ドラゴン騎士団

カビ

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部隊

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「今日の実技授業はサバイバルだ。ドラゴン無しのな。ペアでこの授業中、他のペアに自分の旗を取られたら失格だ。最後まで残った者が勝者だ。」
教官の代わりである一般部隊の黄龍部隊が説明している。黒龍部隊の1人が戦死したことにより、急遽教官は葬儀に参加しているのだ。教官に限らず、白龍部隊以外の精鋭部隊が出席している。理由は確実に不謹慎なことを発言するのが目に見えてるからだそう。白龍部隊が戦死した場合は黒龍部隊が欠席だ。
   あまりにも退屈なため、サバイバル中少し雑談した。
「サンドラ、この前は大丈夫だった?その、ロースに対してイーサンが。」
「うん。ロースは若干気にしてたけど、負け犬の遠吠えだとか言ってた。そうだ、アメリア、魔法ブレス出せるようになったんだってね!」
「え?知ってるの?」
「ロースが言ってたよ。アメリアから聞いたみたい。凄いじゃん!精鋭色以外で見習い生の内にできるようになるドラゴンってそんなにいないんだよ?!君は一足先に正式に軍に加入しそうだな~。」
「あれ?学校みたいに1年だけ見習い生じゃないの?」
「君聞いてないのかい?ってその時君寝てたね。見てたよ。」
「うっ。面目無い。」
「基本的に実力で見習い生を卒業するんだ。学校とは違ってここは騎士団で、軍だからね。まだまだ未熟な者が入隊したってすぐ死ぬだけだよ。先輩方の足も引っ張るしね。」
「こらっ!喋ってる暇があるならどっか攻めにいけ!」
「やべ。」
見回っていた部隊が去ると、サンドラは言った。
「分かってないな~。攻めに行くよりも、守りに回ったほうが強いのに。ま、喋ってたのはちょっと反省。場所バレるから。」
「詳しいね。」
「へへ~ん。授業終わった後は図書室で本を読んでるからね。昔の偉人達の戦い方は熟知してる。」
「え?知りたい!教えてよ!」
「声がすると思ったら……カモはっけーん。」
「ん?」
別の部隊が僕らの拠点に入ってきたようだった。服とバッチで緑と橙だ。
「厭世部隊だとやばいけど。」
「同じ見習い生なら。」
僕とサンドラは顔を見合せて笑い、入ってきたペアに突っ込んだ。
   そして先程のペアを返り討ちにし、旗を取った。
「4本目~。あと2本かな?」
「うん。このまま行けば僕達優勝だよ!」
「そうだね。でもまだ油断は禁物だよ。」
「そうだ。さっきの続き。」
「戦いにおいて先ず優先されるのが回避だ。攻撃に当たってちゃ相手の土俵に立つことすら出来ないからね。」
と、戦術について色々サンドラから教わった。
「色々と読んできたけど、実践できるかは別問題なんだよね。ドラゴンの背中の上で戦うコツなんかは完全にライダーとドラゴン次第だし。」
「うーん。そっかぁ。」
「でもフリッグって、1回教わったことすぐにできるようになるよね。」
「そうかな。」
「うん。話戻すけど、司令官ステラから直々に教わるってとても凄いことなんだよ。現代は精鋭部隊に未熟な動きを見せるのが滑稽で無礼ということで教えるのがダメみたいな風潮になってる。……って他のペア来ないな。オイラ達と同じ守備に回ってるのかも。」
「そろそろ動く?」
「そうだね。行こう。」
僕達は他のペアを探しに出た。
「気をつけて。待ち伏せされてるかも。」
「うん。あ、僕タンニズアイ使えるようになったんだよね。」
「え、嘘!?なんでもっと早く言ってくれなかったのさ!」
「えへへ、ごめんごめん。ステラからやり方をちょっと教えて貰ってさ、授業中でもできるから毎日練習してたらできるようになっちゃった。」
「へ~君って凄いね。結構才能あるんじゃない?」
「ありがとう。あ、湖の近くにいるよ。」
「オーケー。」
そしてゆっくり近づいて、不意を突き、旗を奪った。
「5本目~。次で最後だ。どこにいるか分かる?」
「んーっと。あ、山の上にいる。」
「なるほど、山の上は見晴らしいいからね。」
「強行突破してもいいんじゃないかな?」
「ははっ、油断は禁物だよ。でも、時にはそういうのも必要だね。」
僕達は最後のペアに一気に攻め込んだ。そして少々苦戦しながらも、旗を奪った。
「ふー、危なかった。持ってた旗全部取られるところだったよ。」
「うん。ちょっとドキドキした。」
ピーっと終了の合図がなる。入口に戻ってくると一般部隊の1人が言った。
「今回は茶、紫のサンドラとフリッグのペアが勝利だ。」
僕達はお互いを見て小声で喜びあった。
「サバイバル訓練は入隊後も定期的に行われる。個人戦やドラゴンと共にやったりすることもあるから、忘れないようにな。」
はい。と皆が返事をした。
   そして他の授業も終え、いつも通り広場でのんびりしていた。その時、歩兵の1人が僕達の前に来た。
「お渡し物です。」
「手紙?ありがとう。」
歩兵は一礼すると去った。
「誰からだろう……。」
「誰々?って総帥!?」
総帥からの手紙……僕とサンドラ宛だった。何かやらかしたのか?ステラと隠れて特訓してるのがバレた?
「総帥部屋で待つ。すぐに来い。だって。」
「……腹を括るしかないね。」
「うん。」
   僕達は扉の前で深呼吸して、扉をノックした。
「フリッグとサンドラです。」
「入れ。」
「誠に申し訳ございませんでした!」
入るなり僕達は謝罪した。
「……は?」
「お呼び出しということは何かしてしまったということですよね?」
「本当にすみませんでした!」
「……お前達。何の話か知らないが顔を上げろ。」
僕達は困惑しながらも顔を上げ、総帥の様子を伺った。黒い目に不気味に輝く白い瞳孔。その目を見るだけで血の気が引く。呼び出した理由は違うのか?バレてないのか?
「ち、違うのですか?」
「お前達のヘマなんかどうでもいい。さてと、単刀直入に言うが、お前達は明後日、正式に入隊する。」
一瞬だけ総帥が言ったことの意味が理解できなかった。固まってる僕を置いて、冷静にサンドラが言った。
「あの、入隊だけなら、わざわざ呼ぶ必要はあるのでしょうか。」
「最後まで聞け小僧。」
「も、申し訳ございません。」
「一般部隊に入る色の者の中で特に優秀な成績を収めていると聞いた。特にフリッグ。精鋭部隊に入る色の者で見習い生の内に魔法ブレス、魔法能力、更にはレガーレを扱えるようになる者はたくさん見てきたが、その色で魔法ブレスを扱える者は数百年ぶりに見た。そして戦闘での動きも精鋭部隊のそれと似た動きをしていると評価されているそうだな。」
や、やばい。さすがにバレるか?
「そこで、お前達のドラゴンの副色的にも、サンドラを茶龍部隊長に、フリッグを紫龍部隊長にさせてもらう。」
「え?入って……いきなりですか?」
「いいや、入って1ヶ月後だ。そしてフリッグには同時に一般部隊司令官も務めてもらう。」
「え……あ、いえ、ありがとうございます。あの、今のリーダー達はどうなるんですか?」
「階級が一つ下がるだけだ。」
運命というものは残酷なものだ。正直断りたかった。だが、総帥の恐ろしさに気圧され、僕達は顔を見合わせて深呼吸して言った。
「はい。喜んでやらせていただきます。」
「精鋭部隊の皆様の足を引っ張らないよう邁進いたします。」
「よろしい。下がれ。」
僕達は敬礼し、部屋を出た。
「フリッグ?大丈夫?」
「えっと……つまり?」
「大丈夫じゃなさそう。オイラ達、明後日には入隊して、その1ヶ月後には部隊長だよ!?しかもフリッグは一般部隊司令官だ!凄いじゃん!」
「……えっと?」
「ダメだこりゃ。脳が理解するのを拒絶してる。」
「ちょっと待って!?僕達部隊長になるの!?それも僕は司令官に!?」
「うん。さっき言った。情緒不安定……ってさっきの言葉はなんだったのさ。」
「いや、よく分かんない。なんか出てきた。」
「え~……。」

