ただΩというだけで。

さほり

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決断

9.

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「あんなに大事にしてるのに、津田さんが律君を手放したいわけがないじゃないですか。それなのにそれを、俺と二人で暮らすためとか、俺に迷惑だからとか、そんなふうに言われると…… 悲しくなります」

  乾がため息をつくと、一瞬見開かれた津田の目が暗く翳った。

「ごめん」

  津田は繋いでいた手をすっと引き、うつむいて顔を隠した。

「律のこととお前のことは、別の話だったのに。同じタイミングで話したから、ごっちゃになっただけで…… お前のせいにするつもりはなかったんだ」

  小さな声で弁解した津田は、
「顔洗ってくる」
  と言って立ち上がろうとした。乾は再びその手を取り、引き寄せた身体を正面から抱きしめた。

「すみません…… 俺、言葉が下手なので」

  津田の細い顎が小刻みに震えているのを、シャツ越しに感じた。
  傷ついたり、傷つけたり、したいわけじゃないのに。

「書き出して整理したいくらいですけど…… 紙がないので箇条書きで言います。俺の正直な気持ちですから、聞いてください。
  まず、嬉しいです。一緒に住みたい。でも、他人とか言われてショックでした。律君はかわいいです。ただかわいいってだけじゃなくて、津田さんの子どもだから…… いや孫ですけど、だから余計にかわいいんです。できれば3人で暮らしたい。手がかかるなら、津田さんとその苦労を共有したい。二人の時間ももちろん欲しいけど、それは一緒に暮らせば作れると思うんです。
  こういう話、ほんとはもっと早くちゃんとしたかった。引っ越しだけじゃなくて、できれば結婚したいし、つがいになってほしいし、津田さんの作ったハンバーグ食べたい。実はじわじわバレてるみたいなんで、職場でも津田さんは俺のだって公表したいです。発情期じゃなくてももっと触ったりしたいし、こないだのリベンジもしたいし、夜中に一緒に映画観たりとか、朝起きたら隣で寝てるとか、そういう普通のーー …… 津田さん?」

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