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アストルム騎士団創立編
第43話 ライバルの令嬢
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「ダリア・クロウリーです。こちらは妹のヒナ。さ、ご挨拶を。」
「ヒナ・クロウリーでございます。」
アルマは一瞬ヒナに冷ややかな目を向けるとすぐに笑顔で挨拶を返す。
「まぁ!可愛らしい妹さんですこと!花の茶会にピッタリですわね!」
アルマの声は甘ったるく、まとわりつく様なその仕草は不思議と不快感は感じないものであった。
すぐさまダリアの腕に絡みつくと会場となっている花の宮の奥へと連れていこうとする。
「さ、ダリア様。美味しい菓子が用意されてます!一緒に味わいましょう?」
(アルマ・デミウド。この作品にこのようなキャラが出てくるとは。しかしデミウドの娘、慎重にならなければ。)
アルマはテーブルの上に置かれたお菓子を一つ手に取りダリアに差し出す。
「さ、これを。とっても美味なんですのよ!」
「いや、私は甘いものはあまり好まないので。」
やんわり断るがアルマはめげることなくダリアに話しかけ続ける。
(ダリア様に近づけってこういうことでしたのね。こんなに素敵な方ならもっと本気のドレスを選んだものを。)
ダリアは辺りを見渡しヒナの姿を見つけるとアルマに「失礼」と一言残しヒナの元へと歩み寄る。
ヒナはお皿にいくつかビターなお菓子を盛り付けていた。
背後から「そんなに食べるのか?」と声をかけると小さく悲鳴をあげて驚く。
「お、お兄様?アルマ様とお話なさっていたのでは。」
「お前も用心しろ、あれはお父様と対立しているデミウド公爵の娘だ。」
「は、はい。」
「それで?その菓子は?」
「お兄様は甘いものよりこちらの方がお好きかと思い持っていこうと。」
「そうか、どれ。」
ダリアはそういうとヒナの菓子を持っている手を掴み口元に寄せると一口かぶりついた。
「へ?!」
「ん、悪くないな。これくらいなら食べられそうだ。」
ヒナは顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
その様子を見ていた周りの令嬢も黄色い声を上げてはしゃいでいたりヒナと同様顔を真っ赤にさせる者もいた。
「公女!」
「リアーナ、ドレス姿は久々に見るな。」
「公女こそどうしてドレスではないんです?」
恨めしそうに詰め寄るリアーナに面白可笑しそうにふふっと笑ってみせるダリア。
「私も女だ、婚約者の前でドレスは着たいんだよ。」
「それが嘘であることくらいわかりますよ?」
膨れるリアーナの額に自分の額を近づけてニヤリと笑ってみせる。
「一体何が不満なんだ?レディ。」
「っ!!!」
顔を赤くさながら「知りません!」とそっぽを向くリアーナ。
「全く、今日はレディたちの扱いに困る日だな。」
すると周りの令嬢もこぞってダリアの傍に寄り始める。
「ダリア様、ご挨拶を!」
「騎士団を創立なさったんですって?素晴らしいですわ!」
「ベルメールはとても美しい水の都と呼ばれているとか!ぜひ訪れたいものですわ。」
「あの素敵な水路はどうやって思いつかれたんですの?」
「あぁぜひ今度わたくしの茶会にもお越しくださいな!」
(まいった、、、、、)
「ダリア・クロウリー様。お父様のお話だと令嬢だとか。まさか名前を間違えられたのかしら。あの日弱そうな令嬢のことを言ってるのでは?まぁ、なんにせよわたくしはダリア様ともお近付きになりたいし、一石二鳥というやつね。」
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌
「ヒナ・クロウリーでございます。」
アルマは一瞬ヒナに冷ややかな目を向けるとすぐに笑顔で挨拶を返す。
「まぁ!可愛らしい妹さんですこと!花の茶会にピッタリですわね!」
アルマの声は甘ったるく、まとわりつく様なその仕草は不思議と不快感は感じないものであった。
すぐさまダリアの腕に絡みつくと会場となっている花の宮の奥へと連れていこうとする。
「さ、ダリア様。美味しい菓子が用意されてます!一緒に味わいましょう?」
(アルマ・デミウド。この作品にこのようなキャラが出てくるとは。しかしデミウドの娘、慎重にならなければ。)
アルマはテーブルの上に置かれたお菓子を一つ手に取りダリアに差し出す。
「さ、これを。とっても美味なんですのよ!」
「いや、私は甘いものはあまり好まないので。」
やんわり断るがアルマはめげることなくダリアに話しかけ続ける。
(ダリア様に近づけってこういうことでしたのね。こんなに素敵な方ならもっと本気のドレスを選んだものを。)
ダリアは辺りを見渡しヒナの姿を見つけるとアルマに「失礼」と一言残しヒナの元へと歩み寄る。
ヒナはお皿にいくつかビターなお菓子を盛り付けていた。
背後から「そんなに食べるのか?」と声をかけると小さく悲鳴をあげて驚く。
「お、お兄様?アルマ様とお話なさっていたのでは。」
「お前も用心しろ、あれはお父様と対立しているデミウド公爵の娘だ。」
「は、はい。」
「それで?その菓子は?」
「お兄様は甘いものよりこちらの方がお好きかと思い持っていこうと。」
「そうか、どれ。」
ダリアはそういうとヒナの菓子を持っている手を掴み口元に寄せると一口かぶりついた。
「へ?!」
「ん、悪くないな。これくらいなら食べられそうだ。」
ヒナは顔を真っ赤にして口をパクパクさせていた。
その様子を見ていた周りの令嬢も黄色い声を上げてはしゃいでいたりヒナと同様顔を真っ赤にさせる者もいた。
「公女!」
「リアーナ、ドレス姿は久々に見るな。」
「公女こそどうしてドレスではないんです?」
恨めしそうに詰め寄るリアーナに面白可笑しそうにふふっと笑ってみせるダリア。
「私も女だ、婚約者の前でドレスは着たいんだよ。」
「それが嘘であることくらいわかりますよ?」
膨れるリアーナの額に自分の額を近づけてニヤリと笑ってみせる。
「一体何が不満なんだ?レディ。」
「っ!!!」
顔を赤くさながら「知りません!」とそっぽを向くリアーナ。
「全く、今日はレディたちの扱いに困る日だな。」
すると周りの令嬢もこぞってダリアの傍に寄り始める。
「ダリア様、ご挨拶を!」
「騎士団を創立なさったんですって?素晴らしいですわ!」
「ベルメールはとても美しい水の都と呼ばれているとか!ぜひ訪れたいものですわ。」
「あの素敵な水路はどうやって思いつかれたんですの?」
「あぁぜひ今度わたくしの茶会にもお越しくださいな!」
(まいった、、、、、)
「ダリア・クロウリー様。お父様のお話だと令嬢だとか。まさか名前を間違えられたのかしら。あの日弱そうな令嬢のことを言ってるのでは?まぁ、なんにせよわたくしはダリア様ともお近付きになりたいし、一石二鳥というやつね。」
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