役立った。
混乱のさなかで怪我をしてしまった人はエリスさんが治療し、俺はエリスさんの道案内と連絡係を請け負った。
「本当に敵が来るのかな……」
「大丈夫。ラドニール魔法部隊の魔道士は本当に強いから、敵にラドニールの土を踏ませはしないさ」
不安そうに呟いた学園の中等部の生徒に、俺は思わずこう応えていた。けど、きっと……いや、絶対にそうだ。前線にはケビンさんとニルドラ先生がいて、ジェイソンさんやメアリーさんもいる。絶対大丈夫だ。そう信じよう。
ランスブルクの首都から来た応援に市民を任せ、俺とエリスさんは本部に戻った。
状況はだいぶ悪いらしく、ケビンさんが偵察に飛ばした妖精さんによるとフペイン帝国の国外軍部のトップが直接来ているらしく、港は苦戦しているらしい。ラドニール魔法部隊の前線も港に近づけることになった。
「国外軍総司令官自ら?……変ですね」
クインさんが首をひねる。クインさんはフペイン帝国出身なので、このあたりの事情には一番詳しい。
「目当ては私だろう。私はケビンらと合流することにしよう」
カナウス様が立ち上がり、それだけ言うと姿を消してしまった。
ジェイソンさんとツクレシーさんはずっと通信魔法の報告に意識を集中させ、戦況の把握につとめている。ふと、ジェイソンさんが地図から顔を上げた。
「ケビン達がフペイン軍と接触した!ケビン、応援は要るか」
『要らねえ!人数比は一緒だ、カナウス様もいる』
「了解。何かあればすぐ言ってくれ」
ケビンさんからの通信魔法は力強いが、クインさんは不安げだ。
「人数が少ないということは総司令官が港の攻防を横目にここまで攻め込んできたのではないのですか?フペイン軍の大隊長クラス以上の将校は非常に優秀です……噂によれば1人で1個中隊に相当するとも、1個大隊に相当するとも」
「であればうちのケビンといい勝負だな」
「危ないじゃない、応援出しなさいよ。私が行こうか」
メアリーさんが手を挙げた。ジェイソンさんは少し考えて、メアリーさんを応援に出すことにした。
◇◇◇
一方その頃、ケビン達は……
◇◇◇
やたら質の高い軍服を着た魔道士2人が戦闘姿勢を取るでもなくこちらに歩いて近づいてくる。
「護衛もなしか?妙だな、影武者か?」
セインがいぶかしむ。不意打ちであれば俺たちの命はないだろう。しかし、カナウス様は心配ないと言う。
「ほんとか?」
「あの連中の目的は私だろう。万が一があっても私が食い止める。案ずるな」
「案ずるわ!街の安全がかかってんだよっ」
思わず俺とセインとで同じツッコミをしてしまった。
「私から接触しよう」
お、おう、気をつけてな……となる俺たちを尻目にカナウス様が2名に接触する。
話の内容は……ハインリヒの計画の障害となるカナウスを偵察し拠点を暴くために陽動として港から攻め込んだという。
まずい。本拠地がラドニールなのがバレると学園が危険だ。しかし、今下手に動くと俺たちや市民に危険が及びかねない。
俺はとりあえず本部のジェイソンに接触を報告し、カナウス様を見守る。ほどなくしてメアリーも合流した。
「大丈夫なの、状況は?」
「今のところ戦闘にはなってない。カナウス様の言う通り、あいつらの目的はカナウス様らしい……」
「港はどう?首都からの応援は間に合ってるの?」
「応援自体は間に合ったみたいだが、押されてるらしい。目当てのカナウス様がホイホイ出ていったんだから、もう帰ってくれても良いもんだが」
しばらく遠くから様子をうかがっていると、2人のフペイン軍のうちの歳を食ってる方がこちらに気づいたようだ。
「……して、カナウス様も人の子に御加護を授けようと?あの魔道士でしょう」
「貴殿らの主君とは目的が違うのだぞ。お引き取り願いたい」
「歯切れが悪いですねえ。じゃあこうしましょう。僕ら2対2で手合わせして、僕らが負けたなら大人しく撤退、僕らが勝ったらカナウス様にさっきの質問にきちんとお答えいただく。どうでしょう?」
若い方がずいぶん血気盛んな提案をしてきた。俺とセインで相手取ることになりそうだ。
カナウス様はこちらを見て問うてくる。流石全知全能の神様と言ったところか、あまり慌てている様子がない。
「ケビン、セイン、いけるか?」
「おうよ」
こうなったら腹を括るしかない。相手はすでに戦闘体制に入っており、いつ攻撃が来てもおかしくない。こちらが攻撃を受ける構えを見せると、若い方がニヤリと口角を上げて魔法攻撃を仕掛けてきた。
突属性か打属性と思われる物理属性の攻撃魔法だ。
そう思うが早いか、歳を食っている方が斬属性の攻撃魔法を繰り出した。先ほどの魔法の魔力の流れに乗ってスピードと威力を上げ、こちらに襲いかかってくる!
