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人助け
しおりを挟むレオラン達と久しぶりに飲んで騒いで楽しかった。友達と呼べる人間がいることが凄くうれしかった。
会社勤めのころは友人なんていなかった。
実家に帰ればそれなりに昔の友達はいるが、あえば仕事の話ばかり。騒いで笑ってなんて社会人になってから久しくなかったな。
寂しさから恋人を作り、結局はフラれて落ち込んで。自分がなにをしたいのかわからなかった。
それでも社会は回っていたが、俺は歯車から外れた。
俺は自由になった。
「あぁー。頭が痛いな」
「飲み過ぎだぞ?俺が担いでベットにはこんだんだからな?」
耳元でユフィの声が頭に響く。
「って、なんで一緒のベットにいるんだっ痛ぅー……」
「だって心配だったから」
「ウッ!悪かったよ、今度から気をつける」
「そうだぞ!けっこう恥ずかしかったんだからな」
顔を真っ赤にした俺の彼女は可愛かった。
「女将さんおはよー」
「あら、昨日はごちそうさま」
「え?俺なんかやった?」
「いいえ。べつにー」
なんかやっちまったようだ。
「忘れてくれ」
「はいよ」
ユピーは怒っているようで水を置いて厨房に入って行った。昨日の俺は何をしたんだ?
「酔いも覚めてきたし、そろそろ帰るか?」
「だね、爺ちゃん達も心配するだろうし」
「いや、ここは時間差があるって言ってたろ?」
日本との時差は十分の一だ。
「ならまだいいんじゃない?王都観光しようよ」
「まぁ、それでもいいか」
錆猫の居眠り亭を出て、魔法屋に行く。これは日本のギルドに売ってみるためだ。
「五行魔法をワンセット」
「百万ルビーだよ」
「それと珍しいのは入ってるか?」
「んー、探知がはいってるよ」
「じゃあそれも」
「あとスクロールは?」
「早駆け、くらいかね」
「じゃあ、早駆けと剣術、槍術もくれ」
「まいど」
店を出ると、
「なんで剣術なんか買ったの?」
「これも日本で試したいからさ」
日本でも魔法やスクロールが本当に使えるのかの実験だ。俺が普通に使えてるからまず使えるはずだけどな。
「王都のお菓子がおいしくない」
「そりゃ日本に比べたらダメだろ?」
日本に比べると砂糖の使用量や砂糖自体の精製方法に問題があるだろうし。俺はこれはこれで優しい味な気がするけどな。
「もう飽きた。日本に帰ろう!」
「飽きるの早いかよ」
まぁいいか。
『転移』
「マダ夜中かよ」
「ふあぁあぁぁ」
暢気に欠伸するユフィにつられそうになるがグッとがまんする。
布団を敷いて横になる。ユフィははやくも夢の中だ。俺はスマホを取り出してオークションサイトを確認する。
「おし!あるな」
俺が確認したかったのは王都で買った魔法玉やスクロールだ。オークションにかけられているが、億単位の値がついている。
これをどうするかだが、こっちではコネがない。そうすると岡崎ギルドの福田副ギルド長か……あの人苦手なんだよな。
まぁ、ダンジョンがランクアップしたあといったないし、それを確認するためにも一回行ってみるか。
翌朝は親父の声で起こされた。
「お前達なんて格好で寝てるんだ?」
昨日は装備を身につけたまま寝てしまっていたようだ。
「それより起こすならドア越しに起こせよ?入ってくるのはマナー違反だ」
「いや、それは、すまんな」
あたふたするなら考えて行動しろよ。
「俺は朝飯はいいや、ユフィはまた爺ちゃん達と遊んでてくれ」
「らじゃーー!」
ユフィはまた甘やかされるのを分かっているな?こんどみっちりダンジョンで扱いてやる。
「あ。小太郎様、こちらにきていただけますか?」
「あ?はい」
岡崎ギルドに入るとすぐに受付のお姉さんに呼ばれ別室に。
「お久しぶりです小太郎様。副ギルド長の」
