1 / 4
Kとのコト
しおりを挟む
Kの父が死んだ。
葬儀は俺、時田の所属する野球部の部員全員が、何故か出席するという事態となった。この野球部の監督の(監督さんと呼ばれている)方針で、部員の家族に不幸があった時に全員で出席するというふうになっているらしい。
葬儀中、会場の後ろに居た大人達が、その弔事という儀式にも関わらず薄気味悪く何故か笑顔で居たのが、甚だ理解できなかった。
時間が進んでいき、お焼香をあげるとき、俺の世界がまるで死後の世界に居るかの如く、灰色で無機質、温かみのまるで無い世界に変わっていった。
(これは……何だ……?)
俺はこの現象を経験したことがある。曾祖母が死んだ日と、同じだーーーー。
(回想)
「時田、全然泣かないね」
「アイツ、中学生の分際で、人が死んだ時に涙も流さないのかよ」
「人の心が無いんだよ……」
「……」
曾祖母の遺影に顔を向け、俺はお焼香をあげに、まるで生気を失った顔でゆっくりと足を進めていく。
その時ーー、
『死ねって言え』
幻聴(?)が聞こえてきた。心無い、残酷で無惨な、幻聴がーー。
(『死ね』? ひいばあちゃんは死んでいるのにーー?)
『死ねって言え』
『死ねって言え』
『死ねって言え』
『死ねって言え』
『死ねって言え』
(ああ、幻聴か。今年、精神科に入院してる。病気か……)
俺は遺影の目の前まで歩き、ひとり立っていた。お焼香をあげ、手を合わせる。
『死ねって言え』
(し……? ……)
俺は手を合わせ、肘を張り背筋を伸ばした。そして、
ーーーー。
只、まっすぐ立っていた。
(回想終了)
Kの父の遺影。俺は灰色の世界でその目の前に立っていた。
『死ねって言え』
!? ーー。
手を合わせ、肘を張り背筋を伸ばした。
(くたばれ)
((!?))
自分自身を、
疑った。
(何で、人が死んだ時に、人でなし、Kの父、他人の家族に、自分が、自分の言葉なのか、死者の冒涜、冗談ではすまされない、何が起きた、弔事という儀式にも関わらず、キモチワルイ、俺 は 最 低 だ)
ふと、灰色の世界がはれていたことに気付く。そして、遺影のすぐ脇の席に居た、Kの顔に目がいった。泣いていた。
恐らく、俺があんなことを思ったコトは知らなかっただろう。単純に、父親の死が辛かった、父親の思い出を思い出していたんだと、予想した。
震える声で言った。
「が……、頑張れよ……」
Kは少しだけ頷いていた様に見えた。
ーーーー
葬儀の帰りの車で、
「アイツら、大人達がムカつく」
「!」
「ああ、後ろで笑顔になってやがった」
「Kが可哀想だ」
先輩達が大人達の態度に不満を持っていることが分かった。
(大人達がおかしかったから、それで、精神病の発作が起きて……)
言い訳を見つけようとしている自分が醜くて嫌だった。
その日か、数日後の夜、Kと話す機会があった。心苦しさでいっぱいだったが、やっとこさ言葉を選んで口を動かした。
「K、俺の家は離婚家庭で……、もうお母さんじゃないけど、お前の場合は、亡くなってもお父さんだから、まだマシだから……」
「離婚したって会えるだろーが。死んだら会えんわ」
「……」
その夜、心に決めた。
Kに対して、申し訳ない、悪いと思っているなら、Kが困った時に力になってやろう。助けてやろう。
葬儀は俺、時田の所属する野球部の部員全員が、何故か出席するという事態となった。この野球部の監督の(監督さんと呼ばれている)方針で、部員の家族に不幸があった時に全員で出席するというふうになっているらしい。
葬儀中、会場の後ろに居た大人達が、その弔事という儀式にも関わらず薄気味悪く何故か笑顔で居たのが、甚だ理解できなかった。
時間が進んでいき、お焼香をあげるとき、俺の世界がまるで死後の世界に居るかの如く、灰色で無機質、温かみのまるで無い世界に変わっていった。
(これは……何だ……?)
