おっさん、本でチートスキルを得る

盾乃あに

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大地震

最初の街

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 ペットボトルの水を飲みながら街を見て回る。
 やはり肉は貴重らしく、とにかく肉と交換のところが多い。
 歩いているとギルドなるところがあった。
 入ってみると皆こちらをみるが喋りかけてこない。
「ここはどんなとこ?」
「はい、ここはギルドと言って冒険者になる人を探しています」
 冒険者?
「へぇ、ここだけのやつ?」
「いいえ。国が連携してカードを発行してるのでどこでも使えますよ」
「なら登録するよ」
 空のペットボトルを置いて書こうとすると、
“グシャッ”とペットボトルを潰された。
「なーにすんのかな?」
 と後ろを振り向くと男がこちらを睨む。
「お前こそ変なもん連れてなに冒険者になろうとしてんだ?」
“シュン”と大剣の切先がその男の鼻の穴に入る。
「あが、が、」
「誰の悪口いってんだ?やるのか?」
「や、やめてください」
「……」
 必死なお姉さんの顔と男の怯えた顔を見比べて大剣を収納する。
「す。すいませんでした」
「ケッ!わかればいいよ」
 と書き物をする。
「これで良いか」
「はい、ありがとうございます」
 と言ってカードが出てくると、
「こちらが冒険者証になってます。FからSSまでランク付けされてますので、最初はFからですね」
「ふーん、どんなことすればランクは上がるの?」
「貢献度でランクは上がります。皮や肉を持ってきてもらうと貢献度が上がりますね」
 ふーん、タダで渡す代わりに貢献度があがるのか。
「ならこれを出すよ」
「こ、これは革?加工してありますね」
「まぁねー」
「そ、それでは、ランクをDに上げさせていただきます」
「え?そんだけなの?」
「最高2ランクまでしか上げられない規則で」
 ならやり損にならないようにしないとな。
「そっか、なら良いや」
 とDランクになった俺は外に出る。

「なんだか、街なのに活気がないね」
『まぁ、それだけ貧困なんですよ』
「孤児院はあるのか?」
『……ここから北に』
 と言うので北に行ってみると、もう崩れ落ちそうな建物の中に子供達が座っている。
「『土魔法』」
 で建物を補強して立て直す。
「ここの保育士?はいる?」
 と言うと男の保育士が出てくる。
「はい、なんでしょうか?」
「ほい、これみんなで食べてくれ」
 とオーク肉と水を渡す。
「あ、ありがとうございます!」
「しっかりな!」
「は、はい」
『マスターの行動が予測できません』
「うるせー」
 といって歩き出す。

 小さな部落と言った方がいいか、この街に冒険者がいないなら少しだけ冒険者しようかな?

『何を考えてるんですか?』
 といきなり聞かれるのでビックリして、
「うぉ、べべべつに」
『そうですか』
「なぁ。宿がねえからさっきのとこで寝かせてもらうか」
『本当にマスターが何をしたいのか分かりません』
「うっせ」
 と言って孤児院に向かう。
 中に入るとオーク肉を焼いてるいい匂いがしている。
「あ、さっきの」
「おう、宿がないからここで寝かせてもらえるか?」
「はい!狭いですが」
 子供達も並んで肉を食べているので俺も『サバイバル飯』でオーク肉を焼く。
「おい、こっちにもあるからな?」
 と言って腹一杯食べさせる。
 そういえば、
「おい、このポーチをやるよ」
「え?なんですか?」
「まぁ見てな、ほらほら」
 とオーク肉を入れて行く。
 固まっている保育士。
「マジックポーチだ、これに入れておけば取られずに済むだろう?」
「はい!ありがとうございます」
 と涙を流しているので、見ないで俺も腹一杯で寝ている子供達と一緒に寝る。

 次の日から近くのダンジョンを潰して周り一応オークの出るところは潰さないでおく。
 8箇所回って4箇所潰した。
 その間は孤児院に入り浸り腹一杯飯を食わせてやると元気になって行く子供達。
「あはは」
『フフッ』
 とシックスも笑っている。
 やはり子供が元気なのはいいな。

 そして別れの時は来る。
「おじちゃーん」
「うえーん」
「また来るからそん時はデカくなっとけよ?」
「……うん」
「おし、いい子だ!」
 と抱き上げると涙が顔にかかる。

「おじちゃーん」
「またねー」
 と遠ざかっていく。

『あれくらいの歳の子がいてもおかしくないかと』
「うるせぇよ!太っててモテなかったんだ!」
『フフッ』
「笑うな!」


 街を出て向かうは北西、俺が避難してたところにも街ができてるらしい。
「へぇ、ここはデカいな」
「高台ですからね」
 そうだったな、避難したのはその為だしな。
 とやはりここでも門兵のような周りを見ている人間がいるんだな。
「冒険者証はあるか?」
「これでいいか?」
「そっちのは?」
 とシックスを指差して言うので、
「これは俺のユニークだ」
 と言うと変な顔して通される。
「んじゃ先ずはギルドからかな?」
『そうですね』
 入ると目がこっちを向いているが俺は知らんぷりで、
「お姉さん、これで貢献度あがる?」
 と革に錬金したものを出すと、
「はい、上がりますね!革ですね!」
 カードを渡してBランクに上がる。
「はい、ありがとうございました」
 と、俺が出る時に入ってきた冒険者が、肩を掴む。
「おい、1ヶ月半もどこに行ってたんだ!」
「お、社長じゃないですか、凛々しくなりましたね!」
 そこには傷だらけの飯盛社長の姿があった。
「そんなことはどうでもいい」
「……俺を疑ったのはあんただろ?」
「あの時はすまなかった」
「いいですよ!んじゃ」
 と俺は肩を振り払って外に出て行く。
「くっ!」
 俺はあれからダンジョン攻略してんだよ!誰にも文句を言われる筋合いはない!
『お知り合いですか?』
「まーな」
 と街を歩いて回る。

 
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