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陰謀
数日後。
今日は神殿で奉公の予定だったので、城の入り口で馬車に乗ろうとしたとき、ちょうど来客とすれ違った。
その人は旧サルサン国の貴族だ。名前は思い出せない。敗戦したあと、降伏はしたが領地をかなり減らされたはずだ。
「どうしましたか?」
「こちらにいらっしゃるエミリーヌ王女殿下にお会いしに来たのだ。一年後に捨てられる夫人が私に何の御用だ? もしかして私の妾でも狙っているのか?」
彼は好色な顔つきで品定めするように私をじろじろと見ていた。
「いいえ」
私がはっきりと拒否すると、彼は鼻息を荒くして、不機嫌そうに去っていった。
「行きましょう」
護衛に声をかけると、彼は用意した馬車に私を案内して乗車を手伝ってくれる。
彼はメイアス様の計らいで私に付き添っている。
神殿にいつものルートで進んでいると、途中の路上で他の馬車が立ち塞がるように止まっていた。脇を通り抜けるには道が細くて無理だったようで、私の馬車まで止まる羽目になった。
「どうしたのですか?」
護衛に声を掛ける。
「どうやら脱輪したようで、修理しているようです。迂回されますか?」
「いいえ、人手があったほうがいいから手伝いましょう。もし領主の馬車が困っている人を見捨てたと悪評が立ったらメイアス様にご迷惑がかかるかもしれないわ」
馬車には侯爵家の紋章が掲げられている。
私の返答に護衛は驚いたように目を瞬き、嬉しそうに微笑んだ。
「奥様はご主人様のことを大事に思われているのですね。美しいだけではなく、お優しい奥様を当家にお迎えできて、仕える身として誇らしいです」
「まぁ……ありがとう」
好意的に受け止められてありがたいはずなのに、護衛の称賛を素直に受け取れなかった。胸の奥がじんわりと痛む。
メイアス様と夜を過ごすたびに彼の優しさに触れ、どんどん彼に惹かれていた。
でも、それはレイを裏切ることだ。彼との思い出が過去になっていくほど、彼に対して申し訳なくなっていく。
メイアス様がレイだったらどんなに良かったことか。でも、そんな風に考えるだけで、今度は彼に申し訳なくなる。
二人への想いに私自身が押し潰されそうになる。
「奥様は中でお待ちください。私どもがやりますので」
「では、よろしくお願いします」
私も腰を上げて手伝おうとしていたけど、察した護衛に止められた。
馬車の中で一人きりとなった。
すると、突然馬車の扉がノックされた。
「聖女様、お助けください」
鍵を開けるなと言われていたが、助けを求めてきた国民を無下にはできない。
様子を窺うために扉を少し開けると、見知らぬ男が手を割り込ませて無理やりこじ開けて入り込んできた。
何をするの。そう叫ぼうとしたら、男は素早い動きで私の口元を何か布で押さえつける。
叫ぶ間もなかった。鳩尾に当身をくらった途端に意識が遠ざかり、私はあっさりと気を失った。
寒気がして目が覚めた。寝て起きたら、見知らぬ場所にいた。
どこかの納屋のようで、古びた道具や箱が部屋の隅に置かれている。
床に寝かされていた。両手を後ろで縛られた状態で。
身の危険を感じて、血の気が引いてくる。
「よう、目覚めたか」
知らない声が聞こえたので、慌てて視線を向ける。最後に見た男ともう一人別の男が立っていた。
「あんたには恨みはないが、依頼されてね。思ったより目覚めが遅くて焦ったが、ちょうどよかった」
二人とも、いやらしい目つきで、舐めまわすように私の体をじっくりと見下ろしている。
生理的な嫌悪感が襲ってきた。
「依頼主って誰なの?」
誰かが自分をひどく恨んでいる。その事実はとても私を苦しめる。
「言えるわけないだろう? 時間稼ぎか? ここが見つかるわけないって。まぁ、抵抗しなきゃ気持ちよくさせてやってもいいぜ」
下卑た笑いを浮かべながら男たちが近寄ってくる。
「いや、来ないで!」
恐怖のあまりに目を瞑って思いっきり叫んだときだ。
「うわ! なんだこれは!」
「やめろ! くるな!」
男たちが半狂乱な様子で慌てだした。