   それから2日たち、ついに僕達は入隊した。荷物を持って、コモンフロアに来た。
「見習い生のフロアと全然違うね。」
「うん。」
「君たちが新入りかい?」
緑色の服を着た一般部隊の1人、おそらく緑龍部隊が言った。
「はい!よろしくお願いします。」
「うん。いい返事だ。僕はリーブ。緑龍部隊長一般部隊司令官だ。一般部隊って数多いけど知名度はそんなに無いから、僕のこと知らない人多いんだよね~。リーブ、超ショック。それで君たちは超優秀な一般部隊だって聞いた。1ヶ月後にはリーダーになって、僕の地位、司令官になるんだってね。」
「ごめんなさい。」
「いいや、謝らなくていいよ。総帥と司令官同士でたま~に会議開くんだけど、息が詰まってしょうがないんだよね。だから正直助かる。」
「ステラが居るのに?」
「ステラ司令官ね、一般部隊は皆尊敬してると思うよ。精鋭部隊の中では珍しい優しいお方だ。でも、オンオフしっかりしてるから……関わりにくくて。あ、そうそう、ここじゃエリートフロアのように常にギスギスしてる訳じゃないから安心して。他の部隊とも仲良しだ。エリートフロアは本当に、やばい。」
「ほえ~。」
「えーっとコモンもエリートフロアの中にも更にフロアがあって。各部隊専用のフロアになってる。例えばフリッグなら紫龍部隊専用部屋。サンドラなら茶龍部隊専用部屋って感じ。学校の寮みたいなものだね。重要なことがない限り別の部隊部屋に入るのは原則禁止だよ。」
「色々ありがとうございます。」
「いえいえ~。困ったらなんでも言っておくれ。」
「良い人だったね。」
「うん。」
「それじゃあ、別の部隊だから。またね。」
「うん。また。」
   僕はフリッグと別れて、紫龍部隊専用部屋に入り、指定された自分の部屋の前に来て、ノックした。入隊すると、部屋は2人もしくは3人につき1部屋となる。
解錠の音ともに扉が開く。
「あー君は、新入りか?」
「フリッグです。よろしくお願いします。」
「おぉ、よろしく。一般部隊に入るにしてはかなり早いんじゃない?ワイアットだ。」
「ありがとう。よろしくワイアット。」
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