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番(つがい)
16.
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「んんーー…… 」
幸福で朦朧とする意識の中に、電子音が割って入る。ウインドベルの高く短い音。耳から脳に届いたそれがメールの受信音だと認識し、津田はハッとして目を開けた。
「あ、え……っ?」
右手は乾のシャツを握りしめ、左手は自らの下着の中に伸びている。そっとその手を引き抜くと、白濁でべっとりと汚れていた。
(なんだコレ…… 一回出してるし)
勝手に出たのか、自分でしごいたのかも覚えがない。火照る身体の背筋がぞくりと冷えた。
河野に監禁されていたときも、熱に浮かされ細切れに記憶が飛んだ。意識を取り戻すたびに、自分が自分でなくなる恐怖に気が狂いそうだった。
(あのときとは、全然違うだろ…… )
津田はうまく回らない頭で、パニックを押さえ込んだ。
いずれ帰ってくるのは、河野ではなく乾だ。望まぬ番にされるわけじゃない。どんな醜態を晒しても、蔑まれたりしない。
ただ、この家で彼の帰りを待てばいい。外に出たりしなければ、何も悪いことは起こらない……
汚れた左手を自分の下着で拭き、衣類の山を胸に抱えてゆらりと立ち上がる。それが傍にあれば、錯乱して家を飛び出すようなことにならない気がするからだ。
メッセージを受信した音がした。もしも乾からのメールなら、すぐに返信しないと心配させるだろう。
膝が笑ってうまく運べない脚を鼓舞しながら、津田はリビングまでゆっくり移動した。
ローテーブルに置いた携帯が、チカチカと光っている。ドアからその光までが、ひどく遠く感じた。
メッセージはやはり乾からで、一言
[ 変わりないですか ]
と入っていた。その文字列が脳内で彼の声に変換されただけで、後孔からドッと蜜が溢れる。
「んぅ…… 」
津田は再び床に膝をつくと、腕からばらばらとこぼれ落ちた衣類の上に身体を横たえた。
画面に表示された時刻は、午後12時05分。乾は昼休みに入ってすぐに、心配してメールをくれたのだろう。
幸福で朦朧とする意識の中に、電子音が割って入る。ウインドベルの高く短い音。耳から脳に届いたそれがメールの受信音だと認識し、津田はハッとして目を開けた。
「あ、え……っ?」
右手は乾のシャツを握りしめ、左手は自らの下着の中に伸びている。そっとその手を引き抜くと、白濁でべっとりと汚れていた。
(なんだコレ…… 一回出してるし)
勝手に出たのか、自分でしごいたのかも覚えがない。火照る身体の背筋がぞくりと冷えた。
河野に監禁されていたときも、熱に浮かされ細切れに記憶が飛んだ。意識を取り戻すたびに、自分が自分でなくなる恐怖に気が狂いそうだった。
(あのときとは、全然違うだろ…… )
津田はうまく回らない頭で、パニックを押さえ込んだ。
いずれ帰ってくるのは、河野ではなく乾だ。望まぬ番にされるわけじゃない。どんな醜態を晒しても、蔑まれたりしない。
ただ、この家で彼の帰りを待てばいい。外に出たりしなければ、何も悪いことは起こらない……
汚れた左手を自分の下着で拭き、衣類の山を胸に抱えてゆらりと立ち上がる。それが傍にあれば、錯乱して家を飛び出すようなことにならない気がするからだ。
メッセージを受信した音がした。もしも乾からのメールなら、すぐに返信しないと心配させるだろう。
膝が笑ってうまく運べない脚を鼓舞しながら、津田はリビングまでゆっくり移動した。
ローテーブルに置いた携帯が、チカチカと光っている。ドアからその光までが、ひどく遠く感じた。
メッセージはやはり乾からで、一言
[ 変わりないですか ]
と入っていた。その文字列が脳内で彼の声に変換されただけで、後孔からドッと蜜が溢れる。
「んぅ…… 」
津田は再び床に膝をつくと、腕からばらばらとこぼれ落ちた衣類の上に身体を横たえた。
画面に表示された時刻は、午後12時05分。乾は昼休みに入ってすぐに、心配してメールをくれたのだろう。
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