セインは余裕しゃくしゃくでこの攻撃を魔装剣で受け流した。俺はセインの受けを目眩しにして、妖精の風属性魔法に乗り相手の死角に潜り込むことを試みる。
……まあ、うまくいったら御の字だから期待はしてないが!
腰に仕込んでいた小刀に突属性魔法を付与して相手方の背後から攻撃を試みる。風属性のスピードに乗っている時は肌感覚で相手との距離や相手の攻撃を判断している上、いつどんな攻撃が来るか予測できない。風属性の魔法を防御にも転用しながら、俺は攻撃を当て逃げする形で相手との距離をとった。
着地した瞬間、やはりというべきか、相手の次の攻撃が俺を目掛けて飛んでくる。
「おっと!」
しかし、かわすのに苦労はしない。威力とスピードは強いが、こちらをいつまでも追随するような攻撃魔法ではないようだ。
そして、こちらの攻撃はある程度効いていた。間髪入れずにセインが魔装剣で攻撃を仕掛ける。若い方がまともに攻撃を受け止めて、カナウス様が止めたので手合わせはやめになった。
「……さて。まだやるかね」
「いや、こちらの負けだ。死人が出る前に止めるとしましょう」
「はは、油断しちゃいました。すみません司令」
若い方は気まずそうであり、命拾いしましたみたいな顔をしている。一方、おそらくこっちが最高司令官なんであろう、歳を食っている方はケロッとした顔をして、しれっとカナウス様に重ねて問うている。
「約束を守ってこそ魔道士であるゆえ、我々は退散しますが……また今度、質問にお答えいただきますよ、カナウス様」
「用があるのなら私自身に問い合わせなさい。人間同士で争っていい理由にはならないぞ」
カナウス様が語気を強めて念を押したが、あいつらの様子を見る限りまた来そうで嫌な予感がする。
ともかく、フペイン軍は港から去っていった。ランスブルク海軍の被害はというと、からくも負傷兵のみにとどまったと報告があり、市民にも影響はなかった。
ひとまず俺たちは胸を撫で下ろしたが、これまで通りの活動はできないだろうとの結論に至った。
「……やはり、ラドニール八神の各柱の御加護をお願いしに行くしかないかと思う」
ジェイソンが苦々しげに言う。俺たちの次の任務は、ラドニールを守りながら、分担してラドニール八神の試練を受けることだ。
つづく
俺たちが重苦しい空気になって考え込んでいるところに、ツクレシーさんが飛び込んできた。
「ランスブルク海軍から応援要請です。ルシード港から敵襲あり、フペイン帝国軍です」
「ルシード港に!?」
ルシード港は俺たちラドニール魔法部隊やラドニール魔法学園があるラドニールのすぐ東にある港で、海の向こうはフペイン帝国だ。
「まずいな……戦況は?」
すかさずジェイソンさんが尋ねた。
「芳しくないようです。なんせランスブルクの首都は反対側ですから、応援が間に合うかどうか……それで、我々に白羽の矢が立ったのだと思われます」
ジェイソンさんは少し考え込んでから、力強くこう言った。
「みんな、ルシード港はここから東にある。万が一ラドニールに攻め込まれることがあれば、ラドニールの市民や学生が犠牲になってしまう!急ぎ防衛戦の準備をしよう。絶対にラドニールをフペイン軍から守るんだ!」
「はい!」
「10分後にブリーフィングを実施する。各自、身支度を済ませるように!」
その場が解散になり、俺はニルドラ先生と一緒に身支度を整えた。なんだか胸のあたりがざわざわする。魔物やカナウス様と戦うのとは訳が違うのだ。
身支度を終えて本部のミーティングルームに行くと、ジェイソンさん、ケビンさん、メアリーさんが作戦の話し合いをしていた。続々と他のメンバーも集まって、いよいよブリーフィング……作戦会議が始まる。
「まず、本部のあるラドニール魔法学園はラドニールの東側にある。ツクレシーさんに伝達して学園には緊急避難の指示をすませてある。同様に、市街地にも避難勧告を出した。市民の安全確保にはアインとエリスを。本部にはクイン、メアリー、ジェイソンがつき、ケビンとセインはルシード港方面の街道の防衛を頼む」