何が起こったのかと見れば、小さな生き物が彼らの体に噛みついていた。
それはネズミだ。何匹ものネズミが足元をものすごい勢いで走り回り、男たちに飛びかかっている。
噛まれた男たちは、私を襲うどころではなかった。
私はこの隙に立ち上がり、出入り口に向かって走り出す。引き戸だったので、後ろを向いて取っ手に触れ、器用に戸を開けて建物から脱出できた。
途端にけたたましい鳴き声が頭上から聞こえた。
空を黒く覆い尽くすほどのカラスが、空で舞うように飛んでいた。何羽いるのか分からないくらい大量だ。
異様な光景に唖然としていたら、後ろから男たちがネズミに襲われながらも私を追いかけてくる。
「来ないで!」
私が叫んだとたん、今度はカラスが一斉に急下降してきて男たちに襲い掛かっていた。
男たちの阿鼻叫喚が聞こえるけど、全然同情できなかった。
きっとこれは、神様の加護のおかげだろう。以前も助けてもらったことがあるから、そう思えた。
「奥様!」
声がして振り向けば、侯爵家に仕える人たちが血相を変えて走り寄ってきた。
「大丈夫ですか!?」
ジンだ。メイアス様に仕えている男だ。彼は私に慌てて駆け寄り、両手を拘束していた紐をすぐに切ってくれる。
他にも侯爵家に仕える騎士たちが集合し、男たちを素早く捕獲していた。
「やっぱりここにいらしたんですね」
「どうして分かったの?」
あの男たちの口ぶりは、見つかりっこないとかなり自信を持っていた。だから、これほど早く助けに来てくれるとは思ってもみなかった。
「メイアス様が空にカラスが集まっていると気づいて、そこへ行くように指示されたのです」
「そうだったの……」
私はそれからメイアス様が待つ城に無事に戻ることができた。
「ルミネラ、すまない。私が不甲斐ないばかりにあなたを危険な目に遭わせてしまった」
ぎゅっと抱きしめてくれるメイアス様の変わらぬ愛情のおかげで、私はようやく強張っていた体から力が抜けていくのを感じた。
「ありがとうございます、メイアス様。あなたのおかげで助かったんですよ」
言いながら、目から涙が次から次へと流れていく。
そんな私を落ち着くまで彼はいつまでも優しく抱きしめてくれた。
今日は神殿で奉公の予定だったので、城の入り口で馬車に乗ろうとしたとき、ちょうど来客とすれ違った。
その人は旧サルサン国の貴族だ。名前は思い出せない。敗戦したあと、降伏はしたが領地をかなり減らされたはずだ。
「どうしましたか?」
「こちらにいらっしゃるエミリーヌ王女殿下にお会いしに来たのだ。一年後に捨てられる夫人が私に何の御用だ? もしかして私の妾でも狙っているのか?」
彼は好色な顔つきで品定めするように私をじろじろと見ていた。
「いいえ」
私がはっきりと拒否すると、彼は鼻息を荒くして、不機嫌そうに去っていった。
「行きましょう」
護衛に声をかけると、彼は用意した馬車に私を案内して乗車を手伝ってくれる。
彼はメイアス様の計らいで私に付き添っている。
神殿にいつものルートで進んでいると、途中の路上で他の馬車が立ち塞がるように止まっていた。脇を通り抜けるには道が細くて無理だったようで、私の馬車まで止まる羽目になった。
「どうしたのですか?」
護衛に声を掛ける。
「どうやら脱輪したようで、修理しているようです。迂回されますか?」
「いいえ、人手があったほうがいいから手伝いましょう。もし領主の馬車が困っている人を見捨てたと悪評が立ったらメイアス様にご迷惑がかかるかもしれないわ」
馬車には侯爵家の紋章が掲げられている。
私の返答に護衛は驚いたように目を瞬き、嬉しそうに微笑んだ。
「奥様はご主人様のことを大事に思われているのですね。美しいだけではなく、お優しい奥様を当家にお迎えできて、仕える身として誇らしいです」
「まぁ……ありがとう」
好意的に受け止められてありがたいはずなのに、護衛の称賛を素直に受け取れなかった。胸の奥がじんわりと痛む。
メイアス様と夜を過ごすたびに彼の優しさに触れ、どんどん彼に惹かれていた。
でも、それはレイを裏切ることだ。彼との思い出が過去になっていくほど、彼に対して申し訳なくなっていく。
