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第4章 迷宮探索(ダンジョン・アタック)
第18話 新しい装備
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「装備は何処で買うんですか?」
ヴァルたちの後について冒険者組合の建物を出たロウドは聞いた。
ここに来るまでに見た大通りには何軒もの武器屋・防具屋の他、装備一式を売ってる武具屋などがあり、何処で買えばいいのか、皆目見当がつかないのだ。
「ボンタック商店に行く」
ヴァルの返答に首を傾げるロウド。
「ボンタック商店?」
「ボンタック商店って言うのは、冒険者組合公認の総合商店よ。武器に防具、道具、携帯食糧など、冒険に必要な物なら何でも売ってる、冒険者向けの雑貨屋、かな。迷宮で見つけた物の鑑定や買い取りなんかもやってくれるのよ」
説明する気のない男連中に代わって、ミスティファーが説明をしてくれた。
この町には多くの武器屋・防具屋があるが、それは大抵、職人組合の傘下にある鍛冶屋と契約し、それの作った武具を売っている商店である。
しかしボンタック商店は、契約している鍛冶屋の武具を売るのみならず、冒険に必要な道具類・携帯食糧なども取り扱い、なおかつ迷宮の戦利品の買い取りなども行い、その便利さから冒険者に重宝され、開業して六年ほどであるが急成長を遂げた店だ。
冒険者組合からも二年前に御墨付きを貰い、晴れて公認の商店となった。
まあ、その覇道の背後には、競争に敗れ潰れた個人商店の怨嗟の声が谺しているが。
中央広場から北へと向かい、北門の前までやって来る一行。
西門とは違って厳重に閉められている北門。守っている衛兵も西門の砕けた態度の衛兵とは打って変わってピリピリしている。
北門の外には〈底無しの迷宮〉の入口があるのだから、当然と言えば当然であるが。
目的の店、ボンタック商店はその北門のすぐ傍にあった。
四階建ての大きな店で、大きく開かれた入口の上に〈ボンタック商店〉と書かれた看板がある。
勝手知ったるなんとやらで無造作に入口に入っていくヴァルたち。
ロウドは、こう言った武器や防具の店に入るのは初めてであり、緊張しているのを深呼吸をして鎮めながら入っていった。
「わ~!」
感嘆の声が漏れる。
一階は防具のコーナーらしく、鎧や盾などが所狭しと飾られていた。
まるで子供のように目を輝かせて辺りを見回すロウドの視界に、とんでもない代物が入ってきた。
〈竜鱗の鎧〉
そう書かれた木札の付いた台の上に置かれたソレは、白銀に輝く鱗状鎧だった。
「ド、竜鱗の鎧?!」
興奮して駆け寄り、木札の下の説明書きを読むロウド。
「えっと……白銀竜の鱗を使った至高の逸品! 凄い! ね、値段は……」
上擦った声を上げながら、説明書きの下に書いてある値段を確認するロウド。
「は、白金貨一枚! 全然、手が出ない!」
悲鳴に近い声を上げるロウド。
グレタの戦いでの報奨金は多かった方だが金貨二十枚。
白金貨は金貨百枚に当たるので、手持ちの五倍の値段である。
しょげるロウドに、足元も立てずにススーッと店員が寄ってきた。
軽薄そうな顔の茶髪アフロの店員は、
「おや、それに目を付けるとは。いい目してるよ、坊や。買うのかい?」
とロウドにすり寄り、圧を掛ける。
「いえ、気になったんですが、手持ちが……」
「今、幾らあんの? 金貨二十枚か。じゃあ、ソレを頭金にして分割払いってのは、どうだい?」
何とかして竜鱗の鎧をロウドに買わせようとする店員。
おそらく、あまりの値段に誰も手が出ずに飾り物と化しているので、初めて見るいかにもボンボンといったロウドに押しつけようとしているのだろう。
押してくる店員にロウドがしどろもどろでいると、
「レイザー! なに、ウチの新人に絡んでんだよ!」
と、ヴァルが割り込んで助けに入った。
「え? なに、この坊や〈自由なる翼〉の新人なの?」
レイザーと呼ばれた茶髪店員は、ヴァルとロウドを交互に見る。
「そうだよ。コイツの装備、整えに来たんだから、怪しげなモン薦めんじゃねえよ!」
そう言ってロウドの肩を押して奥に連れて行こうとするヴァルに、レイザーは明らかにウソだと分かる悲しそうな表情を浮かべて言った。
「怪しげなモンって何だよ。心外だなあ、ボンタック商店はきちんとした物しか売ってないぜ。ヴァル」