「福田さんですよね、今日は何事ですか?」
「今日はお願いがございまして、冒険者一パーティーがまだ帰ってきていないのです。それで探してきて欲しいのです」
「冒険者は自己責任では?」
「そうなんですが、そのパーティー、市長の娘さんが入っていまして、その」
上から圧力をかけられているのか。
「わかりました、どの辺にいるのかは?」
「それもわからず、十階層に並んでいるのをみた冒険者はいるのですが」
なら十階層から二十までの間だな。
「なら今から行ってきますよ」
「はい、お願いいたします」
「どんなふうになっていても知りませんからね」
「……はい」
最悪の結果は想定しておかないとな。
十階層に転移陣で行き、十一階層から探索を始める。リザードマンがウザいが倒しきっている暇はない。
走って避けてくまなく探す。
もし死んでいたら早くしないとダンジョンに吸収され、探せなくなってしまう。
十二階、十三階と探すが見当たらない。
十四階層に入った時どこからか戦闘の音が聞こえる。
「こっちか!」
音のする方に走って行ってみれば、血だらけでまだ戦っている男女混成パーティー、たぶん市長の娘だろう。
「助太刀する」
「あ、ありがとう」
オークを一瞬で倒すと、怪我をしている四人にポーションを渡す。
「市長の娘はだれだ?」
「私です」
気の強そうな娘が手を挙げる。
「ギルドから探索依頼が出て探しにきた。帰るぞ」
「た、助かった」
そう漏らした男をキッと睨みつけ、市長の娘は、
「いまから帰ろうとしていたところです!自分たちで帰れますので!」
はぁ、だからガキは嫌いだ。
「分かった、後ろからついて行く」
「みなさん!早く立って十階層の転移陣までいきますわよ!」
無言で立ち上がるメンバーは俺を気にしながら市長の娘について行く。
「そこは反対だ」
「わかってます!」
はあ、なんでこんなことに。
なんとか戦闘はこなしているが、もう残りの三人は俺を頼ろうとしている。市長の娘だけが率先して戦っている。
「みなさん!はやく動いてください!」
「冒険者さんお願いします!このままじゃ死んじまう」
「はぁ、お嬢さん、一人で戦うのはやめたらどうです?」
「くっ!お、お願いします」
「了解」
それからは俺が先頭になり、モンスターを蹴散らして十階層の転移陣に辿り着く。
他の三人は涙を流し喜んでいたが、市長の娘だけは唇を噛み締めていた。
「小太郎様!無事の帰還ありがとうございます。他のみんなもよく帰ってきたわね」
他の三人はまた泣き出し縋りついている。
「市長の娘、お前は助かって嬉しくないのか?」
「小太郎様?!」
「助けられて嬉しい?私はまだまだ強くなるのよ!このことをバネにしてもっと高みに登ってやるわよ!」
「はっ!安全マージンもとれずに三人もころしそうになったガキがよく言う」
「くっ!」
それだけあぶないことをしたのだ。わかってないなんて言わせない。
「こ、今回は助けていただきありがとうございました」
「どういたしまして、次はないからな」
市長の娘は逃げるように帰って行った。
「小太郎様、今回は本当に」
「いや、感謝はさっきいただいた。こんどは謝礼を貰おう。だが次は無いぞ?もっと冒険者には安全な範囲で探索することをお願いしたい」
「仰る通りです。これからどうやって行くかは会議になりますが、早めに対策していきたいと思います」
「それならいい」
謝礼は二十万、一人五万か、少ないがこれでもいいだろう。
今日はもう入る気が失せたからかえることにする。
家に帰ると凄く静かだ。
テーブルの上に手紙が置いてある。
『これから熱海に二泊三日で旅行に行ってきます。爺婆会&ユフィ』
「あのクソジジイが!俺も連れていけ!」
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