普通の転生者は幸せになる計画を立てる。でも幸せって何?

tamura-k

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34 普通の転生者、祭りを理解する①

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 王都の祭りは朝8時に王様が祭りの開催を宣言してから開催されるんだけど、出し物とか出店とかが立つ中央広場や、朝市が立つ所では、開店の準備をしながら販売を開始している所も多いそうだ。
 僕は言われた通りにフィルが迎えに来てくれるのを待って外に出たんだけど、正解。
 とてもどこかで待ち合わせをして落ち合うなんて無理だって思った。

 どこからこんなに人が? って言うほど街は人で溢れていた。そして確かに皆どこかに花をつけている。

「……ほんとだったんだね」
「ああ?」
「花」
「なんだよ。俺が嘘をついていると思ったのか?」

 騎士服姿のフィルと手を繋いで歩きながら、というよりは手を引かれるようにして歩きながらそう聞かれて僕は「そういうわけじゃ」と言葉を濁した。

 そう。フィルが嘘をついているとは思わなかったけど、本当に花なんか付けて恋人募集をしているような人が居るのかなとはちょっと思っていたんだ。
 でも居た。普通に居た。当たり前に皆、胸とか、手首とか、髪とかに花をつけて、ワクワクしているみたいな顔をしていた。
 だけど何となくだけど、ドキドキワクワクしているような顔をしているのは赤い花をつけている人が多くて、白い花をつけている人達は幸せそうって言う感じに見えた。

「…………」

 そう思って僕はフィルを見た。
 騎士服を着て仕事をしているフィルはエマーソンに居た時よりも当たり前だけどすっかり大人の顔になっている。

「ほら、サミー、見てみろよ。これから王都の知事の挨拶がある。ここは俺の警備範囲じゃないけどちょっと眺めながら歩いてみるか?」
「うん」

 ああ、広場の警備関係の書類もなんだか言われるままに作っていたけど、これもその一つだったのかなって考えた。

「ねぇ、王様の開催の挨拶は?」
「……お前なぁ、とっくに終わってるよ。花火の音が聞こえただろう?」

 そうだったのか。フィルが迎えに来た後に聞こえていたパンパンという音は花火だったのか。花火の発注は僕じゃなかったな。

「まったくサミーらしいな。一応国王の挨拶も街中に聞こえるように風魔法で拡散していた筈なんだけどな」
「人の声が凄くてよく分からなかった。でもそうなんだね。覚えておく」
「ああ、そうしろ。で、どうする?」
「うう~~ん、あそこまで行きつけそうもないからここで全体を見る事にする。あと、この辺りの出店もせっかくだからどんなのが出ているのか見ておきたい」
「分かった」

 掴まれたままの手にギュッと力が込められる。

「フィル、そんなにギュッとしなくても大丈夫だよ。ちゃんと離れずについて行くから」
「そういうなよ。せっかくの祭りだ。見学と調査だけでなく、楽しまないとな。で? どの出店に行くんだ?」
「え、えっと、まずは……」

 僕はフィルに庇われるように人ごみをよけながら周りを見ました。
 そして……

「朝ご飯、かな」
「……っ! 了解」

 見回り騎士と回る春祭り見学。小さく吹き出したように笑ったフィルは楽しそうにホットドッグの出店へと足を向けた。
 

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すみません。短いですが(;^_^A
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