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第65話 株とは違う、初めてのFXで掴んだ2,500円
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翌日。
チャイムが鳴った瞬間、俺は玄関までほとんど駆けていた。
「……来た」
受け取った段ボールは、ずしりと腕に響く重み。
中身は――昨日注文したばかりのFX関連の専門書だ。
部屋に戻ってガムテープを乱暴に引き剥がすと、分厚い背表紙が次々と姿を現した。
『為替の基本』
『テクニカル分析大全』
『プロトレーダーの思考法』
『ローソク足完全読解』
机に並べるだけで、空気が一変する。
さっきまでただの高校生の勉強机だったはずが、気づけば投資家の書斎のような雰囲気に変わっていた。
――もちろん、封を切った時点で資金は減る。
【資産(現金):166,000円】
書籍代で36,000円のマイナス。
普通の高校生なら「バカだ」と笑われる金額だろう。
だが、俺は違う。
これは浪費じゃない。未来への布石だ。
「夢を叶えるための自己投資だ。絶対に無駄になんかしない」
息を整え、ページを開いた。
―
最初に飛び込んでくるのは「ドル円」「ユーロドル」といった見慣れない単語。
教科書じゃ絶対に見ない文字列が、黒々と並んでいる。
(ドル円……米ドルと日本円の通貨ペアか。値動きの瞬間を読み切って売買で利益を出す。株は企業の業績やニュースで動くけど、FXは世界規模の金の流れで動く……世界そのものを相手にしてるってことだな)
ページを追うごとに、頭の中で線や数字が整理されていく。
「集中力強化」や「暗記力」のスキルが勝手に働いて、知識がスッと染み込んでくる感覚。
ノートをめくれば、いつの間にか矢印やチャート、数列がぎっしり並んでいた。
ほんの数時間で、一週間分は勉強した気分になる。
(……でも、知識だけじゃ勝てない)
呟いた瞬間、視界に青白いウィンドウが浮かぶ。
―
【スキルショップ】
投資カテゴリに新規スキルが解放されました。
スクロールすると見慣れない項目が並ぶ。
・【ローソク足読解Lv1】 SP4
チャートの波を直感的に把握できる。ノイズを削ぎ落とし、相場の呼吸を感じ取れる。
・【リスク管理思考Lv1】 SP5
損切り判断と資金配分がクリアになる。感情に流されず、冷静な撤退が可能。
・【瞬間計算力Lv1】 SP5
変動幅や損益を直感的に計算できる。判断速度が向上する。
・【情報取捨選択Lv1】 SP4
膨大な情報の中から有益なデータだけを優先的に拾える。
「……どれも魅力的すぎる。全部欲しい……けどSPは有限か」
残りSPは【23】。
一つ一つの説明を読み込むたびに、心臓がドクンと脈を打つ。
(けど、まずは“土台”だ。読む力と退く力。この二つを手に入れる)
指先で選択肢をタップした。
―
【新スキル取得】
・ローソク足読解Lv1(SP-4)
・リスク管理思考Lv1(SP-5)
【残りSP:14】
瞬間、脳裏に走るイメージ。
赤と緑の棒がまるで呼吸のように脈打ち、揺れ、膨らみ、縮む。
値動きの“癖”が手に取るように見え始める。
さらに「ここで下がる」「ここで止まる」といった線が、頭の奥にうっすらと浮かぶ。
数字じゃなく、感覚。でも確かに“読める”。
(……これなら、戦える)
―
ノートを閉じ、ノートPCを立ち上げる。
証券会社の口座にアクセスし、指先で入金。
(……そういえば、株を始めたときも、母さんに同意書を書いてもらったっけ。
あの頃は「高校生で投資なんて」って呆れられたけど、今はもう文句言われないな)
【資産(現金):166,000円】
「まずは……5万からだ」
エントリーボタンを押す指が震える。
画面いっぱいに並んだローソク足。
昨日まで意味不明だった棒が――今は脈を打つ心臓の鼓動に見えた。
(ここで反発する……!)
