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結局、熱いシャワーを浴びた後楓矢は眠れなくなって朝を迎えた。
「………楓………」
朝一番に楓矢の顔色を見た蒼梧は言葉も出ない様子。
「ね?酷いでしょ!蒼梧からも言ってよ。」
双子のみそえさえも、もうお手上げとばかりに首を振ってる。
「んだよ…」
ただでさえ寝不足で怠いのに、これ以上厄介ごとには関わりたくない。
休め、嫌だ、休め、嫌だを繰り返し、学校まで着いた。
「楓……」
いつも飄々としている蒼梧がちょっと眉根を寄せてムッとしてて、本気で心配しているのがわかる。
「…………」
(分かっているけどさ、家にいたって眠れないんだ。どこにいても同じだろ?)
「おはよう?宝利君?」
靴を履き替えている時に、直ぐ頭上から声が聞こえる。山手がすぐ近くで声をかけて来ていた。挨拶を返そうと頭を上げて視界が真っ暗になった。
「あ…………」
と思った時には、完全にブラックアウト…俺は、気を失ったらしい。
「………ん……」
うなされそうになって、無理矢理に目を開ける。
「宝利君…!」
整った顔が間近にある。
「山手…君……?」
「そう。気分どう?君、倒れたんだよ?覚えてる?」
端正な顔を少し歪ませて、心配そうにしながら山手は楓矢の額に手をあてる。
「熱はないよね?」
コクリ…ただ肯く。風邪とかそんなんじゃない。
「またあんまり寝てないの?」
「………………」
額に置かれた大きな山手の手が非常に気持ちが良い。暖かいと言うか、安心する。
「……言いたくないのかも知れないけど、少し、うなされてたよ?」
「…………」
この所酷くなってる悪夢の内容。それはどんどん変化して、今では俺は紫の瞳の少女と同調したみたいになってる。
だから、怖い…………紫の瞳の少女は心からあの日本刀を持っていた護衛の剣士を思ってた。それが夢の中でひしひしと伝わってくる。
………貴方は、私…………
この言葉通り、今も少女の気持ちが手に取るようにわかってしまう。
辛かったのは、護衛の剣士の剣で自分が殺される事じゃなかった。醜い自分を見られるのが嫌で、自分の我儘で酷い仕打ちを恋人に押し付けてしまった後悔に苦しんでいる………今も……どれだけ、彼が苦しかったのかを考えたら、吐き気がするほど気持ち悪くなる。
「………っ……!」
「宝利君!大丈夫……!」
いきなりえぐついてしまった俺の背中を支えて、山手はゆっくりと背中を摩ってくれる。
気持ち悪いのと、心がぎゅうっと締まって苦しいのと、訳わからなくなりそうでジワっと涙さえ出て来そうになる。
「吐いてもいいよ?ここ、保健室だからね?先生呼ぶ?あ、桐谷君、呼ぼうか?」
登校した途端に倒れたのだから、もう授業は始まっているのだろう。
「……なん、で…山手、君…ここに…?」
あまり話すとえぐついて来るからゆっくり、胃を刺激しない様に小さく聞いた。
「宝利君、僕の前で倒れたんだよ。ぼくが君を受け止めたの。桐谷君も直ぐに駆けつけて来たけど、僕が抱き抱えちゃったから、そのまま保健室に…大丈夫?」
山手は何度も確認してくるんだ。その間ゆっくり背中を摩る手を止めなくて、優しくゆっくり摩ってくれる。
コク、と肯きだけで返事をする。話せば吐き気が込み上げるからまだ無理そう…
「ゆっくり…呼吸して…?ゆっくり…そのまま目を瞑って寝ちゃってもいいから。僕、後でお茶を買ってくる。落ち着いてから、ゆっくり話そう?」
(もしかして、山手は何かを聞いたのかもしれない。うなされてたって言ってたし……)
「夢を……見る……」
ゴロンと、仰向けになる。まだ落ち着いてはないけど、山手の手が気持ち良くて体制を変えるくらいには吐き気も治って来た。
「夢…?うなされてた事かな?」
コクリ……
「俺の目、紫色だろう…?」
時々、周りの人にジロジロ見られる事があるくらいには珍しい色。
「うん、凄く、綺麗だよね。僕の好きな色だ。」
「へぇ………」
「うん、凄く綺麗だよ。」
「うん………」
弱っているからか、なんだか山手の褒め言葉を素直に受け止める事ができた。
「その瞳に関する夢?」
「そうっちゃ、そう……」
「聞いても良いのかな?」
少し困惑した様な表情の山手。
(この間、なんでも無いような振りしたばっかりだしな…)
「夢だしな……」
「じゃあ……聞こうか?どんな?」
「聞いて、引くなよ?」
「大丈夫なんじゃ無いかな?夢でしょ?」
「紫の瞳の俺が……日本刀で、切られて、死んでいく夢………」
(そうだ……あの少女達は俺……自分から望んで、切ってくれって縋りついた………)
なんでか、ジワリと涙が溢れてくる。あれは夢で、あんな苦しい思いをした剣士もいなかったはずなのに……
けれど、ギリギリと痛む胸の痛みは治らなくて、やっと落ち着いた体調がまた一気に崩れていきそうで……
「いいよ、無理しない……宝利君はもう苦しまなくていい…それ、夢でしょ?だから大丈夫……大丈夫だから……」
山手の手がそっと目を覆う様にあてがわれる。それは押し付けがましくなくて、ただ安心感だけが手の温もりから伝わってきて、知らないうちに嗚咽を堪えながら山手の腕に縋り付いてた………
「………楓………」
朝一番に楓矢の顔色を見た蒼梧は言葉も出ない様子。
「ね?酷いでしょ!蒼梧からも言ってよ。」
双子のみそえさえも、もうお手上げとばかりに首を振ってる。
「んだよ…」
ただでさえ寝不足で怠いのに、これ以上厄介ごとには関わりたくない。
休め、嫌だ、休め、嫌だを繰り返し、学校まで着いた。
「楓……」
いつも飄々としている蒼梧がちょっと眉根を寄せてムッとしてて、本気で心配しているのがわかる。
「…………」
(分かっているけどさ、家にいたって眠れないんだ。どこにいても同じだろ?)
「おはよう?宝利君?」
靴を履き替えている時に、直ぐ頭上から声が聞こえる。山手がすぐ近くで声をかけて来ていた。挨拶を返そうと頭を上げて視界が真っ暗になった。
「あ…………」
と思った時には、完全にブラックアウト…俺は、気を失ったらしい。
「………ん……」
うなされそうになって、無理矢理に目を開ける。
「宝利君…!」
整った顔が間近にある。
「山手…君……?」
「そう。気分どう?君、倒れたんだよ?覚えてる?」
端正な顔を少し歪ませて、心配そうにしながら山手は楓矢の額に手をあてる。
「熱はないよね?」
コクリ…ただ肯く。風邪とかそんなんじゃない。
「またあんまり寝てないの?」
「………………」
額に置かれた大きな山手の手が非常に気持ちが良い。暖かいと言うか、安心する。
「……言いたくないのかも知れないけど、少し、うなされてたよ?」
「…………」
この所酷くなってる悪夢の内容。それはどんどん変化して、今では俺は紫の瞳の少女と同調したみたいになってる。
だから、怖い…………紫の瞳の少女は心からあの日本刀を持っていた護衛の剣士を思ってた。それが夢の中でひしひしと伝わってくる。
………貴方は、私…………
この言葉通り、今も少女の気持ちが手に取るようにわかってしまう。
辛かったのは、護衛の剣士の剣で自分が殺される事じゃなかった。醜い自分を見られるのが嫌で、自分の我儘で酷い仕打ちを恋人に押し付けてしまった後悔に苦しんでいる………今も……どれだけ、彼が苦しかったのかを考えたら、吐き気がするほど気持ち悪くなる。
「………っ……!」
「宝利君!大丈夫……!」
いきなりえぐついてしまった俺の背中を支えて、山手はゆっくりと背中を摩ってくれる。
気持ち悪いのと、心がぎゅうっと締まって苦しいのと、訳わからなくなりそうでジワっと涙さえ出て来そうになる。
「吐いてもいいよ?ここ、保健室だからね?先生呼ぶ?あ、桐谷君、呼ぼうか?」
登校した途端に倒れたのだから、もう授業は始まっているのだろう。
「……なん、で…山手、君…ここに…?」
あまり話すとえぐついて来るからゆっくり、胃を刺激しない様に小さく聞いた。
「宝利君、僕の前で倒れたんだよ。ぼくが君を受け止めたの。桐谷君も直ぐに駆けつけて来たけど、僕が抱き抱えちゃったから、そのまま保健室に…大丈夫?」
山手は何度も確認してくるんだ。その間ゆっくり背中を摩る手を止めなくて、優しくゆっくり摩ってくれる。
コク、と肯きだけで返事をする。話せば吐き気が込み上げるからまだ無理そう…
「ゆっくり…呼吸して…?ゆっくり…そのまま目を瞑って寝ちゃってもいいから。僕、後でお茶を買ってくる。落ち着いてから、ゆっくり話そう?」
(もしかして、山手は何かを聞いたのかもしれない。うなされてたって言ってたし……)
「夢を……見る……」
ゴロンと、仰向けになる。まだ落ち着いてはないけど、山手の手が気持ち良くて体制を変えるくらいには吐き気も治って来た。
「夢…?うなされてた事かな?」
コクリ……
「俺の目、紫色だろう…?」
時々、周りの人にジロジロ見られる事があるくらいには珍しい色。
「うん、凄く、綺麗だよね。僕の好きな色だ。」
「へぇ………」
「うん、凄く綺麗だよ。」
「うん………」
弱っているからか、なんだか山手の褒め言葉を素直に受け止める事ができた。
「その瞳に関する夢?」
「そうっちゃ、そう……」
「聞いても良いのかな?」
少し困惑した様な表情の山手。
(この間、なんでも無いような振りしたばっかりだしな…)
「夢だしな……」
「じゃあ……聞こうか?どんな?」
「聞いて、引くなよ?」
「大丈夫なんじゃ無いかな?夢でしょ?」
「紫の瞳の俺が……日本刀で、切られて、死んでいく夢………」
(そうだ……あの少女達は俺……自分から望んで、切ってくれって縋りついた………)
なんでか、ジワリと涙が溢れてくる。あれは夢で、あんな苦しい思いをした剣士もいなかったはずなのに……
けれど、ギリギリと痛む胸の痛みは治らなくて、やっと落ち着いた体調がまた一気に崩れていきそうで……
「いいよ、無理しない……宝利君はもう苦しまなくていい…それ、夢でしょ?だから大丈夫……大丈夫だから……」
山手の手がそっと目を覆う様にあてがわれる。それは押し付けがましくなくて、ただ安心感だけが手の温もりから伝わってきて、知らないうちに嗚咽を堪えながら山手の腕に縋り付いてた………
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