俺はこの現象を経験したことがある。曾祖母が死んだ日と、同じだーーーー。
(回想)
「時田、全然泣かないね」
「アイツ、中学生の分際で、人が死んだ時に涙も流さないのかよ」
「人の心が無いんだよ……」
「……」
曾祖母の遺影に顔を向け、俺はお焼香をあげに、まるで生気を失った顔でゆっくりと足を進めていく。
その時ーー、
『死ねって言え』
幻聴(?)が聞こえてきた。心無い、残酷で無惨な、幻聴がーー。
(『死ね』? ひいばあちゃんは死んでいるのにーー?)
『死ねって言え』
『死ねって言え』
『死ねって言え』
『死ねって言え』
『死ねって言え』
(ああ、幻聴か。今年、精神科に入院してる。病気か……)
俺は遺影の目の前まで歩き、ひとり立っていた。お焼香をあげ、手を合わせる。
『死ねって言え』
(し……? ……)
俺は手を合わせ、肘を張り背筋を伸ばした。そして、
ーーーー。
只、まっすぐ立っていた。
(回想終了)
Kの父の遺影。俺は灰色の世界でその目の前に立っていた。
『死ねって言え』
!? ーー。
手を合わせ、肘を張り背筋を伸ばした。
(くたばれ)
((!?))
自分自身を、
疑った。
(何で、人が死んだ時に、人でなし、Kの父、他人の家族に、自分が、自分の言葉なのか、死者の冒涜、冗談ではすまされない、何が起きた、弔事という儀式にも関わらず、キモチワルイ、俺 は 最 低 だ)
ふと、灰色の世界がはれていたことに気付く。そして、遺影のすぐ脇の席に居た、Kの顔に目がいった。泣いていた。
恐らく、俺があんなことを思ったコトは知らなかっただろう。単純に、父親の死が辛かった、父親の思い出を思い出していたんだと、予想した。
震える声で言った。
「が……、頑張れよ……」
Kは少しだけ頷いていた様に見えた。
ーーーー
葬儀の帰りの車で、
「アイツら、大人達がムカつく」
「!」
「ああ、後ろで笑顔になってやがった」
「Kが可哀想だ」
先輩達が大人達の態度に不満を持っていることが分かった。
(大人達がおかしかったから、それで、精神病の発作が起きて……)
言い訳を見つけようとしている自分が醜くて嫌だった。
その日か、数日後の夜、Kと話す機会があった。心苦しさでいっぱいだったが、やっとこさ言葉を選んで口を動かした。
「K、俺の家は離婚家庭で……、もうお母さんじゃないけど、お前の場合は、亡くなってもお父さんだから、まだマシだから……」
「離婚したって会えるだろーが。死んだら会えんわ」
「……」
その夜、心に決めた。
Kに対して、申し訳ない、悪いと思っているなら、Kが困った時に力になってやろう。助けてやろう。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
俺にだけツンツンする学園一の美少女が、最近ちょっとデレてきた件。
甘酢ニノ
恋愛
彼女いない歴=年齢の高校生・相沢蓮。
平凡な日々を送る彼の前に立ちはだかるのは──
学園一の美少女・黒瀬葵。
なぜか彼女は、俺にだけやたらとツンツンしてくる。
冷たくて、意地っ張りで、でも時々見せるその“素”が、どうしようもなく気になる。
最初はただの勘違いだったはずの関係。
けれど、小さな出来事の積み重ねが、少しずつ2人の距離を変えていく。
ツンデレな彼女と、不器用な俺がすれ違いながら少しずつ近づく、
焦れったくて甘酸っぱい、青春ラブコメディ。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる