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公主の求めた者

4 シャイリーの行方 4

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(狐……)

 ひっきりなしに産まれたての子供を舐めて乾かしている母親を見て、シャイリーには初めてこれらの赤ん坊が子狐達であることがわかった。初めて見る子狐は小さくて柔らかそうで、そして産毛と思しき物は真っ白であった。

(みんな真っ白で綺麗ね…)

 母親を見れば、狐である事は間違いない。が、ここにいる狐の親子は夫であるトライトスの肩に乗せている毛皮の狐と同じ様に真っ白な種類である。

(白狐…)

 シャイリーが本や何かで見知っていたのは茶の狐だったが、バルビスに来てからは生きた狐を目にするのはこれが初めてだ。

(もう大分数が減ったと、殿下は話しておられたわね…)

 なのに元気そうに子供達まで産まれていて。きっとこの子達が大きくなれば、また狐の数を増やすことができるだろう。

(よろしかった事。絶えてなんかいなかったのですわ。)

 母狐は酷く献身的だ。正に出産を終えたばかりだろうと言うのに、一時も休まずに子狐達の世話をする。舐めて、乳を求める子達には乳をやり、冷たい氷の上でも寒くないように、しっかりと自分の足の上に抱え込んでいた。

(寒くはないのかしら?)

 どうしても、氷に閉ざされた環境下にはまだ慣れる事はないらしいシャイリーはこれが自然の法則だと言うのにも拘らず心配になってしまうのだ。
 巣穴だと思っていた洞穴はどうやら氷穴の様で、母狐も子狐達も巣穴である氷の上で今過ごしているのだから。母狐は毛足の長い毛深く温かな毛皮で覆われてはいるが、産まれたての赤子には厳しい環境なのは間違えないだろう。

(よしよし…皆元気ですね?沢山お乳を飲めて、こんなに幼いのに偉いわ…)

 全く寒さなど気にしないかの様に、母の腹に齧り付く子狐達は両足を踏ん張って元気に乳を飲んでいる。横で見ている分には微笑ましい光景でしかない。

 子狐達は逞しかった。冷たいだろう氷の上でも這いずり回り、寝そべり、互いに固まって寝付くのだ。1日1日と子狐達を見ているとその成長が素晴らしく速いのがよくわかる。数日経てば目耳は開き、すっかりと暖かそうな産毛も生え揃う。鳴き声にも力がこもり、皆元気に育っているのが良く分かった。










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