ジェイソンさんは周辺の地図を机上に広げて説明しながらてきぱきと指示を出した。ツクレシーさんが情報の補足説明をつけてくれる。
「入った情報によると、フペイン軍は紫色の軍服だそうで、国外軍部だと思われます」
「適宜通信魔法で連絡を取るように。ランスブルクの首都からもテレポート移動で応援が来るから、それまで時間を稼ぐんだ。特にアインとエリスは応援に市民の安全を任せたら、本部に応援に来てほしい」
「了解!」
俺とエリスさんはまず学園に残っている人がいないかくまなく探し、避難所に誘導することが任務だ。ツリーは人の気配を察知するのがとても得意なので、逃げ遅れた人がいないか確かめるのに非常に役立った。
混乱のさなかで怪我をしてしまった人はエリスさんが治療し、俺はエリスさんの道案内と連絡係を請け負った。
「本当に敵が来るのかな……」
「大丈夫。ラドニール魔法部隊の魔道士は本当に強いから、敵にラドニールの土を踏ませはしないさ」
不安そうに呟いた学園の中等部の生徒に、俺は思わずこう応えていた。けど、きっと……いや、絶対にそうだ。前線にはケビンさんとニルドラ先生がいて、ジェイソンさんやメアリーさんもいる。絶対大丈夫だ。そう信じよう。
ランスブルクの首都から来た応援に市民を任せ、俺とエリスさんは本部に戻った。
状況はだいぶ悪いらしく、ケビンさんが偵察に飛ばした妖精さんによるとフペイン帝国の国外軍部のトップが直接来ているらしく、港は苦戦しているらしい。ラドニール魔法部隊の前線も港に近づけることになった。
「国外軍総司令官自ら?……変ですね」
クインさんが首をひねる。クインさんはフペイン帝国出身なので、このあたりの事情には一番詳しい。
「目当ては私だろう。私はケビンらと合流することにしよう」
カナウス様が立ち上がり、それだけ言うと姿を消してしまった。
ジェイソンさんとツクレシーさんはずっと通信魔法の報告に意識を集中させ、戦況の把握につとめている。ふと、ジェイソンさんが地図から顔を上げた。
「ケビン達がフペイン軍と接触した!ケビン、応援は要るか」
『要らねえ!人数比は一緒だ、カナウス様もいる』
「了解。何かあればすぐ言ってくれ」
ケビンさんからの通信魔法は力強いが、クインさんは不安げだ。
「人数が少ないということは総司令官が港の攻防を横目にここまで攻め込んできたのではないのですか?フペイン軍の大隊長クラス以上の将校は非常に優秀です……噂によれば1人で1個中隊に相当するとも、1個大隊に相当するとも」
「であればうちのケビンといい勝負だな」
「危ないじゃない、応援出しなさいよ。私が行こうか」
メアリーさんが手を挙げた。ジェイソンさんは少し考えて、メアリーさんを応援に出すことにした。
◇◇◇
一方その頃、ケビン達は……
◇◇◇
やたら質の高い軍服を着た魔道士2人が戦闘姿勢を取るでもなくこちらに歩いて近づいてくる。
「護衛もなしか?妙だな、影武者か?」
セインがいぶかしむ。不意打ちであれば俺たちの命はないだろう。しかし、カナウス様は心配ないと言う。
「ほんとか?」
「あの連中の目的は私だろう。万が一があっても私が食い止める。案ずるな」
「案ずるわ!街の安全がかかってんだよっ」
思わず俺とセインとで同じツッコミをしてしまった。
「私から接触しよう」
お、おう、気をつけてな……となる俺たちを尻目にカナウス様が2名に接触する。
話の内容は……ハインリヒの計画の障害となるカナウスを偵察し拠点を暴くために陽動として港から攻め込んだという。
まずい。本拠地がラドニールなのがバレると学園が危険だ。しかし、今下手に動くと俺たちや市民に危険が及びかねない。
俺はとりあえず本部のジェイソンに接触を報告し、カナウス様を見守る。ほどなくしてメアリーも合流した。
「大丈夫なの、状況は?」
