ただΩというだけで。

さほり

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番(つがい)

17.

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  その声を、顔を、思い出すと、津田の細胞の全てが彼を渇望するように、せつなくわなないた。

  会イタイ……
  触ッテホシイ……

  携帯が揺れる。タップする指も覚束ない。津田は時間をかけてキーボードの一文字ずつに触れると、短い返信メッセージを作った。

[ だいじょうぶ ]

  乾が定時に帰ってくるなら、あと5…… 6時間。
  大丈夫、耐えられる。
  津田はそう自分に言い聞かせ、震える指で送信ボタンをタップした。



  もやの中で、ガチャンと鳴る低い金属音を聞いたような気がした。津田はそれが何の音か、そもそも現実なのか、まともに考えることもできない。
  火照った肌に触れる、冷たいフローリングが気持ちいい。かき集めた衣類に顔を埋めると気持ちいい。性器も後孔も、いじると気持ちいい。

「あ、あ…… っ」

  精液と愛液でぐちゃぐちゃになった津田の下半身には、もはや快楽以外の感覚がなくなっていた。

  早ク、欲シイ……
  モウ少シ…… ?モウ少シッテ、何ダッケ……?

  性欲に支配された脳はすでに、時間の概念そのものを理解できなくなっている。意識が混濁した津田は、自分が何を待っているのかもよく分からなくなって、体液にまみれた裸体でリビングの床に転がっていた。

  耳の下にある床材が、ミシッと軋む音を立てた。それが音だとも認識できないのに、ドクン、と何かが津田の身体の中で爆ぜる。

  イイ匂イ……

「どこが、『大丈夫』なんですか…… 」

  その声に、全身が総毛立った。

  自我が引き戻された津田の目に映ったのは、ひどく不快そうに眉根を寄せた乾の顔。
  裸で転がる津田の前に仁王立ちになった彼は、興奮で紅潮した顔を歪め、汚いものを見るような目で津田を見下ろしていた。

  走って来たのか、フェロモンに当てられたせいかは分からない。乾のこめかみからは汗が流れ、ワイシャツの下の胸の動きが見えるほど、荒い息を繰り返している。
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感想 18

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