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オマケ

従者の義務

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 ある日、星司が仕事から戻ると、執務室のソファーに週刊誌を手にした立夏が寝そべっていた。最近は基礎的な単語が分からないながらゴシップを追いかけているらしい。変な知識がつくのは困りものだと思いつつも立夏には甘く、それを止められない星司である。

「なぁ、星司クンって絶倫やんなぁ」
「ぶっ!! な、立夏!?」

 真顔でとんでもないことを言う立夏。雑誌をめくりながらさらに続ける。

「この雑誌によるとな、星司クンの回数はかなり多い方や。しかもひと晩の回数だけのことやない、一週間に何べんもしたがるやなんてかなりの絶倫やわ。
 それに……星司クンは、ぷれいの内容もかなりまにあっく、らしいで?」
「マニアック、ですか……」
「つまりあれや、変態さんっちゅうことやね」
「!!」

 星司に向かってにっこりと微笑む立夏。だが、さっきまで入口に立っていた星司はいつの間にか真横にまで来ていた。

「わ、びっくりしたわ。いきなり詰め寄るんやあれへんよ、もう」
「もう一度、言ってください」
「はい?」
「さっきの、もう一度、言ってみてください」

 ぬっと壁のように立っている無表情の星司を見上げ、立夏は首を傾げた。そして、ゆるゆると視線を下げ、ある一点を見て眉をひそめた。

「……なんでこないなっとるのや。星司クン、ほんまにヘンタイやわぁ」

 わずかな軽蔑と嫌悪感。
 半勃ちだった星司はそれで完璧に臨戦態勢になってしまった。上着を脱ぎ捨て、ソファーの上の立夏にのし掛かる。

「わっ! ダメ、ダメやってぇ!! ここではあかん! それ治めて、治めてって!」

 立夏が雑誌を放り捨ててぺちぺちと胸板を叩くので、星司は一度動きを止めた。だが、一度集まってしまった血液を元に戻すのは難しい。いっそ抜いた方が早いし気持ちが好い。

「なら、口でしてください、立夏」
「ええ……?」

 星司は返事も待たずにベルトのバックルを外してスラックスの前を開けた。大きく存在感のあるそれが露わになると、立夏は困惑と恥ずかしさに頬を赤らめた。

「そんな、僕の方が主人なんに、僕が口でせなあかんのかいな……」

 立夏はぶつぶつ言うが、星司は寝そべる立夏の腕を取って引き起こし、ぺたんと座るその眼前にまるで押しつけるようにしてソレをちらつかせている。

「主人を悦ばせるのは従者の義務です。ですから、確かに今は逆転しているように見えるかもしれません。しかし、元はと言えば貴方を悦ばせようとした俺を止めて、義務を果たさせてくれなかった立夏が悪いのです」
「しやろか? ほんま? 僕絶対騙されてるでそれ」
「ならこの場で……」
「せぇへん! わかった、僕がなんとかすればええんやろ? 僕、口でするのは嫌いやないさかい……ええよ」

 今だけは騙されたるわ。

 そう言って、立夏は星司の腹筋に手を触れた。





 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 





 夕陽に照らされた執務室に淫らな水音が響いている。カーテンも引いていない一階のここは、誰かが外を通りかかることなど滅多にないが、もし今そんなことになれば困ったことになるだろう。

 膝立ちになった立夏は、星司の根元と袋に手を添え、唾液を絡ませた舌で裏筋をペロペロと舐めたり、カリの部分を丁寧になぞったり、亀頭にキスするように吸ったりと多彩な技で星司を悦ばせようとしていた。

 だが、口に含んで上下させたり、吸ったりされてもやはり、物足りなさが募る。もっと激しく、ぎゅっと密着させたくなるのだ。ゆるやかな口淫では逆に熱がこもるだけである。それを知ってか知らずか、立夏は健気に頬を染めて星司を刺激し続ける。

「り、立夏……もう……!」
「ええよ? 口に出し」
「くっ……!」

 口を開けて舌を見せる立夏に煽られた形で、星司はその口内へ己の欲望を深く差し入れた。立夏の苦しそうな、くぐもった声が聞こえてはいたが、星司は逃げられないようにその頭を抑えて腰を振った。

「んぐぅ! んんっ!」
「すみません、立夏……!」

 喉の奥にぶち撒けると、星司はすぐにソレを引き抜いた。遅れて立夏がひどく咳き込む。星司はその背を優しく叩き、立夏をソファーに横向きに寝かせながらも彼の穿いていたジーンズを手早く引き抜いていた。

「げほっ、っ! せ、星司クン? なにしてはるの?」
「すみません……本当にすみません。しかし、どうにも治まらず……」
「!?」

 立夏は星司の股間を見て目を丸くした。今確かに射精したというのに、その剛直は衰えていなかったのだ。

「や……あかん、あかんよ? もう終わったやろ?」
「 もう少し……。今度は、一緒にいきましょう。ね、立夏」
「あかんって、も~~! 星司クンのアホ! ヘンタイ!」
「……もっと言ってください」
「もう、ややぁ~!!」

 抵抗むなしく、従者の義務とやらを受け止めざるをえないご主人様だったのである。
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