バズれアリス ~応援や祈りが力になるので動画配信やってみます!~

富士伸太

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本編

◆『聖女アリスの生配信』と『しろうさキッチン』から大切なお知らせ / バズれアリス

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◆『聖女アリスの生配信』と『しろうさキッチン』から大切なお知らせ



 みなさん、はじめまして。

 えー、お前は誰だと皆さん思ったことでしょう。

 このチャンネルに配信者として出てくるのは初になります。

 料理系動画の配信チャンネル『しろうさキッチン』の配信者、しろうさシェフです。

 調べればすぐにわかることなので初めから言っておきますが、私は茨城県のとあるレストラン『しろうさぎ』の経営者をしています。

 ちなみにレストラン『しろうさぎ』はただいま休業中です。
 近隣のご迷惑や密を避けるため、直接のご来店は控えていただくようお願い申し上げます。

 もし「どうしても直接話を聞きたい」というご要望が多い場合は、感染症が収束した後に会見などを実施することも視野に入れておりますので、今はまだどうかご辛抱のほど、重ねてお願い申し上げます。

 さて、話を戻します。

 『聖女アリスの生配信』においては、この私、しろうさシェフがマネージメントや編集を担当しています。

 そうです。

 私が、アリスの動画配信チャンネルを作ることを提案しました。

 初めて私がアリスと出会ったとき、彼女はひどく消耗していました。

 その一方、私は営業自粛等で店舗経営に非常に苦しんでいました。

 二人で協力してこの困難を打破しようと頑張ってまいりました。

 ここまでの足跡はあえて語るまでもないとは思いますが、色んな動画を取ってきました。

 自己紹介をしたり。

 ホムセンの斧や鉈でモンスターをハントしたり。

 武器を作って戦ったり。

 スプリガンとケンカをしたり。

 ご飯を食べたり。

 釣りをしたり。

 あちらの世界の歌や踊りを撮ったり。

 期間は言うほど長くはないのですが、とても濃密で得難い時間だったと思います。

 しかし。

 強く望みながら、どうしてもできないことがありました。

 アリスがこちらの世界に来ることです。

 今、私の後ろにあるものが見えますか?

 鏡のように見えますが、鏡ではありません。

 どうぞ見ててください。













 あれ?

 トラブルかな?

 おーい、アリスー。

「え、えーと、出てこなきゃだめなやつですか?」

 そりゃダメだと思うけど。

「い、いきます」

 あ、来た来た。

 ご覧の通り、アリスです。

「こ、こんにてぃわ……アリスです」

 あ、噛むの珍しいね。

 ていうか初めてでは?

「このタイミングでそういういじりやめてください」

 ごめんなさい。

「えー、あらためましてこんにちは。ご紹介に預かりました、アリス=セルティです」

 こんにちは。

「あなたが私に挨拶してどうするんですか」

 怒られました。

 真面目にやります。

「今日はちょっとおめかししてます。この青いドレスや髪飾りは、エヴァーンの正式な衣装なんです。なんのための正式な衣装かと言うと……まあ、動画を最後まで見ればわかると思います」

 というわけです。

 この『鏡』ですが、ご覧の通り、アリスの部屋と繋がっています。

 私は今までこれを通して、食料や生活物資などを送りました。

 例えば今、私の手にボールがあります。

 えいっ。

「はーい」

 ナイスキャッチ。

 えー、この通り、投げたボールがこの通りすり抜けました。

 その他、食パンとかジャムとか、鋼材とか、なんでもすり抜けます。

 生き物以外は。

「人間とかは鏡の表面で弾かれてしまうんですね」

 今、アリスが『鏡』を触っていますが、パントマイムとかではないです。

 体重をかけてマイケル・ジャクソンみたいな姿勢になっても、ほら、ご覧の通り転びません。

 とはいえ、アリスならマイケル・ジャクソンみたいな無茶苦茶な姿勢をしても大丈夫なんじゃないかと思われるでしょう。

 ですので検証として、今からおもしろいものをお見せします。

 幽神霊廟の地下6層にいた、トカゲです。

「はい、なんの変哲もないトカゲです。多分地球にいるのとそんなにかわりないと思います。これを鏡の表面に誘導して……はーい、こっちですよー、パンの切れっ端あげますからねー」

 ……ほら、どうです?

 空中に浮いてるように見えるでしょう?

 生き物のときだけ、『鏡』は押し返すんです。

 トカゲもこちら側に来られず、普通に壁を歩いてるような感じになります。

「はい、おしまい。ケージに帰りましょうねー」

 すごいでしょう?

