おっさん、本でチートスキルを得る

盾乃あに

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大地震

付き纏う女

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 マップを見てある程度のダンジョンは片付けてるようなので俺はここから去る準備をしている。
 物々交換できるなら卵や醤油なども欲しいところだな。
 と街を回っていると、
「おい、私が悪かったと言っているだろう」
 といきなりお出ましの飯盛社長。
「はいはい、分かりましたから」
「分かってない!どれだけ心配したか」
「……分かってないのはあんただ」
 どの口がそれを言うんだ?
「すまなかった」
「だから俺に関わるな」
「悪かった!あの時の私はどうかしていた」
 まぁ、あの時は普通じゃなかったな。
「はぁ、わかった。その言葉確かに受け取った」
「じゃあ」
「じゃあなんだ?」
「……一緒に戦って」
「無理だろ、一回裏切った相手に背中を預けられるわけがない!」
「そ、そうかもしれないがそれでも」
 それでもなんだ?
「クドイ!俺は今旅の途中だ」
「お前は何か掴んだんだろ?一人でやるのか?」
「お前には関係ない」
「クッ」
 俺は物々交換をして行く。
 オーク肉なんて腐るほど持ってるからな。
「どれくらい潜ったんだ」
 と付き纏ってくる飯盛社長。
「はぁ?聞いたところでなんになるんですか?」
「良いから答えろ」
「100階層ですよ」
「な、それほど強ければ」
「さっきからうるさいなぁ!俺は俺のためにしか動かない!」
 本当にしつこい!

「私達のパーティーに」
「はいらない!」
 俺はつい大剣を出し切先を向ける。
「わ、悪かったと」
「うるさいんだよ!」
「わ、分かった。だが、」
「だがも糸瓜もない!俺に関わるな!」
「そ、そんなに嫌うことないだろ」
「弱いくせにピーピーうるさいんだよ」
 剣を収納に直すと、
「どうしたら許してくれる?」
「許されると思ってるのか?頭お花畑だな?」
「仕方ないだろ!私の性分だ」
「ただ別の道を行くだけだろ」
 さっさと他に行ってくれ。
「私達にはお前が必要だ」
「うまいこと使われるのは嫌なんでね」
「クッ」
 ようやく諦めたな。
 俺たちはできるだけ交換して明朝に出ることにした。
 寝る場所を決めて寝ようとすると、
『また来ましたよ』
「はぁ。帰れよ!」
「そ、そこまで嫌うこと……ないじゃないかぁー」
 と泣きながらこちらにやってくる。

「はぁ、なんなんですか?泣けば済むような問題じゃないんですが?」
「ひっく、わ、わかってる。けど、そんなに、嫌わなくても」
「嫌われるようなことしたのは貴女です」
「それでも、許してください」
 と頭を下げる。
「はぁ、分かりましたから頭を上げてください」
「よがっだ」
「俺はもう寝ますので」
「もうちょっと、話をしよう」
「私はあの後探したんだ。謝ろうと思って」
「へぇ」
「だがどこにも君はいなかった」
「ですね」
「ダンジョンも探したんだぞ」
「はい」
 それから苦労話を聞かされる。

「ちょっといいですか?苦労話は聞く気がないです」
「そうか、悪かった。ついな、喋れる者もいなくて」
 仕方がないからこれからやって欲しいことを喋る。
「5年後、ダンジョンスタンピードが起きます。だからそれまでに強くなっていてください」
「何故それを?」
「俺が掴んだ情報です。確実に起こり、日本は無くなると思ってください」
「で、では海外に」
「行くなら行ってください」
「一緒に」
「俺はここで戦います」
「……わかった、私も一緒に戦おう」
「じゃ、5年後に」
 と言って別れた。
 
 んじゃなかったのか?
「私もついて行く!」 
「俺は外で5年後に備えろと言ったんだ!」
「私だって強くなったのよ!ヴァルキリーだしね!」
 デカいリュックに鍋なんかを横に吊るしてるからガッチャガッチャと音がうるさい。
 仕方ないから……本当にしょうがないから、
「わかった、足手纏いだと思ったら置いてくからな」
「うん!よろしくね」
 荷物を収納にいれる。
「はぁ、わかった」
「よし!」
 んとに、勝手についてくるし。
 なにがしたいんだか、わからないな。
「ギルドの本部はどこにある?」
『ここから北に13kです』 
「よし、んじゃ次はそこだな」

「ギルド本部にあのことを言うのか?」
「そうだ、5年後に備えてもらわないとな」
 と歩きながら話す。
「聞いてもらえるだろうか?」
「そのためにランクを上げる」
「そうか、私は今Cランクだ」
「俺はBだ」
「クッ!」
 そんなので負けたもクソもあるかよ。
「とりあえずSSに上げながら向かうぞ、一番近い街は?」
『東に3kです』
「なぁ、思ったんだがこれはなんだ?」
「これじゃない、シックス、ヒューマノイドだ」
『よろしくお願いします』
「なんでそんなものをお前が?」
「色々あるんだよ!あとお前じゃなくてトキトだ!」
「わ、わかった……トキト」
 と声が小さくなる。
「恥ずかしがってんじゃねえよ」
「私は飯盛瑠璃イイモリルリだから」
「はいよ」

 道を歩く、3キロなんてすぐじゃないかとおもっていると街のようなものが見えてきた。
「お、ルリ、シックス、ついたようだな」
「ここはまた立派なマンションが残ってるな」
『お気をつけください、敵対者がいます』
「は?」
“ヒュン”と飛んできた矢を“キンッ”と弾くと、
「ひゃは、女がいるぜ?男はいらねーな!」
「後ろのもなかなか綺麗な作りもんだな!」
 とここは世紀末か?まぁ、世紀末かもな。
 腐った脳みそでゲスなこと考えてるんだろ。

「あー、倒すぞ?」
「あん?」
“ヒュッ”と一飛びで男の前に立つと袈裟斬りに、
「兄者!」
 そのまま大剣を持ち上げると、
「まッギャッ」
 振り下ろす。
 さて街の中はどうなってるんだ?
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