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監禁
2.
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首筋の一点に、鋭い痛みを感じた。
声を上げることもできなかった。
えっと思った次の瞬間には、津田の意識は漆黒の闇に呑まれた。
そして目が覚めたら、この部屋のベッドに寝かされていたのだ。両手首を手錠で拘束され、下着にTシャツという姿で。
ひどい頭痛がして、ああ、麻酔だ、と思った。
学生時代に何度か、扱ったことがある。
過去に病院で打たれたこともあるから、目覚めの鈍い頭痛には覚えがあった。
(首に打つとか、なんつぅ乱暴なことを…… )
そう思ったが、もともと河野に人間扱いされたことなどないのだった。
「油断したな、津田」
突然そう声をかけられ、首を上げて見るとドアの前に河野が立っていた。昼間に料亭で見たのと同じスーツ姿で、腕組みをして薄笑いを浮かべている。
「……河野……さん」
津田が身体を動かすと、手錠の鎖がジャラ、と音を立てた。手錠にはロープが結び付けられ、その先はベッドの脚につながっている。
河野はベッドに座る下着姿の津田を、愉快そうに目を細めて眺めた。
「ずっとお前を、こうしたいと思っていたよ。Ωのくせに生意気で、いつもすましていて気に食わなかった。あの頃は佐伯がいつでもお前を守っていたが、もういないんだろう?お前の頼りない、忠実な従者は」
「……ふざけるな」
佐伯は従者などではない。そんな言い方をされる筋合いもない。津田は拳を握り、河野をにらみつけた。
「ふ……っ。いつまでそんな顔をしていられるかな。言っておくが、ここには誰も来ないぞ。まあ、心配しなくても、食料は十分用意してある。それに、俺も毎日お前の様子を見に来てやるよ。このままここで孤独死なんてオチはない。お前はここで、せいぜいそうやって強がって、楽しく過ごせばいいさ」
声を上げることもできなかった。
えっと思った次の瞬間には、津田の意識は漆黒の闇に呑まれた。
そして目が覚めたら、この部屋のベッドに寝かされていたのだ。両手首を手錠で拘束され、下着にTシャツという姿で。
ひどい頭痛がして、ああ、麻酔だ、と思った。
学生時代に何度か、扱ったことがある。
過去に病院で打たれたこともあるから、目覚めの鈍い頭痛には覚えがあった。
(首に打つとか、なんつぅ乱暴なことを…… )
そう思ったが、もともと河野に人間扱いされたことなどないのだった。
「油断したな、津田」
突然そう声をかけられ、首を上げて見るとドアの前に河野が立っていた。昼間に料亭で見たのと同じスーツ姿で、腕組みをして薄笑いを浮かべている。
「……河野……さん」
津田が身体を動かすと、手錠の鎖がジャラ、と音を立てた。手錠にはロープが結び付けられ、その先はベッドの脚につながっている。
河野はベッドに座る下着姿の津田を、愉快そうに目を細めて眺めた。
「ずっとお前を、こうしたいと思っていたよ。Ωのくせに生意気で、いつもすましていて気に食わなかった。あの頃は佐伯がいつでもお前を守っていたが、もういないんだろう?お前の頼りない、忠実な従者は」
「……ふざけるな」
佐伯は従者などではない。そんな言い方をされる筋合いもない。津田は拳を握り、河野をにらみつけた。
「ふ……っ。いつまでそんな顔をしていられるかな。言っておくが、ここには誰も来ないぞ。まあ、心配しなくても、食料は十分用意してある。それに、俺も毎日お前の様子を見に来てやるよ。このままここで孤独死なんてオチはない。お前はここで、せいぜいそうやって強がって、楽しく過ごせばいいさ」
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