ドラゴン騎士団

カビ

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息抜き

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「さてと、特訓始めますか。」
「ステラ、ありがとう。」
「ふふ。今日は……何をしましょうか。」
「あの、レガーレと言うのをやってみたいです。今日の座席授業でそういう力を使えると聞いたので。」
「やば、その時うとうとしてたかも。」
「レガーレね。ごめんなさい。レガーレは教えようにも教えられないの。」
「どうしてですか?」
「レガーレは魔法じゃないのよ。ドラゴンと一心同体になった時に初めて発現するライダーだけの能力。一人一人、絆の形は違うから。レガーレを扱えるようになるのは、貴方達とドラゴン達次第よ。」
フリッグとサンドラは自分の相棒と見合わせた。
「あぁ、でも龍眼と龍炎っていうレガーレなら早くに扱えるかも。ドラゴンが大きくなった時点で扱えるようになるライダーもいるから。あと、レガーレの前段階として、ドラゴンの魔法ブレスと魔法能力を引き出す特訓ならできるわよ?」
「ほんとに?お願いします!」
「お願いします!」
それから私達は毎日ひたすら特訓した。レガーレは気づいたらできるようになってることがほとんどだから、本当はあまり急がなくてもいいのだ。
   ドラゴン達が魔法能力と魔法ブレスが扱えるようになるまで、ライダーは基礎魔法の特訓をしていた。そんなある日の事だった。
「あら?サンドラは?」
「あ~、実技授業で他のペアから魔法飛んできちゃって……それでちょっと療養中。」
「そうなの。お大事に。」
「抜け駆けしちゃうな。」
「今日は休む?」
「そうするよ。一緒に強くなるって決めたからね。」
「ステラ!」
「あら?ってイーサン!?なんでここに?寝てたんじゃ……。」
「いや、起きたらいなかったから。まーた特訓してんのかな~って。どうせまたあのクソ総師に任務出されるってのに平気かよ。」
「ね、眠れないから。」
「で、そいつ誰だ?」
「フリッグよ。休暇中の時会ったの。私の親友よ。」
「よ、よろしく。」

   彼がステラの言っていたイーサン。鼻に湿布を貼っていた。多分、治りかけなのだろう。かなり動揺してるみたいだけど、どうしたんだ?
「わ、わわ、私?おい、私って言ったか?」
「えぇ。」
「私って使うのは1部の奴だけじゃなかったのかよ……。嘘だろ?こ、こんなぽっと出の奴が?……おめぇすげぇな。」
「え?ありがとう?」
てっきり怒鳴られるのかと思った。
「ステラはさ、素が出ると女になるんだよ。かわいいだろ?それも素が出るのは俺とグランクじいさんとグレイヴだけだ。」
「ちょっとイーサン!」
「お前見習い生か。ドラゴンは……あぁ~紫か。一般部隊か~勿体ねぇな~。」
「え?」
「このバカイーサン。」
イーサン、語り出すと止まらないな。
「だが、いいなぁ。俺は紫好きだからよ。俺のドラゴンは副色が白なんだぜ?白は1番嫌いだ。」
  聞こえてるわよ?イーサン。
「げ、レイラ。」
見ると、そこには蝙蝠を彷彿とさせる大きな耳と翼を持ち、白い棘や体毛の生えた黒龍がいた。
「あいつは俺の相棒レイラだ。まぁ見ての通り獣みたいなドラゴンだな。」
「へぇ~。僕は素敵なドラゴンだと思うよ。」
  あらやだこの子なぁに?お世辞が上手いじゃない。あら、あなたのライダー?
  えぇ、そうですよ。フリッグと言います。私はアメリアと言います。
  紫龍のライダーね~。なら納得だわ。
  あーぁ、女の会話が始まった。長くなるな。
  あらグレイヴいたの。黒すぎて見えなかったわ。これ褒め言葉よ?あ、この前の飛び方超素敵だったわ。また見せてちょうだい?
  やれやれ。
雌ドラゴン同士の会話が始まった。レイラの会話能力とアメリアの謙虚さが上手くマッチしたのか、グレイヴの言う通りずっと続いていた。
「イーサン、私が夜隠れて見習い生と特訓してたこと、黙っててくれる?」
「じゃあ今度、シャトラで奢りな。」
「そんな高いところ!」
「シャトラって?」
「王族貴族しか行かねぇ超高級牛肉料理屋だな。」
「幾らするの?」
「……ステーキ200gで金貨5枚だな。」
「たっか!?」
それだけでも城下町で暮らす一般人の平均年収なのに。
「はぁ、仕方ない。分かったわよ。フリッグも来る?サンドラも呼んで。」
「え、そんな高いところ悪いよ。」
「気にしないで。お金は……あるし。」