 まったく意味がわかりません。

 ですのでこの『鏡』については、近日中に大学の研究機関にお譲りして、そちらで調査、研究をして頂くことになっております。問い合わせ先はこの動画の説明欄に記載しておりますので、そちらの方にご連絡をお願いします。

 手放す理由としましては、私たちにとって『鏡』の詳しい仕組みやメカニズムは、さほど大事なことではないからです。

 私たちにとって大事なのは、トカゲも人間も同様、ここを通り抜けられない……という純然たる事実です。

 アリスの暮らす霊廟の主人であり、ヴィマの神である幽神様が決めたことであり、通常この規則を曲げることはできません。アリスはこちらに来られず、私もあちらへは行けません。

 今まではそれで問題ありませんでした。

 一緒に食事もできました。

 カメラを渡して撮影してもらうこともできました。

 一緒に生活するにあたって、不自由はありませんでした。

 不況で飲食店への自粛が求められながらも、なんとかやってこれました。

「私は、国を追われて、霊廟の探索を命じられて、明日を生きることさえ危い状況でした。
 どうやって生きていくべきか。
 いや、そもそも生きるべきか、死ぬべきかさえ迷っていました。
 自分に明日があるなんて、信じられませんでした」

 二人で協力して、苦労を乗り越えて、今日まで生きてこられました。

「新たな夢や目標を持って、前を向いて歩くことができました」

 アリスと出会えて、本当に良かった。

「私も、この人と出会えて本当に良かったです」

 ですが、私はさらに前に進みたい。

 手を取っていろんなところに出かけたい。

 一緒にキッチンに立って、料理をしたい。

 つらいとき、苦しいときに、『鏡』を隔てずに側にいてあげたい。

 将来がまったく予測もできないこんな世の中でも。

 いや、こんな世の中だからこそ。

 手を取り合って、人生を生きていきたい。

 アリスにこちらの世界に来て欲しいと、強く思っています。

「私も……掴んだ手を、離したくありません。この幽神霊廟を踏破し、幽神に特例措置をお願いし、地球へ行くことを決意しました」

 私、「しろうさキッチン」のしろうさシェフは宣言します。

「私、「聖女アリスの生配信」アリスは宣言します」

「「私たち、結婚します」」







「結婚しちゃヤダー! うわああああーーーーん!!! 生配信以来ずっと追いかけてきたのにぃいいいいい!!!」

 吉沢太一郎は大学生であり、配信者である。

 そして、『聖女アリスの生配信』の熱狂的な信者である。

 初めての生配信以来、ずっと吉沢はアリスの動画を追いかけてきた。セリーヌが登場したときはティンと来てうっかり動画サイトの天井まで投げ銭をしてしまったが、それでもやはりアリスの方が好きであった。婚約者がいるということは当然知っていたが、今の今まで忘れていた。いや、忘れたことにしていた。

 特定班が手がかりを求めて動いているのは知っていたが、冷ややかに見ていた。「こういうのはミステリアスだからいいんじゃないか」と思っていた。

 だが吉沢は本音のところで、アリスの結婚など知りたくなかった。

 嘘偽りのない本音をぶちまけ、縦横無尽に活躍し、自分よりも大きな魔物を倒す。

 英雄的でもあり、少女らしくもあるアリスに、ぞっこんだった。

 だがそれでも、アリスの苦労が報われると思えば、吉沢はこの言葉を呟かざるを得なかった。

 今まで吉沢は、ずっとアリスが頑張る姿を見てきた。

 隙間風吹きすさぶ砂漠の遺跡に一人で暮らし。

 魔物と戦い。

 生放送は邪魔され。

 戦い、歌を歌い、飲み、食べ、そして戦い、配信者として、冒険者として戦い続けたアリスの生き様を、結婚発表の配信で本人たちが言っていたこれまでの道程を、吉沢は愛していた。だからこそ吉沢は、悲しみだけに囚われてはいけないと思った。

 昔、どこかの男が街頭インタビューで呟いた、男の悲しみと意地と祝福の混ざりあった言葉が、吉沢の口からこぼれ出た。

「でも……幸せならオッケーです……!」







「ぃよし! 炎上してません! 好意的な反応が大多数です……!」
「再生数も段違いだよ! すっごい!」
「SNSの流行ワードも『結婚』になったようじゃの! いやー、見ててハラハラしたわい……」
「ニュースや通信社も取り上げて、フォロワーもぐんぐん伸び続けてます……!」
「そうだ、この勢いでもっとバズれ……! バズれアリス……!」

 誠が珍しく昂ぶった様子でガッツポーズを取った。

 ここは、レストラン『しろうさぎ』ではなく翔子の会社『姫宮工業』の中にあるコンテナハウスだ。誠は『鏡』や配信機材とともにここへの引っ越しを済ませていた。

「ショックを受けてる人もたくさんいますし、疑問視する人も多いんですが、基本的には祝福のメッセージですね……。よ、よかったですけど……心臓に悪いですねこれは……」
「海外ニュースも新聞記事になったね。超大手の通信社から取材依頼がたくさん来てる……この対応も頭が痛いねぇ……」
「ガチ恋勢の人は悲しんでいますが、この吉沢さんという配信者が悲嘆に暮れつつも祝福していますね。彼に追随する人も多くいるようです」

 緊張が溶けて安心したのか、アリスが虚脱して机に突っ伏した。
 誠、翔子、セリーヌなど他のスタッフも同様で、快哉の声を挙げた後はすぐに倒れ込んでへばっている。

 アリスの婚約者特定班は、誠の予想通り思いもよらないところから証拠を探し集めていた。ポットのような物的証拠以外にも、「動画をカットするタイミングやエフェクトの好み」「マイクの音量や音質、ノイズの入り方」「マイクに混ざる微妙な生活音に共通点がある」「レストラン『しろうさぎ』の日替わりメニューとアリスの食事動画に使われてる素材が同じ」「テキストの改行や句読点の癖」「アリスがバズってからしろうさシェフの投稿頻度が落ちている」などなどの状況証拠が集まっていた。

