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第1章
【世界説明】
しおりを挟むとは言ったものの、誰も説明書なんぞ読みたくはない。
なので端的に、エルフについて解説をする。
エルフは紀元前の北欧から出現した、種族。
人間の文明に製鉄を教えたのがエルフであることは周知の事実であるが、彼らは他にも多くの技術や知恵を与えた。
彼らは自分たちを神が作り賜うた『人類の先導者』だと言い、人間もエルフに従っていた。
だが、キリスト教の布教によって徐々に人間との間に軋轢が生まれ始める。それまで従順だった人間たちは傲慢なエルフたちへ反旗を翻し、聖戦の名の下、各都市にいたエルフを処刑した。
極めつけは、中世に起こった『エルフジェノサイド』であろう。
エルフたちが唯一自国の領土としていた北欧を、人間の軍勢が攻め込んだ。
エルフらはオリンピック選手など比べものにならないほどの身体能力、とりわけ強靱な脚力があった。弓を使い、木々を自由自在に飛び回り、人間を圧倒していた。
だが、弱点はその希少性にあったのだ。
エルフは長寿。しかし、その代わり出生率はなんと一年に五〇人ほど。エルフには繁殖期があり、それが数年に一回来るだけ。
エルフは皮肉交じりに言う。「人間は虫よりも増えるのが早い」と。
善戦していたエルフたちは、少しずつ人間の数の暴力に押され始め、そしてついに都市が陥落した。
以後、エルフたちは祖国を失った種族として、世界各地を転々としていくのだった。
人類がエルフの聖地を蹂躙したことを、長生きな彼らは忘れはしない。人間に仕えることもしない彼らは迫害され、居場所を失い、また次の地域に行くのである。
しかし・・・・・・この勝者と敗者の関係性が変わった。
第一次世界大戦で、人間は戦争の恐ろしさに気がついた。
だが、愚かな人間は第二次世界大戦に向かって進んでいた。
そこで頼ったのが、エルフたち。彼らの高度な技術は、戦略的にも軍事的な転用が可能だと考えた。
連合国・枢軸国の両陣営がエルフへ協力を仰ぎ、エルフはより良い提案をした連合国を選んだ。
そしてエルフの門外不出の技術の粋を集めた結果が・・・・・・『核爆弾』だということは、初等教育を終えた者であれば誰でも知っている常識だ。
エルフは戦争を終結させた功労者としてだけではなく、連合国が提示した条件で、それまでの不遇な生き様から回帰したのである。
そう。まるで神のような扱い。
エルフは失った国を取り戻しただけではなく、世界中のエルフを保護し、人間の産み出した利益の終着駅がエルフになるように作り上げられたのである。
たとえばリンゴを一個市場で買ったら? 最終的にはエルフの懐が温かくなる。そんな具合だ。
過去から学ぶことは、長寿のエルフの得意分野だ。
各国家にエルフ大使館を作り、各国にいる同胞の健やかで優雅な生活を保障させた。連合国側のみならず、人間はNOとは言えなかった。
こうしてエルフは栄光を取り戻し、人間は再び彼らの恩恵に預かることとなったのでる。
しかし・・・・・・エルフも完全無欠というわけではない。
そう。その証拠と言っても過言ではない、存在を見てみよう。
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