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「ここは?」
清浄の泉、とアールストは言っていたっけ?
神託の間はとても静かで自分達の声や衣擦れの音以外には水の流れるせせらぎの音しかしないのだ。
「清浄の泉と言います。汚れに侵された聖女様方が身を清めるところにございます。」
ああ…私、今ドロドロだもんね……?
「こちらは聖水と同じ聖女の力を込められたものです。ですのでいつもよりは早く落とせるかと。」
ルーチェリアについた浄化の汚れは、油汚れの様でもあり、何かの粘液の様でもあり…普通の入浴ではサッパリと落としきれない事が多い。なので浄化の後には特別な石鹸を使ってゆっくりと極丁寧に洗い上げなければいけなかった。
ここにはその様な洗面用具はない様だが、アールストはそれを承知でルーチェリアにそう告げたのだ。
「それは助かります!洗うのにも大変なんだもの…」
はっきり言って瘴気を浄化するよりもその後の自分の身体の洗体の方が面倒臭かったりするのだ。
「では、私は外で待っておりますので、ゆっくりとお入りくださいませ。」
「はい。ありがとう!」
ドロドロを直ぐに落とせるとはありがたい限りだ。グルリと密集した植物に囲まれていてプライベートも守れるし、泉の横には籠とタオルは置いてある。ルーチェリアは直ぐに全てを脱ぎ去ってゆっくりと泉の水で洗い始めた。
不思議な事に冷たい事を覚悟していた泉は人肌の様に温かく全く寒くもない。それにアールストが言っていた様に、ドロドロに泉の水をかけるだけですぅっと汚れが落ちて行く。
「わぁ……」
ヘドロの様な汚れは水に溶け込むと言うよりも、泉に落ちてゆっくりと円を描く様に泉の底へ沈んで行く…その様がなんとも不思議でしばし見入ってしまう。
「ルーチェリア様?お支度は終わりましたか?」
しばらく経ったろうか。外に控えていたアールストが声をかけてくる。
あ、やっぱりこうなるよね……
タオルの下にはお約束の様に聖女の衣が鎮座していて…ここには他に着る物もないしルーチェリアは必然的に聖女の衣を着ることになった。
清浄の泉、とアールストは言っていたっけ?
神託の間はとても静かで自分達の声や衣擦れの音以外には水の流れるせせらぎの音しかしないのだ。
「清浄の泉と言います。汚れに侵された聖女様方が身を清めるところにございます。」
ああ…私、今ドロドロだもんね……?
「こちらは聖水と同じ聖女の力を込められたものです。ですのでいつもよりは早く落とせるかと。」
ルーチェリアについた浄化の汚れは、油汚れの様でもあり、何かの粘液の様でもあり…普通の入浴ではサッパリと落としきれない事が多い。なので浄化の後には特別な石鹸を使ってゆっくりと極丁寧に洗い上げなければいけなかった。
ここにはその様な洗面用具はない様だが、アールストはそれを承知でルーチェリアにそう告げたのだ。
「それは助かります!洗うのにも大変なんだもの…」
はっきり言って瘴気を浄化するよりもその後の自分の身体の洗体の方が面倒臭かったりするのだ。
「では、私は外で待っておりますので、ゆっくりとお入りくださいませ。」
「はい。ありがとう!」
ドロドロを直ぐに落とせるとはありがたい限りだ。グルリと密集した植物に囲まれていてプライベートも守れるし、泉の横には籠とタオルは置いてある。ルーチェリアは直ぐに全てを脱ぎ去ってゆっくりと泉の水で洗い始めた。
不思議な事に冷たい事を覚悟していた泉は人肌の様に温かく全く寒くもない。それにアールストが言っていた様に、ドロドロに泉の水をかけるだけですぅっと汚れが落ちて行く。
「わぁ……」
ヘドロの様な汚れは水に溶け込むと言うよりも、泉に落ちてゆっくりと円を描く様に泉の底へ沈んで行く…その様がなんとも不思議でしばし見入ってしまう。
「ルーチェリア様?お支度は終わりましたか?」
しばらく経ったろうか。外に控えていたアールストが声をかけてくる。
あ、やっぱりこうなるよね……
タオルの下にはお約束の様に聖女の衣が鎮座していて…ここには他に着る物もないしルーチェリアは必然的に聖女の衣を着ることになった。
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