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1 普通の転生者、幸せ計画を話す
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「幸せになれますか?」なんて後ろ向きな事を言っているようでは幸せは来ないんだよ。
ほら、よく言うでしょ?お金は寂しがりやだから沢山ある方に行っちゃうんだよって。
え? 聞いたことがない?
そうかなぁ。まぁいいや。でもそう思わない?
だからね、それと同じで『幸せ』も、『幸せ』のくせに寂しがりやで甘えん坊だから、きっと沢山の『幸せ』がある方に行っちゃうんだ。だから本気で『幸せ』になりたいならまずは『幸せ』をかき集めなきゃならない。
きっとね「ああ、幸せだな」って思わないと、次の『幸せ』はやってこないんだよ。
「幸せになれるかな?」じゃなくて、「幸せになる!」ああ、いや、「幸せになろう!」かなぁ? うん、それくらいから始めたらいいんじゃないかな。
「だからね、僕は、幸せ計画を立てる事にしたんだ」
ドヤ顔でそう言った、僕、サミュエル・エマーソンの目の前で、幼馴染みのフィリップ・グレンウィードは死んだ魚のような眼をして口をひらいた。
「……お前、バカだろ」
「え? 僕、バカなの?」
僕は即座にそう問い返していた。
心外だ。こんなに真剣に考えて話したのにそんな反応を返されるなんて。
「そんな事ないよ。そりゃフィルに比べたら成績は落ちるし、剣の腕だって魔法量だって劣るかもしれないけどさ、それでもちゃんと中間よりは上にいるし、王城の官吏の試験も受けるつもりだよ?ちゃんと受けてもいいですよっていうラインは超えているんだから」
にっこり笑ってそう言ってやった。そう。官吏の試験は誰でも受けられるんじゃないんだ。受けるには資格がいる。今年に入ってからそれにめでたく通ったから初冬の試験を受ける事が出来るんだ。第一関門突破って奴だね。
「うん。バカだな。やっぱり」
バッサリとそう言い切った幼馴染みに僕は今度こそムッとして口を開いた。
「ひどいよ、フィル! いくら幼馴染みだからってバカなんて言ったらいけないと思う。僕はこう見えても心が広くてフィルのそんな言動には慣れているけど、本当に傷つきやすい繊細な子だったら、その一言ですごく傷ついちゃうからね。フィルは顔はいいけど口が残念」
「お前に残念って言われてもなぁ」
やれやれって肩を竦めるのはやめて。ほんとにムカつくから。
「もういいよ。せっかく話したのに。帰る」
「おい、サミー。剣の稽古を見ていくんじゃなかったのか?」
「いい。見たって剣が上手くなるわけじゃないし。それに俺は文官を目指すわけだから、必要最低限の剣術が出来ればいいしね!」
僕はそう言って学生寮の方に歩き始めた。
「サミー」
「なに?」
「どうでもいいけど、その幸せ家族計画みたいなの他の奴に話すなよ」
「家族計画じゃない! 家族計画になったら違う意味になっちゃうでしょ⁉ 僕は別に家族計画を立てているわけじゃないんだよ。そうじゃなくて幸せになるの!」
「はいはい。分かった、分かった」
「軽くあしらうな。もう。フィルに話した僕が間違いだった」
プンプンと怒って歩き出した僕の後ろでフィルが口を開いた。
「まったく、ほんとに分かってないな。幸せになりたいなんて、そんな事を言っていたら今が幸せじゃないみたいじゃないか。お前は今、幸せじゃないのかよ」
そんなフィルの声は僕には届かなかった。
--------------
普通(だと思っている)子の幸せ探し。
はじまりはじまり
ほら、よく言うでしょ?お金は寂しがりやだから沢山ある方に行っちゃうんだよって。
え? 聞いたことがない?
そうかなぁ。まぁいいや。でもそう思わない?
だからね、それと同じで『幸せ』も、『幸せ』のくせに寂しがりやで甘えん坊だから、きっと沢山の『幸せ』がある方に行っちゃうんだ。だから本気で『幸せ』になりたいならまずは『幸せ』をかき集めなきゃならない。
きっとね「ああ、幸せだな」って思わないと、次の『幸せ』はやってこないんだよ。
「幸せになれるかな?」じゃなくて、「幸せになる!」ああ、いや、「幸せになろう!」かなぁ? うん、それくらいから始めたらいいんじゃないかな。
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ドヤ顔でそう言った、僕、サミュエル・エマーソンの目の前で、幼馴染みのフィリップ・グレンウィードは死んだ魚のような眼をして口をひらいた。
「……お前、バカだろ」
「え? 僕、バカなの?」
僕は即座にそう問い返していた。
心外だ。こんなに真剣に考えて話したのにそんな反応を返されるなんて。
「そんな事ないよ。そりゃフィルに比べたら成績は落ちるし、剣の腕だって魔法量だって劣るかもしれないけどさ、それでもちゃんと中間よりは上にいるし、王城の官吏の試験も受けるつもりだよ?ちゃんと受けてもいいですよっていうラインは超えているんだから」
にっこり笑ってそう言ってやった。そう。官吏の試験は誰でも受けられるんじゃないんだ。受けるには資格がいる。今年に入ってからそれにめでたく通ったから初冬の試験を受ける事が出来るんだ。第一関門突破って奴だね。
「うん。バカだな。やっぱり」
バッサリとそう言い切った幼馴染みに僕は今度こそムッとして口を開いた。
「ひどいよ、フィル! いくら幼馴染みだからってバカなんて言ったらいけないと思う。僕はこう見えても心が広くてフィルのそんな言動には慣れているけど、本当に傷つきやすい繊細な子だったら、その一言ですごく傷ついちゃうからね。フィルは顔はいいけど口が残念」
「お前に残念って言われてもなぁ」
やれやれって肩を竦めるのはやめて。ほんとにムカつくから。
「もういいよ。せっかく話したのに。帰る」
「おい、サミー。剣の稽古を見ていくんじゃなかったのか?」
「いい。見たって剣が上手くなるわけじゃないし。それに俺は文官を目指すわけだから、必要最低限の剣術が出来ればいいしね!」
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「サミー」
「なに?」
「どうでもいいけど、その幸せ家族計画みたいなの他の奴に話すなよ」
「家族計画じゃない! 家族計画になったら違う意味になっちゃうでしょ⁉ 僕は別に家族計画を立てているわけじゃないんだよ。そうじゃなくて幸せになるの!」
「はいはい。分かった、分かった」
「軽くあしらうな。もう。フィルに話した僕が間違いだった」
プンプンと怒って歩き出した僕の後ろでフィルが口を開いた。
「まったく、ほんとに分かってないな。幸せになりたいなんて、そんな事を言っていたら今が幸せじゃないみたいじゃないか。お前は今、幸せじゃないのかよ」
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はじまりはじまり
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