ドラゴン騎士団

カビ

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総帥

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   「ただいま…。」
食堂に行くと、イーサンが言った。
「……ステラ、お前いい加減断れよ。グレイヴの特技で眠くならないとは言え、流石に死ぬぞ。」
「これは俺にしか出来ない。徹夜すると動きが鈍くなる。だが動き続けられるのは俺だけだ。お前達が寝不足で殺されるとか、俺は考えたくもない。」
「そーそ、夜中はマンカスに任せとけ。おめぇらは点数も入るし万々歳じゃないか。いいよなぁ~俺が変わってやりてぇよ~ハッハッハ。」
白龍部隊から笑いが起こった。
「ちっ!てめぇら……!」
すると、ダレス総師が入ってきた。
「何を揉めている。また黒龍部隊と白龍部隊か?」
一瞬で全員黙った。総師は全員が恐れている。あのルイスでも静まり返る程だ。最も強いライダー。ライダーの寿命を遥かに超えているのに、戦う力は衰えない。彼のドラゴン、ガドルは黒龍で、ドラゴンの中で最も巨大なのだ。それに比例して総師も大きい。黒龍はグレイヴのような深紅が最も強い副色だが、ガドルの副色は緑なのにも関わらずその大きさで1番強いのだ。
そんな総師にイーサンは目の前に出た。
「あの、真夜中に司令官ステラを任務に行かせているというのは本当ですか。」
「如何にも。」
「我々にも働かせて下さい!こんなの理不尽です!」
「ステラ自身から聞いただろう。寝不足で脳が働かない中戦わせたらお前たちは足でまといなだけだ。」
「ですが!いくらなんでもやりすぎです!」
すると突然総師は軽くイーサンをはたいた。その瞬間、一気に壁まで吹っ飛ばされた。
「黙れ。」
「イーサン!……しっかり!」
「あ、あぁ?」
鼻血が出ている。それに歯も抜け落ちていた。壁も凹み、頭部から血が出ている。
「総師!ただ意見を発言しただけで暴力を振るうとはあってはならないことです!」
すると、総師はトライデントを出した。待て、その武器今どこから出した?そして石附を思いっきり地面に叩きつけた。空気が凍りつく。その音と振動が心臓まで響いた。
「そんなに俺のやり方が気に入らぬのなら……俺を打ち負かして総師になれ。」
そう言うと、霧になるようにして消えた。
「イーサン。」
「……大丈…夫。痛え。」
「ありがとう。立てるか?」
「あー、無理。」
私はイーサンの肩を担いで医務室に向かおうとした。
「ステラ、あんたは朝食を食えよ。イーサンは俺たちに任せてくれ。」
「だが。」
「スレイクの言う通りだ。心配なのは分かるが、今は自分の体を優先しろ。」
グランクおじさんが割って言う。グランクおじさんはお父さんの幼馴染だ。私が幼い頃、休暇中は父代わりとしてよく面倒を見てくれた。そしてライダーになったあとも支えてくれた。
「分かった。すまない皆。イーサンをよろしく頼む。」
「任せろ!」
   私はイーサン達を見守り、残った仲間たちと朝食を食べた。皆優しいなって思うけど、実は昔の彼等……黒龍部隊は女である私を他の部隊が見てない間はよくバカにしていた。イーサンと1部の黒龍部隊は私を助けてくれた。名前をちゃんと呼んでくれるようになったのはいつからだったかな。女に関するあだ名がついてたっけ。白龍部隊は今も変わらずだけど。
   朝食を終えると、流石に特訓にも行かずに寝た。
起きると、イーサンの見舞いに行った。幸い大した怪我ではなかったとの事。鼻の骨にヒビが入ったくらい。
   そして夜になり、フリッグ達の特訓をしていた。
「ステラ!聞いてよ!」
「ん?どうしたの?」
「今日実技試験があったんだけど満点を取ったんだ!ステラのおかげだよ!」
「オイラも取れました!」
「そう……よ、良かったじゃない!」
「ステラ?元気ないね。どうしたの?」
「うぅん。なんでもない。さ、始めましょ。」
