冷血公爵は呪われし美女を溺愛する

ナナスケ

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契約結婚

第一話

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5つの小国を束ねているガロワ帝国。
皇帝ガロワが治めている大変大きな帝国である。
その国の公爵であるリアム・ヴェルグラ公爵は冷血公爵と呼ばれている。
戦争での敵に対しての冷酷ぶりはもちろん、帝国の者に対しても冷酷無情な態度であることからそう呼ばれている。
しかし、帝国の女性からは闇夜の様な黒髪に血のように紅い瞳である容姿端麗なリアムは注目の的であった。
だが、リアムは女性に興味を持たなかった。
舞踏会に出ても寄ってくる女性を冷たくあしらう。

そんなリアムに皇帝からそろそろ婚約をせよと王命が下った。

ヴェルグラ城

「王命といっても、親戚が独身甥っ子かなんかにそろそろ結婚しろって言っているようなものだ。」

執務室の机に何枚もの書類を散らばせ、その紅い瞳を光らせながら見回す。

「恐れながら、陛下はご自身の娘であらせられるアデル皇女とのご婚約を望まれておいででは?」

リアムの机の前に立つ燕尾服を着た茶髪の執事、レオが無表情に言う。

「舞踏会の度にまとわりついて来る。俺が最も苦手・・な女性だ。」

ふぅ、と息を吐きながらこめかみに指を当てる。

「花のように静かにしてくれれば、どんな女でも構わないのだがな。」

そう言いながら再び机の上の書類を眺めると、リアムは1枚の書類に目が止まる。
おもむろにそれに手を伸ばすと、ニヤリと口角を上げる。

「レオ、、、いたぞ。俺はこの花に決めるとしよう。」

そう言うとリアムは足を組みなおしレオの前に書類をふわりと投げる。
見事レオがその書類を受け取ると、「この方ですか?」と少し不信そうにリアムを見た。

「そうだ。」

再び書類に目を落とすレオ。

そこには「ローズ・アグノエル」と記されていた。

「リアム様、この方をご存知で?」

「ローズ・アグノエル。アグノエル子爵の一人娘だ。5年ほどまえに子爵令嬢毒殺未遂の事件が起きた。その日以来あまり外に出ないと言う。」

淡々と説明をするリアム。

「社交界を怖がっておられるとか。」

「無理もないだろう、毒を盛られたのだ。城に引きこもりもする。しかし、」

リアムはレオの入れた紅茶を一口飲むと、自信ありげな表情をした。

「俺が選んだ理由はそこだけでは無い。それの下の方を見ろ。」

レオは言われるままに書類の下の方に視線をやると、そこには

[古代文字を解読成功。]

「これは、、、」

「俺は頭の悪い女も嫌いなんだ。だが古代文字解読程のことが出来るのなら、この俺も退屈しないだろう。」

「それ以上かと存じます。」

レオは目を伏せながら言った。

「5年前までは社交界に出ていたのだろう、その時の情報を集めてこい。」

「かしこまりました。すぐに。」

レオが一礼して部屋を出ていくと、リアムは後ろの窓の方を向き外を眺めながら呟いた。

「5年前か、俺が戦争に出ていた時期だな。」





数刻後

「お待たせ致しました。こちらが5年前までのローズ嬢の情報になります。」

レオから書類を受け取ると一言も発せずに目を通す。

「情報によりますと王国でも話題の美女で、その心優しい性格に誰もが心を許したと言います。しかし、5年前の戦争で父であるアグノエル子爵が亡くなり。」

「その後に事件が起きたのか。」

「はい、その事件もあまり知られていないみたいです。犯人も捕まっていない様子でした。」

「何?」

「恐らく、その事件直後にアグノエル子爵夫人が亡くなられています。」

あまりの衝撃的な事実にリアムは目を見開く。

「当時ローズ嬢は14歳でしたが、子爵の階級を譲り受け古代文字解読を仕事として陛下から賜っておられます。」

「、、、」

リアムは思案を巡らせ、顎に手を当て話し始める。

「毒殺未遂事件は大きな事件だ。しかも子爵令嬢となるとあまり知られていないなんて不自然すぎる。」

「もうひとつローズ嬢にはがございまして。」

「なんだ。」

「その毒のせいで顔が醜くなってしまい、故に外に出られないのではという噂でございます。」

「そのようなことがあっても不思議ではないな。」

「しかし、部屋に引きこもるだけなら何も不満はないな。むしろその方が助かる。」

「ではこのお嬢様と?」

「あぁ、レオ。アグノエル子爵令嬢に手紙を出せ。近いうちに訪ねるとな。」

「かしこまりました。」

「アグノエル子爵令嬢と取引をする。」





次回をお楽しみに!


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