 そこで誠はスタッフたちに「いっそ暴露しよう」と提案した。

『俺がアリスのマネージャーであることはいずれバレる』

『付き合ってることも、結婚を考えてることも、芋づる式にバレる』

『なら、下手に隠してこそこそするよりも、堂々と発表した方がいい』

『確かにアイドル的な配信者が結婚するというのは悲報だけど、世界全体で見たときは祝福をする人間の方が圧倒的に多いはずだ』

『特に、アリスが何者なのかは海外も注目している。異なる世界を跨《また》いでの結婚となると、わけもわからずみんなが祝福する』

『それに、今のご時世じゃ楽しいニュースが世の中に全然ない。毎日毎日、感染者が何人出て病床の使用率がどれくらいで……ってニュースが流れてる。これも大事な情報だって頭ではわかってるけど、どうしたって気が滅入っちゃうのは止められない。みんな『幸福なお知らせ』に飢えてるんだよ』

『だからもう、公式発表をしてしまおう。今こそチャンスだ』

 一番最初に説明を受けたセリーヌは、面食らいながらもアリスと誠の結婚を認めて協力を約束した。
 血のつながった家族のいないアリスにとって、実質的な仲人であった。

 そして仲人として様々な助言をした。

 アリスにどんな服を着せればいいか。

 結婚報告の内容に問題はないか、妙なヘイトを稼いだりしないか。

 結婚宣言配信の後に、スプリガンやセリーヌがメインの「アリスの結婚お祝い動画」を投稿してとにかく祝福ムードを作ってはどうか。

 そして、『鏡』の取り扱いにも気をつけよう……などなどだ。

「すでに目標の100万は目前です。200万オーバーもありえるでしょうね……では、しばしの別れです」

 この結婚において、一番のネックとなったのが『鏡』の取り扱いだ。

 誠がアリスの婚約者として姿を現し、アリスとの出会いの経緯を説明するにあたり、どうしても避けて通れないのが『鏡』についての説明であった。この『鏡』の持つ機能はあまりに驚異的すぎる。存在を明かせば、誠を害してでも手に入れようとする人間や組織が現れてもおかしくはない。

 だが誠の目的はアリスと共に過ごすことであり、『鏡』を独占することではない。むしろアリスが地球に来られるのであれば、もはや『鏡』は無用の長物となる。

 そこで誠は、『鏡』を手放す決断をした。

 以前セリーヌが講師として招かれた大学に譲り渡すことにしたのだ。

「引受先の大学の方からアナウンスを出してもらって質問窓口はあちらに請け負ってもらいます」
「打ち合わせが終わったら『鏡』を梱包しなきゃね……。念のためチャーター便でダミーのトラックを走らせて、本物の『鏡』はあたしが直接大学まで運ぶよ。いやあ、スパイみたいな真似は生まれて初めてさ」
「お願いいたします。翔子さん」

 幽神に頼んで地球に来るつもりのアリスとは違い、セリーヌ、スプリガン、ガーゴイルが、『鏡』なしで地球側とコンタクトを取るのは非常に困難になる。もしかしたら、直接会話するのがこれが最後かもしれなかった。

「こっちの方は問題ないさ。むしろそっちこそ頑張ってくれ」
「あんたと一緒に仕事ができて楽しかったよ」

 誠たちの言葉に、セリーヌがしっかりと頷く。

「万事お任せあれ。アリスをちゃんと送り届けます」

 そう言ってセリーヌは、鏡に手をおいた。
 ぱんと誠がその手を叩いた。
 続いて翔子も同じように叩く。
 小気味よい音が部屋に響いた。

「僕も最初は面食らったけど、数百年よりこの数ヶ月のほうが濃くて楽しかったよ」
「名残惜しいが、先へ征くものに試練を課すのみならず、見守ることこそが我ら守護精霊の務め。がんばるんじゃぞ」
「ありがとな。スプリガン、ガーゴイル。二人のおかげで助かったよ」
「人間以外の友達は初めてだけど良いもんだね」

 スプリガンとガーゴイルも、誠たちと『鏡』越しに手を叩く。

「それじゃ……アリス。待ってるから」
「アリスちゃん、がんばるんだよ。『餞別』はちゃんと持ったね?」
「はい、誠。翔子さん」

 アリスの表情からも先程の結婚宣言のときの嬉しそうな、もっと言えばデレデレとした気配は消え去り、今は強い覚悟に満ち満ちている。

 そしてアリスの後ろには、翔子から預かった『餞別』があった。2メートル近い長さのなにかが布で包まれている。アリスはそれを一瞥して、不敵な笑みを浮かべた。

「……少しだけ、待っていて下さい!」

 アリスもまた、皆と同じように誠と翔子と手を叩いた。

 こうして、最後の作戦が始まった。



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