数分間の攻防。
心臓の鼓動とチャートの上下がシンクロする。
汗が手ににじみ、息が詰まる。
そして――反発。
「……来た!」
決済ボタンを叩く。
+2,500円。
たった数分での利益。金額は小さい。
だが――意味は計り知れない。
(株じゃ味わえなかった。速い、鋭い……まるで生き物と戦ってるみたいだ!)
胸が熱くなる。
その瞬間、視界に光が弾けた。
―
【特別クエスト達成】
・タイトル:「次なる挑戦」
・結果:初めてのFX取引に成功
・報酬:SP+5/新スキル獲得
【新スキル取得】
・相場直感Lv1
→ 値動きの「次の方向」が直感的にわかる。
上がるか下がるか、呼吸するように感じ取れる。
―
「……直感で、相場の息遣いがわかる……?」
背筋を電流が走るように震えた。
知識や分析に、答え合わせの感覚が加わった。
だましを避けられる。勝率が跳ね上がる。
椅子に深くもたれ、天井を仰ぐ。
赤と緑の棒だったはずのものが、今は未来を示す羅針盤に見える。
(株、そしてFX。俺はまだ強くなれる。必ず資金を掴む。そして――誰も夢を諦めなくていい仕組みを作るんだ)
ベランダの外で、誰かが自転車のブレーキを鳴らした。
その音に紛れて、俺はひとり呟く。
「ここからだ」
キーボードのEnterを叩く。
画面に浮かぶチャートが、次の波を描き出していく。
―
※【 】内は今回上昇分
【現在のステータス(七月初め・FX取引後)】
・名前:佐久間 陽斗
・年齢:16
・身長:180.8cm
・体重:63.0kg/体脂肪率:9.0%
・筋力:27.0
・耐久:27.0
・知力:31.2
・魅力:41.2
・資産(現金):168,500円
・投資中:60,000円(評価額:160,000円/利益:+100,000円)
・総資産:328,500円
・SP:19【-4】
・スキル:25(展開可能)【+3】
・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占
・特別イベント:
水城遥(進行中/好感度:89/恋愛条件未達)
一ノ瀬凛(進行中/好感度:74/好意)
星野瑠奈(進行中/好感度:72/好意)
チャイムが鳴った瞬間、俺は玄関までほとんど駆けていた。
「……来た」
受け取った段ボールは、ずしりと腕に響く重み。
中身は――昨日注文したばかりのFX関連の専門書だ。
部屋に戻ってガムテープを乱暴に引き剥がすと、分厚い背表紙が次々と姿を現した。
『為替の基本』
『テクニカル分析大全』
『プロトレーダーの思考法』
『ローソク足完全読解』
机に並べるだけで、空気が一変する。
さっきまでただの高校生の勉強机だったはずが、気づけば投資家の書斎のような雰囲気に変わっていた。
――もちろん、封を切った時点で資金は減る。
【資産(現金):166,000円】
書籍代で36,000円のマイナス。
普通の高校生なら「バカだ」と笑われる金額だろう。
だが、俺は違う。
これは浪費じゃない。未来への布石だ。
「夢を叶えるための自己投資だ。絶対に無駄になんかしない」
息を整え、ページを開いた。
―
最初に飛び込んでくるのは「ドル円」「ユーロドル」といった見慣れない単語。
教科書じゃ絶対に見ない文字列が、黒々と並んでいる。
(ドル円……米ドルと日本円の通貨ペアか。値動きの瞬間を読み切って売買で利益を出す。株は企業の業績やニュースで動くけど、FXは世界規模の金の流れで動く……世界そのものを相手にしてるってことだな)
ページを追うごとに、頭の中で線や数字が整理されていく。
「集中力強化」や「暗記力」のスキルが勝手に働いて、知識がスッと染み込んでくる感覚。
ノートをめくれば、いつの間にか矢印やチャート、数列がぎっしり並んでいた。
ほんの数時間で、一週間分は勉強した気分になる。
(……でも、知識だけじゃ勝てない)
呟いた瞬間、視界に青白いウィンドウが浮かぶ。
―
【スキルショップ】
投資カテゴリに新規スキルが解放されました。
スクロールすると見慣れない項目が並ぶ。
・【ローソク足読解Lv1】 SP4
チャートの波を直感的に把握できる。ノイズを削ぎ落とし、相場の呼吸を感じ取れる。
・【リスク管理思考Lv1】 SP5
損切り判断と資金配分がクリアになる。感情に流されず、冷静な撤退が可能。
・【瞬間計算力Lv1】 SP5
変動幅や損益を直感的に計算できる。判断速度が向上する。
・【情報取捨選択Lv1】 SP4
膨大な情報の中から有益なデータだけを優先的に拾える。
「……どれも魅力的すぎる。全部欲しい……けどSPは有限か」
残りSPは【23】。
一つ一つの説明を読み込むたびに、心臓がドクンと脈を打つ。
(けど、まずは“土台”だ。読む力と退く力。この二つを手に入れる)
指先で選択肢をタップした。
―
【新スキル取得】
・ローソク足読解Lv1(SP-4)
・リスク管理思考Lv1(SP-5)
【残りSP:14】
瞬間、脳裏に走るイメージ。
赤と緑の棒がまるで呼吸のように脈打ち、揺れ、膨らみ、縮む。
値動きの“癖”が手に取るように見え始める。
さらに「ここで下がる」「ここで止まる」といった線が、頭の奥にうっすらと浮かぶ。
数字じゃなく、感覚。でも確かに“読める”。
(……これなら、戦える)
―
ノートを閉じ、ノートPCを立ち上げる。
証券会社の口座にアクセスし、指先で入金。
(……そういえば、株を始めたときも、母さんに同意書を書いてもらったっけ。
あの頃は「高校生で投資なんて」って呆れられたけど、今はもう文句言われないな)
【資産(現金):166,000円】
「まずは……5万からだ」
エントリーボタンを押す指が震える。
画面いっぱいに並んだローソク足。
昨日まで意味不明だった棒が――今は脈を打つ心臓の鼓動に見えた。
(ここで反発する……!)
数分間の攻防。
心臓の鼓動とチャートの上下がシンクロする。
汗が手ににじみ、息が詰まる。
そして――反発。
「……来た!」
決済ボタンを叩く。
+2,500円。
たった数分での利益。金額は小さい。
だが――意味は計り知れない。
(株じゃ味わえなかった。速い、鋭い……まるで生き物と戦ってるみたいだ!)
胸が熱くなる。
その瞬間、視界に光が弾けた。
―
【特別クエスト達成】
・タイトル:「次なる挑戦」
・結果:初めてのFX取引に成功
・報酬:SP+5/新スキル獲得
【新スキル取得】
・相場直感Lv1
→ 値動きの「次の方向」が直感的にわかる。
上がるか下がるか、呼吸するように感じ取れる。
―
「……直感で、相場の息遣いがわかる……?」
背筋を電流が走るように震えた。
知識や分析に、答え合わせの感覚が加わった。
だましを避けられる。勝率が跳ね上がる。
椅子に深くもたれ、天井を仰ぐ。
赤と緑の棒だったはずのものが、今は未来を示す羅針盤に見える。
(株、そしてFX。俺はまだ強くなれる。必ず資金を掴む。そして――誰も夢を諦めなくていい仕組みを作るんだ)
ベランダの外で、誰かが自転車のブレーキを鳴らした。
その音に紛れて、俺はひとり呟く。
「ここからだ」
キーボードのEnterを叩く。
画面に浮かぶチャートが、次の波を描き出していく。
―
※【 】内は今回上昇分
【現在のステータス(七月初め・FX取引後)】
・名前:佐久間 陽斗
・年齢:16
・身長:180.8cm
・体重:63.0kg/体脂肪率:9.0%
・筋力:27.0
・耐久:27.0
・知力:31.2
・魅力:41.2
・資産(現金):168,500円
・投資中:60,000円(評価額:160,000円/利益:+100,000円)
・総資産:328,500円
・SP:19【-4】
・スキル:25(展開可能)【+3】
・称号:注目の存在/ヒーロー/聖夜を共に/女子人気独占
・特別イベント:
水城遥(進行中/好感度:89/恋愛条件未達)
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