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三章 進め進め
70 新エリアでの第一遭遇者
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どうしようかと考えつつ、あまりおかしな雰囲気がなさそうな森の中に入ってみた。
木の上にはリスがいて、俺たちが近づくとサッと逃げていった。
ガサガサと音がして何かが遠ざかっていく音もした。【鑑定】を使うと、わずかに<キツネ>という文字が浮かんだ。
「うん、周りには普通の動物くらいかな。見えたのはリスやキツネくらいだね。高から中に入った時はあんまり感じなかったんだけど、あのさ、初めの頃にコパンは神気が強いから魔の力が強い魔物は住む事が出来ないって言っていただろう?」
「はい」
「それで、森の端に近くなればその神気が弱くなってきて、強い魔物も棲む事が出来るようになってくるだ。だから周辺の国からは『深層の森』と恐れられて人の手が入らない聖域のようになっている」
「そうです」
「でもさ、今、俺が感じているのはここって普通の森みたいだなって」
「普通?」
不思議そうな顔をするコパンに俺は少しだけ考えるようにしてから再び口を開いた。
「神気が高い中心ほど弱い者達がいる。そして外へ向かえば向かうほど徐々に強い魔物もいる。でもここはリスがいて、小鳥たちの声もして、キツネとか他の動物たちの気配もある。普通の体系になってくるっていう感じなのかなぁって。ああ、普通っていうのが少しおかしいのか。ええっと魔物がいて、強い獣たちもいて、もちろん弱い者達もいて混在している、ええっと正しい弱肉強食の世界? でも人の世界と獣や魔物の世界の住み分けというか最後の砦というか、そういう意味で高ランクの魔物たちも存在しているのかもしれないな、なんてそんな事を感じたんだ」
俺の言葉を聞きながらコパンも少し考えるようにして口を開いた。
「私には普通の意味がよく分からないのですが、でもアラタ様が感じた<住み分け>という意味では合っているんだと思います。もちろんこの森にも入ってくる人はいます。エルフも、獣人も入ってきます。でも中央までは行かれません。おそらく、そういったものたちは魔の力が高いので多分中央の方には行かれないでしょうね」
「ええ! 魔の力って魔物が持っている力の事じゃなくて、純粋に魔力の事? ということは高ランクの冒険者とかも行かれないの?」
「多分、神気が強いとそれを感じられる力の強いものたちは苦しいと思います。もっとも神獣のように神がつくったものであれば魔力が強くてもいかれると思いますが。だからアラタ様は力が強くなっても勿論行かれます」
「ああ……そう、なんだ。いや、神獣みたいに強くなるっていうのはありえないからね」
「ふふふ、そうですねぇ」
コパンはおかしそうに笑ってからゆっくりと話を続けた。
「えっと、成り立ちというか、仕組みというか、詳しい事は私にも分からないのです。ただ、そういうものだという風に理解をしていたので。だからアラタ様が感じている普通というのが私には分からないのかもしれません。でも確かに中央のエリアではあまり動物たちの気配や鳴き声といったものは聞こえませんでした。多分、あそこは私たちも守られていると感じましたが、他の弱い者達も守られているのでしょう。私たちが森の奥に入らないと彼らの気配を感じられなかったように、彼らもまたよほど近づかないと私たちの気配を感じられなかった。それが徐々にお互いの気配が近くなっていき、こんな風に森の中の弱い生き物たちの気配が近く感じられるようになっているのかもしれませんね」
なるほどと思った。
「ねぇ、それならさ、俺達も弱い動物たちだけでなく魔物の気配を感じやすくなってきて、魔物たちも俺たちの気配を感じやすくなっていくのかな」
「…………そう、かもしれません」
そう言っているそばからコパンが森の奥の方に顔を向けた。
「うん。今までよりも浅い所に出てくるようですよ。オークです」
俺は思わず身構えた。リスやその他の弱い者達が一斉に逃げ出していくのが分かる。
「大丈夫ですよ。気配からするとこの前ような統率者はいないようですし、数も十体くらいです。あれは女神様もおかしいと思うような想定外のものでしたから。さて、見えてきましたよ」
確かに森の奥からやってくる魔物の姿があって、俺にもそれが『オーク』だと分かるようになった。
だけど…………
「え? オ、オークって食べられるの?」
「……そういえば食用可となっていますね。食べた事はないですが」
さすがのコパンも驚いて鑑定をしなおしたようだ。けれど俺のレベルアップした鑑定はもっと驚くような事を伝えている。
<オーク 食用可。豚肉のような味で、色々な国で調理されている。生姜焼き、豚の角煮、ポークステーキなどにしても美味。皮も色々使え、その睾丸は精力剤となっている>
「う……うまいのか」
「え!」
コパンがすごい勢いで振り向いた。
「ぶ、豚肉みたいだって。生姜焼きや角煮、ステーキを勧められたよ」
「! アラタ様の鑑定はすごいです! では、お肉が食べられるように、なるべく傷つけないように倒しましょう!」
た、食べるのか、食べるんだね、コパン!
