ただΩというだけで。

さほり

文字の大きさ
123 / 417
監禁

3.

しおりを挟む
    口ぶりで、河野が自分をしばらく監禁するつもりだということは分かる。30過ぎの男がどこかに売り飛ばされるでもなし、何のために拘束されているのかが理解できない。

「…… 何が狙いだ?」

  津田が訊くと、河野は勝ち誇ったように、にやぁっと笑った。

「お前、次の発情期はいつだ?」
「……っ!?」
「そろそろだよな?ん?明後日くらいか?お前、抑制剤ピルを飲まずに発情期を迎えたことがあるか?」

  目尻を下げた河野の舐めるような視線に、背筋がぞっとした。

「今は何もしない。本気で抵抗されたら俺だって無傷じゃ済まないからな。どうせ発情期になれば、αがほしくて仕方がなくなるだろう?それまで待つさ。お前がよだれ垂らして俺をほしがって、自分でケツ差し出してくるのが楽しみだよ」

  屈辱と恐怖で、奥歯がカタカタと鳴る。発情期が近い。どうして河野がそれを知っているのだろう。

「お前、自分たちが俺より優秀だと思ってただろ?βと、Ωが?αの俺より?そんなことありえないんだよ!思い上がりやがって…… っ!思い知ればいい。どうあがいたって、有能ぶったって、自分が、Ωの、淫乱の、ビッチ野郎だってな!」

「あんたこそ…… 歪んだ最低のα野郎だ」
「今のうちにほざいてろ」

  河野は鼻で笑うと、悦に入ったような顔で警告した。

「ここはもともと、Ωを飼っておくための部屋だ。このドアは外側にかんぬきがあるからこっちからは開かない。窓から叫んでも、頭のおかしいΩだと思われるだけだ。発情期に優しくかわいがってもらいたきゃ、ここでおとなしく震えてろ」

  河野が喉の奥で笑いながら部屋を出て行くと、向こうで閂のかかるガチャンという鈍い金属音がした。足音が遠ざかってから数秒で玄関ドアの音がしたことで、ここが河野の自宅などではなく、単身者用マンションのような造りだと分かる。


しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 8/16番外編出しました!!!!! 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭 4/29 3000❤️ありがとうございます😭 8/13 4000❤️ありがとうございます😭 12/10 5000❤️ありがとうございます😭 わたし5は好きな数字です💕 お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭

さよならの向こう側

よんど
BL
【お知らせ】 今作に番外編を加えて大幅に加筆修正したものをJ庭58で販売しました。此方の本編を直す予定は御座いません。 BOOTH https://yonsanbooth-444.booth.pm/items/7436395 ''Ωのまま死ぬくらいなら自由に生きようと思った'' 僕の人生が変わったのは高校生の時。 たまたまαと密室で二人きりになり、自分の予期せぬ発情に当てられた相手がうなじを噛んだのが事の始まりだった。相手はクラスメイトで特に話した事もない顔の整った寡黙な青年だった。 時は流れて大学生になったが、僕達は相も変わらず一緒にいた。番になった際に特に解消する理由がなかった為放置していたが、ある日自身が病に掛かってしまい事は一変する。 死のカウントダウンを知らされ、どうせ死ぬならΩである事に縛られず自由に生きたいと思うようになり、ようやくこのタイミングで番の解消を提案するが... 運命で結ばれた訳じゃない二人が、不器用ながらに関係を重ねて少しずつ寄り添っていく溺愛ラブストーリー。 (※) 過激表現のある章に付けています。 *** 攻め視点 ※当作品がフィクションである事を理解して頂いた上で何でもOKな方のみ拝読お願いします。 扉絵  YOHJI@yohji_fanart様 (無断転載×)

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

旦那様と僕

三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。 本編完結済。 『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

処理中です...