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アストルム騎士団創立編
第42話 悪役令嬢 花のお茶会に出る
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月日は少し流れダリアやアルベルトは11歳となった。
ヒナは9歳になった。
「こ、公女!どういう意味ですか?暇をやるなんて!」
「大きい声を出すな。リアーナ。何も騎士団を解散するとかクビにするとかそういうことでは無い。」
「ですが、我々は騎士団です。いつどこでお守りせねばならぬ時が来るか!」
「創立の時に言っただろう?この騎士団は国のためではなく私のために作るのだと。」
「はい、ですので!」
「女性らしく過ごすのも義務のひとつだ。茶会や舞踏会に出ることも重要な任務だと思えということだ。」
納得していない様子のリアーナに優しく微笑むと水で蝶を作りリアーナの元に飛ばしてみせる。
「人というのは面白いもので正体というものを持とうと思えばいくらでも持つことが出来る。しかし、その正体が自分の領分を架遥かに超えるようなものであればその身を滅ぼす。先の事件のクロース伯爵がそのいい例だ。」
リアーナの元を舞っている蝶はダリアが指を鳴らすと同時に氷の蝶へと変化した。
「だから我々もどちらの肩書きもそつなくこなせなくては意味が無いんだよ。」
「公女、なぜ他の属性がお使いになることができるのですか?」
真剣な面持ちでリアーナはダリアに問いかけるが氷の蝶を指先で弄びながら三日月の弧のように不敵な笑みを浮かべながら答えた。
「戦う力は武力だけではないよ?リアーナ。我々はそれ以外も備えなければならない。」
スっと立ち上がるとダリアは部屋のドア開けてリアーナに振り向きざまに花の茶会について詳細を調べるように言いつけた。
「花の、、、茶会でしょうか?」
「ただの娯楽だ。王宮内で行われるということ以外はな。君の家にも招待状が届くはずだよ。ちゃんとめかしこんで来るように。」
花のお茶会
それは、花の季節に王宮内で行われる茶会のこと。
特別なことがある訳では無いが公爵や大公などといった大物貴族の令嬢がこぞって参加するため注目のある茶会でもある。
「全く何が楽しくて茶会だ。」
「お兄様、リアーナ様にあんなにめかしこむよう仰っていたのに肝心のお兄様はいつものお召し物ではありませんか。」
ヒナにジト目で恨み節を言われても全く意に介さない様子で窓の外を見つめながら、自分は女性に妬まれてはいけないのだと心の中で呟いた。
(処刑エンドを回避するためには女性から妬みを買ってはいけない、、、しばらく領地のことで忙しく忘れかけていた。危ないったらありゃしないな。かと言ってメモ代わりに日記みたいに記す訳にもいかないしな。)
「勇ましい姿はあまり他の方には、、、」
「ヒナ、2人の時はいいって言ったが外では誤解を産むからお姉様と呼ぶように。」
「は、、、はい。」
「クロウリー公爵家よりダリア・クロウリー嬢、ヒナ・クロウリー嬢のお着きでございます!」
真夜中のような深い青色の髪の凛とした騎士に手を引かれて雪のように穢れを知らない銀髪の長い髪をなびかせて馬車をおりる少女。
2人の姿に既に到着している令嬢たちは言葉を失っていた。
「あの騎士のような方がお噂のダリア様?」
「私もエスコートされたいですわ!」
令嬢が2人の様子に口々に感嘆の声を上げているとひとりの令嬢が2人の前まで歩み寄ってくる。
淡い桃色の髪に同じ色の瞳。
その令嬢は目の前まで来るとドレスの裾を踏みバランスを崩すも咄嗟にダリアに抱きとめられる。
「も、申し訳ありません。おふたりにご挨拶をしようと。」
「いえ、それより怪我は?」
「平気ですわ。」
そういって令嬢が顔を上げダリアを見るなりピクリと動きが止まる。
「レディ?」
「い、いえ!ご挨拶遅れましたわ。わたくし、アルマと申します。アルマ・デミウドですわ。」
デミウドという名前を聞いてダリアの眉がピクリと反応する。
(デミウド、、、早速娘を出してきたか。)
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌
ヒナは9歳になった。
「こ、公女!どういう意味ですか?暇をやるなんて!」
「大きい声を出すな。リアーナ。何も騎士団を解散するとかクビにするとかそういうことでは無い。」
「ですが、我々は騎士団です。いつどこでお守りせねばならぬ時が来るか!」
「創立の時に言っただろう?この騎士団は国のためではなく私のために作るのだと。」
「はい、ですので!」
「女性らしく過ごすのも義務のひとつだ。茶会や舞踏会に出ることも重要な任務だと思えということだ。」
納得していない様子のリアーナに優しく微笑むと水で蝶を作りリアーナの元に飛ばしてみせる。
「人というのは面白いもので正体というものを持とうと思えばいくらでも持つことが出来る。しかし、その正体が自分の領分を架遥かに超えるようなものであればその身を滅ぼす。先の事件のクロース伯爵がそのいい例だ。」
リアーナの元を舞っている蝶はダリアが指を鳴らすと同時に氷の蝶へと変化した。
「だから我々もどちらの肩書きもそつなくこなせなくては意味が無いんだよ。」
「公女、なぜ他の属性がお使いになることができるのですか?」
真剣な面持ちでリアーナはダリアに問いかけるが氷の蝶を指先で弄びながら三日月の弧のように不敵な笑みを浮かべながら答えた。
「戦う力は武力だけではないよ?リアーナ。我々はそれ以外も備えなければならない。」
スっと立ち上がるとダリアは部屋のドア開けてリアーナに振り向きざまに花の茶会について詳細を調べるように言いつけた。
「花の、、、茶会でしょうか?」
「ただの娯楽だ。王宮内で行われるということ以外はな。君の家にも招待状が届くはずだよ。ちゃんとめかしこんで来るように。」
花のお茶会
それは、花の季節に王宮内で行われる茶会のこと。
特別なことがある訳では無いが公爵や大公などといった大物貴族の令嬢がこぞって参加するため注目のある茶会でもある。
「全く何が楽しくて茶会だ。」
「お兄様、リアーナ様にあんなにめかしこむよう仰っていたのに肝心のお兄様はいつものお召し物ではありませんか。」
ヒナにジト目で恨み節を言われても全く意に介さない様子で窓の外を見つめながら、自分は女性に妬まれてはいけないのだと心の中で呟いた。
(処刑エンドを回避するためには女性から妬みを買ってはいけない、、、しばらく領地のことで忙しく忘れかけていた。危ないったらありゃしないな。かと言ってメモ代わりに日記みたいに記す訳にもいかないしな。)
「勇ましい姿はあまり他の方には、、、」
「ヒナ、2人の時はいいって言ったが外では誤解を産むからお姉様と呼ぶように。」
「は、、、はい。」
「クロウリー公爵家よりダリア・クロウリー嬢、ヒナ・クロウリー嬢のお着きでございます!」
真夜中のような深い青色の髪の凛とした騎士に手を引かれて雪のように穢れを知らない銀髪の長い髪をなびかせて馬車をおりる少女。
2人の姿に既に到着している令嬢たちは言葉を失っていた。
「あの騎士のような方がお噂のダリア様?」
「私もエスコートされたいですわ!」
令嬢が2人の様子に口々に感嘆の声を上げているとひとりの令嬢が2人の前まで歩み寄ってくる。
淡い桃色の髪に同じ色の瞳。
その令嬢は目の前まで来るとドレスの裾を踏みバランスを崩すも咄嗟にダリアに抱きとめられる。
「も、申し訳ありません。おふたりにご挨拶をしようと。」
「いえ、それより怪我は?」
「平気ですわ。」
そういって令嬢が顔を上げダリアを見るなりピクリと動きが止まる。
「レディ?」
「い、いえ!ご挨拶遅れましたわ。わたくし、アルマと申します。アルマ・デミウドですわ。」
デミウドという名前を聞いてダリアの眉がピクリと反応する。
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