「今のところ戦闘にはなってない。カナウス様の言う通り、あいつらの目的はカナウス様らしい……」
「港はどう?首都からの応援は間に合ってるの?」
「応援自体は間に合ったみたいだが、押されてるらしい。目当てのカナウス様がホイホイ出ていったんだから、もう帰ってくれても良いもんだが」
しばらく遠くから様子をうかがっていると、2人のフペイン軍のうちの歳を食ってる方がこちらに気づいたようだ。
「……して、カナウス様も人の子に御加護を授けようと?あの魔道士でしょう」
「貴殿らの主君とは目的が違うのだぞ。お引き取り願いたい」
「歯切れが悪いですねえ。じゃあこうしましょう。僕ら2対2で手合わせして、僕らが負けたなら大人しく撤退、僕らが勝ったらカナウス様にさっきの質問にきちんとお答えいただく。どうでしょう?」
若い方がずいぶん血気盛んな提案をしてきた。俺とセインで相手取ることになりそうだ。
カナウス様はこちらを見て問うてくる。流石全知全能の神様と言ったところか、あまり慌てている様子がない。
「ケビン、セイン、いけるか?」
「おうよ」
こうなったら腹を括るしかない。相手はすでに戦闘体制に入っており、いつ攻撃が来てもおかしくない。こちらが攻撃を受ける構えを見せると、若い方がニヤリと口角を上げて魔法攻撃を仕掛けてきた。
突属性か打属性と思われる物理属性の攻撃魔法だ。
そう思うが早いか、歳を食っている方が斬属性の攻撃魔法を繰り出した。先ほどの魔法の魔力の流れに乗ってスピードと威力を上げ、こちらに襲いかかってくる!
セインは余裕しゃくしゃくでこの攻撃を魔装剣で受け流した。俺はセインの受けを目眩しにして、妖精の風属性魔法に乗り相手の死角に潜り込むことを試みる。
……まあ、うまくいったら御の字だから期待はしてないが!
腰に仕込んでいた小刀に突属性魔法を付与して相手方の背後から攻撃を試みる。風属性のスピードに乗っている時は肌感覚で相手との距離や相手の攻撃を判断している上、いつどんな攻撃が来るか予測できない。風属性の魔法を防御にも転用しながら、俺は攻撃を当て逃げする形で相手との距離をとった。
着地した瞬間、やはりというべきか、相手の次の攻撃が俺を目掛けて飛んでくる。
「おっと!」
しかし、かわすのに苦労はしない。威力とスピードは強いが、こちらをいつまでも追随するような攻撃魔法ではないようだ。
そして、こちらの攻撃はある程度効いていた。間髪入れずにセインが魔装剣で攻撃を仕掛ける。若い方がまともに攻撃を受け止めて、カナウス様が止めたので手合わせはやめになった。
「……さて。まだやるかね」
「いや、こちらの負けだ。死人が出る前に止めるとしましょう」
「はは、油断しちゃいました。すみません司令」
若い方は気まずそうであり、命拾いしましたみたいな顔をしている。一方、おそらくこっちが最高司令官なんであろう、歳を食っている方はケロッとした顔をして、しれっとカナウス様に重ねて問うている。
「約束を守ってこそ魔道士であるゆえ、我々は退散しますが……また今度、質問にお答えいただきますよ、カナウス様」
「用があるのなら私自身に問い合わせなさい。人間同士で争っていい理由にはならないぞ」
カナウス様が語気を強めて念を押したが、あいつらの様子を見る限りまた来そうで嫌な予感がする。
ともかく、フペイン軍は港から去っていった。ランスブルク海軍の被害はというと、からくも負傷兵のみにとどまったと報告があり、市民にも影響はなかった。
ひとまず俺たちは胸を撫で下ろしたが、これまで通りの活動はできないだろうとの結論に至った。
「……やはり、ラドニール八神の各柱の御加護をお願いしに行くしかないかと思う」
ジェイソンが苦々しげに言う。俺たちの次の任務は、ラドニールを守りながら、分担してラドニール八神の試練を受けることだ。
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