「言った方がスッキリしますよ。」
「……ダレス総師にはもう会った?」
「うん。」
私は今までの事を話した。
「えぇっと?宣戦布告?って何?」
「王国で有名な競技みたいなものだよ。」
サンドラが代わりに説明してくれた。
「それでまぁ、流石に体が限界を迎えてて。それで今日、総師が珍しく食堂に来たら、私の側近で友人であるイーサンがもうやめろって言ってくれたの。でも総師はイーサンに怪我をさせて、変えたいなら打ち負かして総師になれって。」
「は?そんなやつ総師から引きずり下ろせばいいのに。」
「簡単に言ってくれるじゃないの。フリッグ。」
「だってグレイヴは黒龍の中でも1番強い副色なんだろ?」
「無理。私も試した。厳しさに不満だったから挑んで、総師決戦で戦ったことがある。でも、一瞬で決着が着いた。」
「どうなったの?」
「あいつは化け物よ。あのまま続けてたらグレイヴ諸共殺されるところだった。幸い体中の骨が折れるだけで済んだわ。」
「それで幸いなの?どうして王は放っておいてるの?」
「さぁね。まぁでも、国の繁栄に大きく貢献しているのも事実。多分、私を夜中働かせるのも、国を考えてのこと。きっとね。民がいなければ国は成立しないもの。」
「本当に……そうなの?なんだか洗脳してるみたいだ。」
「かもね。でも私自身、結構楽しんでるのよ?戦うのが好きだから。それに楽しむのと同時に民たちを守れるしね。問題は、流石に寝る時間欲しいな~ってだけで。」
「あの~、一つ質問いいでしょうか?」
「サンドラ、どうしたの?」
「白龍部隊は性格が悪く、黒龍部隊は優しいと聞きました。なら総帥も本当は優しいのでしょうか?」
「確かに、以前黒龍部隊の方と赤龍部隊の方に
会ったけど、凄く優しかったな。対して白龍部隊は目付けられると中々逃れられなかった。なんで?」
「それ本気で言ってる?黒龍部隊が優しいって。」
「え?」
「まぁ、正式に部隊に入れば多分経験すると思うわ。白龍部隊は他の部隊に凄く性格が悪くなるの。目をつけられるとその日限りだから1日耐え凌げばいいわ。ルイスは別だけど。でも、同じ部隊や民たちには優しいのよ。民たちからの評価は凄く高いの。」
「へ~。黒龍部隊は?」
「黒龍部隊は白龍部隊の逆かな。基本優しいんだけど、裏はかなりやばい。それに、1度根に持つと何年も引きずるの。正直やり方に関しては白龍部隊を超えてる。何年か前、黒龍部隊の1人が、一般部隊の1人に無礼を働いたと怒って、片目をくり抜いたの。」
「え……?」
「酷いでしょ?で、誰にも言うなと圧をかけられて脅されるから誰かに相談しようにも出来ない。そんな状況になってしまう。彼ね、勇気を出してそのことを私に相談してくれたのよ?私も黒龍部隊だから怖かっただろうに。」
「それで君はどうしたの?」
「ひとまず安心させて、やった本人を呼び出して謝らせたわ。でも……謝っても失った片目は戻ってこない。だから彼を部屋に帰らせた後に、私が手を下したわ。」
「殺したの?」
「まさか!腐っても大事な仲間。そんなこと流石にしないわ。でも、同じようにした。次こんなことをしたら目だけでは済まさないって言ってね。」
「わ、わ~。ステラって結構残忍なんだね。」
「自分がした罪を代わりに私がそのまま返しただけ。それだけでもマシな方よ?総帥が断罪した時はちょっと……ね。」
総師と初めて会ったときを思い出した。見習い生なら誤ちは大目に見るが、正式に軍になれば容赦はしないと。
「ちょっと怖いな。」
「フリッグ、こうなることはごく僅かだと聞いたことがある。そこまで心配しなくても大丈夫なんじゃない?」
「サンドラの言う通りよ。悪いことさえしなければそうはならないから。でも、もし精鋭部隊に何かされたら、遠慮なく言って。他の見習い生達にもね。何とかするから。」
「うん。わかった。」
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