--------------
やる気!
木の上にはリスがいて、俺たちが近づくとサッと逃げていった。
ガサガサと音がして何かが遠ざかっていく音もした。【鑑定】を使うと、わずかに<キツネ>という文字が浮かんだ。
「うん、周りには普通の動物くらいかな。見えたのはリスやキツネくらいだね。高から中に入った時はあんまり感じなかったんだけど、あのさ、初めの頃にコパンは神気が強いから魔の力が強い魔物は住む事が出来ないって言っていただろう?」
「はい」
「それで、森の端に近くなればその神気が弱くなってきて、強い魔物も棲む事が出来るようになってくるだ。だから周辺の国からは『深層の森』と恐れられて人の手が入らない聖域のようになっている」
「そうです」
「でもさ、今、俺が感じているのはここって普通の森みたいだなって」
「普通?」
不思議そうな顔をするコパンに俺は少しだけ考えるようにしてから再び口を開いた。
「神気が高い中心ほど弱い者達がいる。そして外へ向かえば向かうほど徐々に強い魔物もいる。でもここはリスがいて、小鳥たちの声もして、キツネとか他の動物たちの気配もある。普通の体系になってくるっていう感じなのかなぁって。ああ、普通っていうのが少しおかしいのか。ええっと魔物がいて、強い獣たちもいて、もちろん弱い者達もいて混在している、ええっと正しい弱肉強食の世界? でも人の世界と獣や魔物の世界の住み分けというか最後の砦というか、そういう意味で高ランクの魔物たちも存在しているのかもしれないな、なんてそんな事を感じたんだ」
俺の言葉を聞きながらコパンも少し考えるようにして口を開いた。
「私には普通の意味がよく分からないのですが、でもアラタ様が感じた<住み分け>という意味では合っているんだと思います。もちろんこの森にも入ってくる人はいます。エルフも、獣人も入ってきます。でも中央までは行かれません。おそらく、そういったものたちは魔の力が高いので多分中央の方には行かれないでしょうね」
「ええ! 魔の力って魔物が持っている力の事じゃなくて、純粋に魔力の事? ということは高ランクの冒険者とかも行かれないの?」
「多分、神気が強いとそれを感じられる力の強いものたちは苦しいと思います。もっとも神獣のように神がつくったものであれば魔力が強くてもいかれると思いますが。だからアラタ様は力が強くなっても勿論行かれます」
「ああ……そう、なんだ。いや、神獣みたいに強くなるっていうのはありえないからね」
「ふふふ、そうですねぇ」
コパンはおかしそうに笑ってからゆっくりと話を続けた。
「えっと、成り立ちというか、仕組みというか、詳しい事は私にも分からないのです。ただ、そういうものだという風に理解をしていたので。だからアラタ様が感じている普通というのが私には分からないのかもしれません。でも確かに中央のエリアではあまり動物たちの気配や鳴き声といったものは聞こえませんでした。多分、あそこは私たちも守られていると感じましたが、他の弱い者達も守られているのでしょう。私たちが森の奥に入らないと彼らの気配を感じられなかったように、彼らもまたよほど近づかないと私たちの気配を感じられなかった。それが徐々にお互いの気配が近くなっていき、こんな風に森の中の弱い生き物たちの気配が近く感じられるようになっているのかもしれませんね」
なるほどと思った。
「ねぇ、それならさ、俺達も弱い動物たちだけでなく魔物の気配を感じやすくなってきて、魔物たちも俺たちの気配を感じやすくなっていくのかな」
「…………そう、かもしれません」
そう言っているそばからコパンが森の奥の方に顔を向けた。
「うん。今までよりも浅い所に出てくるようですよ。オークです」
俺は思わず身構えた。リスやその他の弱い者達が一斉に逃げ出していくのが分かる。
「大丈夫ですよ。気配からするとこの前ような統率者はいないようですし、数も十体くらいです。あれは女神様もおかしいと思うような想定外のものでしたから。さて、見えてきましたよ」
確かに森の奥からやってくる魔物の姿があって、俺にもそれが『オーク』だと分かるようになった。
だけど…………
「え? オ、オークって食べられるの?」
「……そういえば食用可となっていますね。食べた事はないですが」
さすがのコパンも驚いて鑑定をしなおしたようだ。けれど俺のレベルアップした鑑定はもっと驚くような事を伝えている。
<オーク 食用可。豚肉のような味で、色々な国で調理されている。生姜焼き、豚の角煮、ポークステーキなどにしても美味。皮も色々使え、その睾丸は精力剤となっている>
「う……うまいのか」
「え!」
コパンがすごい勢いで振り向いた。
「ぶ、豚肉みたいだって。生姜焼きや角煮、ステーキを勧められたよ」
「! アラタ様の鑑定はすごいです! では、お肉が食べられるように、なるべく傷つけないように倒しましょう!」
た、食べるのか、食べるんだね、コパン!
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やる気!
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