冷血公爵は呪われし美女を溺愛する

ナナスケ

文字の大きさ
4 / 66
契約結婚

第三話

しおりを挟む
国中にヴェルグラ公爵の婚約が決まったことが知らされた。

[あの冷血公爵が婚約を決めた!]

[女性に興味を示さなかったあの公爵が!]

[公爵はアデル皇女とご結婚なさるかと!]

[相手は誰だ?!]

[ローズ・アグノエル子爵令嬢ですって!ほら5年前までは社交界に出られていたではありませんか!それはそれは美しい方ですわ!]

[おぉ、ついにあの白い城からお出になるのか!]


街だけではなく皇室もこの騒ぎは続いた。

ヴェルグラ公爵邸

「騒がしいな。」

執務室で婚約の手続きの書類に目を通しているリアムが不意につぶやく。

「当然でございます、それに皇女様も黙ってはおられないでしょう。」

リアムは書類を机に置くと立ち上がる。

「婚約は決めた。諦めるしか方法はないだろう。」

リアムはソファーにかけてある上着を着るとレオに書類を纏めるように指示をする。

「アグノエル嬢に会いに行くぞ、支度をしろ。」

「かしこまりました。」


アグノエル城

春の温かさと優しい陽の光、そよそよと吹く風は庭園の薔薇をゆったりと揺らす。
こんないい天気なら庭に出て薔薇を愛でるところだが、ローズの姿は見えない。
リアムは城内に入り、辺りを見回す。
出迎えた執事が「お嬢様は図書室におられます。」
それを聞くと案内されるままに進んでいく。

一際大きい部屋の両開きの扉を開けると、周りじゅう取り囲むように本の棚がそびえ立っていた。
天井にまで届くほどの棚に本は棚に敷きつめられていた。
あまりの壮大さに思わず見渡していると吹き抜けの天井ガラスから漏れる陽の光に照らされながら本を読みふける少女の姿。
心做しか、自分と会話をしていたときより表情が柔らかいように思えた。
その時感じたことの無いモヤモヤした気分が自分の心の中に渦巻いていることに気が付いた。
気付かれぬようにローズの背後に立ち、耳元に顔を近づけ囁いてみる。

「そんなに熱心に何を読んでいるんだ?」

ローズは振り向きもせずに「心理学論です」とだけ答える。

そんなローズにムッとすると持っている本を取り上げる。

「ヴェルグラ様?」

リアムは取り上げたが衝動的な行動だったがゆえこの後どうすればいいのか全く考えていなかった。

「婚約の手続き書類を持ってきた。見て欲しいんだが?」

ローズは目をパチクリするとリアムに向き直ってお辞儀をした。

「そうでございましたか、それは失礼致しました。すぐに確認致します。」

ローズが書類を受け取ろうとするとリアムはヒョイっとそれを避ける。

「ヴェルグラ様?あの、、、」

ローズが困惑しているとリアムは窓を見ながら

「その前に庭を見たい」

ローズはリアムが見つめている窓の方を見ると「かしこまりました」と答えた。

庭に出ると辺り一面白い薔薇が咲き誇っていた。

リアムはローズに手を差し伸べる。

「少し歩こう。」

ローズは差し伸べられた手を見つめ、恐る恐ると手をとった。

薔薇を眺めながら庭園を歩く2人。

「結婚をしてみたいといっていたが、この先私以外と結婚をしようとは思わないのか?」

ローズは少し黙ると「できません」と答えた。

「私も質問しても?」

リアムが頷くとローズは薔薇を弄りながら

「何故、契約とはいえ私を選んだのですか?」

「俺は騒がしいのは嫌いだ。皇室の舞踏会にひとたび出れば俺の容姿だけで騒がれる。そんな者たちと結婚なんかしたくないだけだ。」

「俺は愛を知らない。」




次回をお楽しみに!











しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...