メイアス様がレイだったらどんなに良かったことか。でも、そんな風に考えるだけで、今度は彼に申し訳なくなる。
二人への想いに私自身が押し潰されそうになる。
「奥様は中でお待ちください。私どもがやりますので」
「では、よろしくお願いします」
私も腰を上げて手伝おうとしていたけど、察した護衛に止められた。
馬車の中で一人きりとなった。
すると、突然馬車の扉がノックされた。
「聖女様、お助けください」
鍵を開けるなと言われていたが、助けを求めてきた国民を無下にはできない。
様子を窺うために扉を少し開けると、見知らぬ男が手を割り込ませて無理やりこじ開けて入り込んできた。
何をするの。そう叫ぼうとしたら、男は素早い動きで私の口元を何か布で押さえつける。
叫ぶ間もなかった。鳩尾に当身をくらった途端に意識が遠ざかり、私はあっさりと気を失った。
寒気がして目が覚めた。寝て起きたら、見知らぬ場所にいた。
どこかの納屋のようで、古びた道具や箱が部屋の隅に置かれている。
床に寝かされていた。両手を後ろで縛られた状態で。
身の危険を感じて、血の気が引いてくる。
「よう、目覚めたか」
知らない声が聞こえたので、慌てて視線を向ける。最後に見た男ともう一人別の男が立っていた。
「あんたには恨みはないが、依頼されてね。思ったより目覚めが遅くて焦ったが、ちょうどよかった」
二人とも、いやらしい目つきで、舐めまわすように私の体をじっくりと見下ろしている。
生理的な嫌悪感が襲ってきた。
「依頼主って誰なの?」
誰かが自分をひどく恨んでいる。その事実はとても私を苦しめる。
「言えるわけないだろう? 時間稼ぎか? ここが見つかるわけないって。まぁ、抵抗しなきゃ気持ちよくさせてやってもいいぜ」
下卑た笑いを浮かべながら男たちが近寄ってくる。
「いや、来ないで!」
恐怖のあまりに目を瞑って思いっきり叫んだときだ。
「うわ! なんだこれは!」
「やめろ! くるな!」
男たちが半狂乱な様子で慌てだした。
何が起こったのかと見れば、小さな生き物が彼らの体に噛みついていた。
それはネズミだ。何匹ものネズミが足元をものすごい勢いで走り回り、男たちに飛びかかっている。
噛まれた男たちは、私を襲うどころではなかった。
私はこの隙に立ち上がり、出入り口に向かって走り出す。引き戸だったので、後ろを向いて取っ手に触れ、器用に戸を開けて建物から脱出できた。
途端にけたたましい鳴き声が頭上から聞こえた。
空を黒く覆い尽くすほどのカラスが、空で舞うように飛んでいた。何羽いるのか分からないくらい大量だ。
異様な光景に唖然としていたら、後ろから男たちがネズミに襲われながらも私を追いかけてくる。
「来ないで!」
私が叫んだとたん、今度はカラスが一斉に急下降してきて男たちに襲い掛かっていた。
男たちの阿鼻叫喚が聞こえるけど、全然同情できなかった。
きっとこれは、神様の加護のおかげだろう。以前も助けてもらったことがあるから、そう思えた。
「奥様!」
声がして振り向けば、侯爵家に仕える人たちが血相を変えて走り寄ってきた。
「大丈夫ですか!?」
ジンだ。メイアス様に仕えている男だ。彼は私に慌てて駆け寄り、両手を拘束していた紐をすぐに切ってくれる。
他にも侯爵家に仕える騎士たちが集合し、男たちを素早く捕獲していた。
「やっぱりここにいらしたんですね」
「どうして分かったの?」
あの男たちの口ぶりは、見つかりっこないとかなり自信を持っていた。だから、これほど早く助けに来てくれるとは思ってもみなかった。
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私はそれからメイアス様が待つ城に無事に戻ることができた。
「ルミネラ、すまない。私が不甲斐ないばかりにあなたを危険な目に遭わせてしまった」
ぎゅっと抱きしめてくれるメイアス様の変わらぬ愛情のおかげで、私はようやく強張っていた体から力が抜けていくのを感じた。
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