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新生活
11.
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退院し、乾の家で暮らすようになってから、それまで圧倒的に足りなかった「話し合う時間」がとれるようになった。出かける時にはほぼ常に律が一緒にいた二人には、落ち着いて話をできる状況になることがきわめて少なかったのだ。
津田が律を寝かしつけてそっと布団を抜け出すと、乾は大抵ソファで本を読んでいる。ドアの音をさせないよう細心の注意を払い、津田が南の部屋から脱出するのを、本から上げた目を細めて見ている。嬉しそうに笑いながらも、
「律君と一緒に早寝してもよかったんですよ」
と嘯く。
隣に座った津田に軽くキスをしてから、乾が二人分の飲み物をいれるために立ち上がるのが、いつもの流れになりつつあった。
「抜糸までは安静に」それを守るためか、乾は軽いキス以上のことをしてこようとはしない。その代わり、寝かしつけた律が目覚めるまでの夜の時間は、ゆっくりお互いの話を聞く穏やかな時間になった。
津田は昨夜、乾に姉がいることを初めて知った。実家や本家の話を聞き、彼が育った環境は、自分の幼少期とは随分違うと感じた。名前も知らない親戚が集まる新年会など、想像も及ばない。
そして、αに生まれ、過度な期待に晒された乾の子ども時代は、津田とは正反対なのになぜかよく似ていた。
「自分で言うのもなんですけど、物心ついたときからとにかく、何でも人よりできなきゃって思ってたんです」
がんばってがんばって、結果を出しても尚、認められないジレンマ。津田について回ったのは「Ωのくせに」だったが、乾は「αだからね」と言われ続けた。
「だから俺、律君には、『αだからできて当たり前』みたいな接し方はしないであげたいなと思ってます」
乾がそう言って笑ったとき、聞こえたはずもない本人がドアの向こうでぐずり始めた。
「ほんとにきっかり一時間半…… タイマーでもついてるんですかね」
津田が律を寝かしつけてそっと布団を抜け出すと、乾は大抵ソファで本を読んでいる。ドアの音をさせないよう細心の注意を払い、津田が南の部屋から脱出するのを、本から上げた目を細めて見ている。嬉しそうに笑いながらも、
「律君と一緒に早寝してもよかったんですよ」
と嘯く。
隣に座った津田に軽くキスをしてから、乾が二人分の飲み物をいれるために立ち上がるのが、いつもの流れになりつつあった。
「抜糸までは安静に」それを守るためか、乾は軽いキス以上のことをしてこようとはしない。その代わり、寝かしつけた律が目覚めるまでの夜の時間は、ゆっくりお互いの話を聞く穏やかな時間になった。
津田は昨夜、乾に姉がいることを初めて知った。実家や本家の話を聞き、彼が育った環境は、自分の幼少期とは随分違うと感じた。名前も知らない親戚が集まる新年会など、想像も及ばない。
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「ほんとにきっかり一時間半…… タイマーでもついてるんですかね」
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