おっさん、本でチートスキルを得る

盾乃あに

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大地震

変わる未来

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 俺は災害医療現場に行くと『エリアヒール』と言ってみんなを癒す。
 他のヒールを持ってる人も同じ様にしているので怪我人は少なくなった。

 でも何で今頃みんなにステータスが?
 マップを使って辺りを散策すると、ダンジョンという名が出てきた。
 まさかと思って言ってみるとそこにはダンジョンというか洞穴があり、横にはお地蔵さんが倒れている。

 まさかな?お地蔵さんがダンジョンを塞いでた?
 中に入っていくとやはりゴブリンなどがいた。
 倒していくと下層に繋がる階段がある。
 俺は中から出るとマップを広くする。
 無数にダンジョンがあるじゃないか!

 俺は大丈夫だが、スキルのない奴らはどうする?
 すると、『みんなこっちだ!』という声が聞こえたので行くとモノリスが地中から顔を出していた。
「これに触れば職業とスキルがもらえるみたいだ」
「そんなばかな」
 と触ると本当にもらえた様で、皆が触っている。
「これが本願寺君の秘密?」
「社長……そうですね」
「そう、こうなることは?」
「知りませんでしたよ」
「ふーん。どうだか」
 と言って触りに行く社長は俺の事を疑っているのか?

 触って帰ってくると、
「持ってるんでしょ?武器?」
「あぁ、ありますよ」
「私はヴァルキリーだったから、剣が欲しいわ」
「はぁ、鉄の剣で良ければあります」
 他の剣は俺が使ってるからな。
「ほかには?」
「俺もまだダンジョン攻略中だったんで、ないですね」
「じゃあそれでいいわ」
 と鉄の剣を渡すと、斬りかかってくる。
「何するんですか?」
「この元凶は貴方でしょ?」
「んな馬鹿な、じゃあ俺にどうしろって言うんだよ!」
 つい声を荒げてしまう。
「そう、貴方じゃないのね。悪かったわ」
 と簡単に謝る社長。ふざけてるのか?
「くそ、みんな見てるじゃないか!」
 みんなの目が俺を見ている。
「分かったよ。あとは勝手にしろ」
「本願寺君!」
 と言う言葉を聞くが戻る気にはなれなかった。

 はぁ、最悪だ。
 これを状況にはどうすればいい?
 『災害時緊急マニュアル』か、『発現』。
 防災道具などが出てくるだけだった。
 収納して歩いていく。
 車も収納の中だ。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
 壊滅した東京はビルが倒れ、見晴らしが良くなってるな。
 とりあえず生きてる人がいないか探して回復して回る。
 死んでる人を見ても何も思わなくなってきた。

 何のための力だ!
 こういう時こそ何か無いのか!
 収納の中から本を探す。
 がとてもじゃ無いが災害時に何かできる様なものはない。

 時を巻き戻す魔法などがあるが俺のレベルが低いため発動しない。

 俺が住んでたマンションは倒壊していなかった。
 自室に戻ると散らかった俺の部屋を収納しながらダンジョンに入る。
 俺はどうしたかった?
 こんなこと望んでない。
 『Reスタート』の小説でも『発現』すれば良いのか?違うだろ!
 俺一人の力じゃ何も変えられない!

 俺は無我夢中でモンスターを倒して行く、気づけば傷だらけになりながら80階層まで来ていた。
 ドロップも膨大な数ある。

 門を開くとミノタウルスが斧を振り翳していたが一閃、体を半分にすると霧に変わる。
 ドロップは皮とツノと魔石だ。
 宝箱からは大剣とダガーが二振り。
 それを取るとまた下に降りて行く。

 もうすぐ100階層だ、そこまで行けば何かわかるかもしれない。

 とにかく俺はモンスターを倒して先に進んだ。
 
 100階層、さすがに疲れたので少し休む。
 喉が乾くので水を飲む。経口補水液は全て渡したあとだ。
 オーク肉はあるが食べる気がしない。
 さぁ、ここで何かが変わるのか?
 俺は扉を開けるとドラゴンがこちらを威嚇していた。

「あんだよ?やれっていってんのか?やってやんよ!」
 黒鬼刀はとっくにダメになって今の獲物は大剣だ。
 自暴自棄になってはいない。
 このドラゴンを倒すと何かあるんじゃないかと思って俺は走って突っ込んでいく。
 ドラゴンは口を開け焔を吐くが、魔法、『プロテクション』でガードしてそのまま頭を斬り、返す刃でもう一度首を斬る。
 仰け反るドラゴンの足を斬りつけ倒れるドラゴンの腹を刺し反対から飛び出ると、ようやく霧に変わる。
 ドロップはドラゴンバスターと言う大剣と竜鎧と言う鎧。宝箱からは『何かの種』と『鍵』が入っていた。

 周りを見るとまだ下がある様だ。

 降りて行くと今度は機械の部屋?
「何だここは?」
『ようこそマスター』
 女性の声だな。
「だれ……俺を生かしたやつか?」
『それは下に降りてきてくれればわかります』
「チッ」
 俺は下に降りて行く。
 全てが機械でなんなんだここは?

 108階層に降りると、ようやく声の主がいた。
「SF好きにはたまらんだろうが今の俺は冗談に付き合ってられないぞ?」
 金髪の女性型のロボット、ヒューマノイドだ。
『私はヒューマノイド、貴方の助手です』
「は?」
『未来の貴方から託された希望です』
「未来の俺……何言ってんだ?」
『これから先、大災害が起きるでしょう』
「いや、もう起きたあとだ」
 そう、南海トラフ地震が起きた。
『違います。見たはずです、ダンジョンが無数にある事を』
「……」
『スタンピード、ダンジョンの暴走が起こり日本は壊滅します』
「……」
『それを止めるために未来の貴方が種を蒔きました』
 種を蒔いた?未来の俺が?
「それが俺か?」
『そうです』
「一人じゃ無理だろ!」
『貴方一人じゃない、ステータスを持った人間が勝利する未来を夢見て私を過去に送りました』
 それじゃあ、最初からステータスを持ったのは?
『今から鍵を開けて、最初の貴方に種を植え付けます』
「は?いまから?」
『時間は余りありません、どうか、ご協力を』
 時間ねぇって、
「ったく、何すれば良い?」
『そこに鍵を刺してください』
 目の前には小さな扉だ。
「ここだな!」
『扉が開いたら種を植え付けます』
「どこにだよ!」
『貴方ならわかるはずです』
 扉は腕が入るくらいしか無いが、そこには眠る俺がいた。
 じゃあ、ここしか無いだろ!

「俺は本の虫だからよ!」

 頭に植え付けた種は中に入って行く。
 腕を抜くと扉は閉まり鍵は折れてしまった。
『ありがとうございます』
「未来は変わるんだな?」
 
『もう変わってきてます』
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