   そしてサンドラの復帰後、結局僕達は流されてシャトラに来てしまった。
店内は息が詰まるほどザ、高級って雰囲気だった。ステラとイーサンはまだしも、まだ見習い生である僕達は完全に場違いである。
「しゃぶしゃぶ食おうぜしゃぶしゃぶ。」
「しゃ、しゃぶ……ステーキならまだしもしゃぶしゃぶは4人前で普通に金貨約30枚消し飛ぶんですけど。」
「あの、オイラ達は大丈夫ですよ。ね、フリッグ。」
「う、うん。」
「いや、折角来たんだからどんどん食えよ。」
「あなたは少しくらい人のお金で食べてることを自覚してちょうだい。というかあなた私が居ない間たまに盗んでるでしょ。」
「あ、バレてた?」
「フリッグ達は遠慮なく食べてちょうだい。」
大金持ちってすげぇ~。
「ステラ~俺も親友だろぉ?」
「親友だけどあなたは月イチで来てるでしょ。」
結局しゃぶしゃぶ4人前を頼んだ。ステラとイーサンはお酒も頼んでいた。お酒も凄く高いや。しかも濃度も高い。お酒、村暮らしだと飲んだことないな。
出汁が入った鍋が来た後に野菜、お肉が来た。コックが一つ一つ説明していた。
先にイーサンが食べ始めた。
「人の金で食う肉は最高だな!」
「まったく。」
ステラも静かに食べていた。僕達は本当に食べていいのか流石に遠慮していた。
「2人も食べて。でないとイーサンに取られるわよ?」
「そんな人を泥棒みたいに。」
「金盗んでる奴が何言うか。」
「じゃ、じゃあ……いただきます。」
肉を箸で掴んだ。普通のしゃぶしゃぶ肉の半分くらいの大きさしかない。軽く熱々の出汁にサッと浸して食べた。
「え、美味……。」
なんだこれ、めちゃくちゃ美味しい!思わずを目を瞑った。肉がすぐ溶けてしまう。見ると、ステラとイーサンはニヤニヤしながら僕達を見ていた。
「これ、凄く美味しいです!」
「う、うん。こんなの初めて食べた。」
「でしょでしょ~。」
「隙あり!」
「……このアホたれ。」
早……イーサンは既に自分の分のお肉を平らげていた。
「そんな怒んなって。」
「だからあなた人間時代にモテなかったんじゃないの?」
「ふっ。」
不覚にも少し笑ってしまった。
「……あ、コック!ステーキ200gレアで!あと追加のしゃぶしゃぶ肉1人前と酒のおかわり!」
「えちょっと!」
「かしこまりました。」
ステーキにしゃぶしゃぶの追加にお酒のおかわり……ってお酒ももう飲み終わってたの?1杯で大分顔赤くして酔ってたのにまだ頼むのか。対してステラは瓶半分飲み終わってるのに全然酔ってない。
「ステラ、だ、大丈夫なの?」
「……まぁ、あんまり使わないから良いわよ。」
そうぶっきらぼうに言った。
   僕達もしゃぶしゃぶを平らげた。イーサンもいつの間にかあっという間にステーキを平らげていた。
「ステラ、美味しかったよ。ありがとう。」
「ありがとうございます。」
「あなたたちはちゃんとお礼できて偉いわね。見てこいつ。」
イーサンはかなり酔ってるのか、言語にならない言語を喋っていた。
「ステラ~、酒もう1杯頼んでいいかー?」
「ダメ。あなた酒飲むと歯止め効かなくなるから。あなた達は食後のデザートかなんか頼む?」
「いやいや、流石に遠慮しておくよ。ありがとう。」
「オイラも大丈夫です。」
「了解。じゃあそろそろ出ましょうか。ほらイーサン行くよ?」
「ん~?」
「しょうがない。少し待つわ。イーサンは酔ったら酷いけど、覚めるのは早いから。」
「ステラは全然酔わないんだね。」
「まぁね~。」
   イーサンの酔いが覚めると、ステラはお会計した。
「合計で金貨51枚になります。」
「うっ……。はい。多分これで丁度。」
ステラは魔法を使って袋を出すと、カウンターに置いた。店員さんは小さな水晶を袋にかざした。城下町の店では、魔力が込められた水晶を使ってお金を確認する。
「はい。丁度ですね。ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております。」
僕達は外に出た。
「いや~美味かったぜ!」
「はぁ。もう。また特訓の続きしますかね。」
「お願いします。」
「俺も来ていいか?」
「えぇ。いいわよ。」
ステラを先頭に城に向かった。すると、イーサンが歩きながら顔だけ少し僕を見た。どうしたんだろう?と思った瞬間、顰め面をして舌打ちをして前を向いた。
「え?」
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