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「良く、お似合いですよ。」

 アールストは満面の笑顔である。清浄の泉からルーチェリアが出てくるのを待ち構えていたアールストに、またもやエスコートされながら先程来た道を戻って行く。神託の間では聖女ヒリアとレストール神官長が待っていてくれているだろう。

「歩いてらっしゃるわ…」

「お身体は…大丈夫なのかしら?」

「どこもお悪くはないの?」

「……?」

 来た時に聞いた聖女達の声がする。

「アールスト、ご挨拶した方がいいの?」

「それは後程にいたしましょう。まだここにおられる聖女様方は仕事中ですので。」

「そう…?」

 なんとなく興味本位以上の関心を向けられていると思うのだが、この場は勝手知ったるアールストに従うべきだろう。

「只今もどりました。」


 出て行く時はドロドロの花柄ワンピースで、帰る時は聖女の衣…なんだか照れ臭い……


「お戻りですか?……よく、お似合いですよ?」

 レストール神官長は美しい瞳を細めて嬉しそうに微笑む。その側には聖女ヒリアが座っていて、何故だがこちらは泣いていた…!

「ど、どうされました?」


 何かいけなかっただろうか?そう言えば人に対して力を使ったのは初めてだった様な気もする。もしや、何か副作用でも……?
 ルーチェリアはさぁ…と自分が青くなるのがわかった。

「違うのです…!違うのです、聖女ルーチェリア様…」

 首を振りながら聖女ヒリアはホロホロと涙をこぼす。

「痛みが、どれ程清浄の泉で清めても取れなかった痛みが…やっと、楽になれましたわ…」

 聖女ヒリアは瘴気の靄が出ていた左脚を摩りながらニッコリと微笑んでくれる。その脚からは瘴気は感じず、黒い痣も無くなっていた。

「痛みがあったのですか?」

「そうなのです。瘴気に侵されてからというもの、この足を蝕む痛みがどうしても取れず、清浄の泉から離れられなかったのですわ。これで、また瘴気を浄化しに行く事が出来ます。」

「無理はいけません。聖女ヒリア様。痛みは取れたと言ってもまだ脚が動かないのでしょう?」

「構いませんわ、フリヤー。私の脚の変わりは私の騎士が努めます。」

「聖女ヒリア様……」

「お見苦しいところをお見せしました。聖女ルーチェリア様。私の故郷は私が幼い時に瘴気に飲み込まれて滅びてしまったのです。ですから聖女の浄化の力がどれほどこの世に必要か身に染みております。なので、いくら治療のためと言っても神託の間にいつまでも留まる事が心苦しかったのです。これでまた、助ける事ができます!」






 
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