ただΩというだけで。

さほり

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終章

11.

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「人と関わるのって、そもそも面倒なことじゃないですか。それでも俺は、一人でいるより津田さんと一緒にいたいと思ったんです」

  ケーキを箱に戻した乾が顔を寄せ、津田の頬を舐める。続いて首筋に舌を這わされ、そこにクリームが付いているのだろうと分かった。
  横目で律を見ると、風呂に湯が貯まるまでの約束で貸し与えた携帯の動画を夢中になって見ている。

  津田は壁を拭く手を休め、乾のこめかみを舐めた。少し固まったクリームの甘さが舌で溶ける。動物のように顔を舐めあい、津田の舌が顎へ移ると、彼に鼻先を舐められた。たぶんそこにクリームはないのに、と思って視線を上げると、それは愛しげに細められた彼の目とぶつかった。

  自然に重ねた唇は柔く優しく、文字どおりに甘い。離れた瞬間に開いた目が合って、少し吹き出した息が互いの唇にかかった。

「三人でお風呂って、初めてですね」
「お前デカいからさすがに狭いだろうけど、まぁなんとかいけんだろ」
「俺のサイズはこの際あんまり関係ないと思うんですけど」

  真顔で返されて、言葉に詰まる。

「そっちのデカさの話じゃねぇよ。そおいうのがいっつも、分かんねぇんだよ、お前は!」

  津田の声に、律が画面から目を上げた。

「けんか、らめよ?」

  ホントにしょうがないなぁ、というような顔で言われ、津田と乾は再び顔を見合わせて笑った。

  乾がケーキの箱を冷蔵庫に収める。津田は流しで布巾を洗うと、絞って流し台の脇にあるホルダーに広げて掛けた。

「じゃあ、お風呂行きますか」
「律と先行っといて。着替え取ってくっから」

  津田は乾にそう答え、南の部屋に向かった。

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