「竜鱗の鎧なんてホラ吹いて、なに言ってんだよ」
「だ~か~ら~、見てみろって。アンタだったら分かるはずだぜ」
店員レイザーがあまりにも自信満々に言うので、眉をひそめながら白銀の鱗状鎧を見定めるロウド。
「! 確かに全部じゃなくて少しだけど竜の鱗を使ってる! それ以外は、真銀の鱗片なのか」
そう、この鱗状鎧は、硬革鎧の上に、白銀竜の鱗を少々と、それに似せた真銀の鱗片を重ねて止めた物なのである。
「ほう……重さは……」
ロウドそっちのけで竜鱗の鎧に夢中になり、手に持って重さなどを確認するヴァル。
してやったりとニマニマ笑うレイザー。
ロウドは、脇でヴァルの変わり身について行けずにオロオロしていた。
「いい仕事してんな、これ。誰の作だ?」
製作者を聞くヴァルに、レイザーは当たり前のように言った。
「ウチのお抱えの鎧職人と言ったら、ダットンに決まってんだろ。東のルキアン王国から流れてきた竜の鱗を使って、これ作ったんだよ」
「ダットンの爺さんか、成る程ね」
ダットンとは、ボンタック商店と契約している鎧職人である。
王都の方で、騎士や貴族用の鎧を作っていたのだが、見てくれだけを求められるのに嫌気が差して、マッセウに流れてきたのだ。
その経緯から分かるとおり、作る鎧は質実剛健・性能重視であり、虚仮威しの外見は一切無い。
この竜鱗の鎧も、真銀を使っているが故の優美さはあれ、無駄は見られない。
「よし! これ買った!」
子供のように朗らかにヴァルは言った。
機動性を重視して硬革鎧を着ていたのだが、強い敵と戦うことが多くなり、攻撃を食らったら大きなダメージが食らうのは確実になってきたので、防御力のアップはかねてからの懸案事項だったのだ。
この鱗状鎧なら、そんなに機動性を損ねることなく防御力を今よりもアップできるので、渡りに船だ。
「毎度あり~! お代は白金貨一枚だ!」
今までの胡散臭い笑みがウソのような晴れやかな笑顔のレイザー。
腰に下げた小袋から白金貨を一枚出し、レイザーに向けてピンと親指で弾くヴァル。
ソレをキャッチして、
「じゃあ、細かい調整すっから来てくれ」
と言って、奥の方へと向かうレイザー。
武器ならいいかもしれないが、鎧は売っている物をそのまま使えるわけではない。各人の体格に合うように細かな調整をしなくてはならないのだ。
「ヴァル、ロウドくん! 何処にいるの?」
ミスティファーの声が近付いてくる。
しばらくすると、飾られた防具の陰から、青銀の髪がひょこっと見えた。
「あ、こんなとこにいた。なに、やってんの?」
姿を現したミスティファーが三人に聞く。
「鎧を買った。以上」
ヴァルの言葉に、
「貴方の? ロウドくんの?」
と、眉をピクンとひくつかせながら聞く。
「俺のだよ。前から言われてた防御力アップのために、これ買った」
そう言って竜鱗の鎧を見せるヴァル。
白銀に輝く鱗状鎧をマジマジと見て、
「硬革鎧が下地の真銀の鱗状鎧か。いいんじゃない?」
と高評価を下した後、
「てことは貴方はこれから鎧の微調整よね。じゃ、ロウドくんだけ来て」
と、ロウドに顔を向けて言うミスティファー。
「僕……ですか?」
「そ、君に合いそうな鎧あったの。ちょっと来て」
ミスティファーはロウドの手を握り、奥の方へと引っ張っていく。
女性と手を握ったことなど、死んだ母や古参メイド相手のしかないロウドは、ミスティファーの手の柔らかさにドギマギしながら、引っ張られるまま奥の方へと向かう。
案内されるままに奥へとやって来たロウドの目に入ったのは、板金鎧であった。
白銀に輝く鎖帷子と黒い板金で構成されている。
「この鎧は……?」
「儂の自信作。真銀の鎖帷子を真重鉄の板金で補強した板金鎧じゃ」
黒い板金鎧を見て、呟いたロウドに答えたのは、鎧の傍に立つ老人だった。
白い髭を胸の辺りまで伸ばしており、老人ながらもその体は頑健その物。
特に腕の筋肉は、新米戦士など顔負けである。
「おい、ミスティファー。この坊主か? この鎧を着せたいってのは?」
ミスティファーとは既知らしい老人は、ロウドを上から下までじろじろ見ながら言った。
「なんか、頼りねえ坊主だな。いい目はしてるとは思うが」
辛辣な評価である。まあ、それでも少しは認めてくれているのか。
「ダットンさん、最初から強い奴なんていないわよ。ソレは私よりもダットンさんの方が分かってると思うけど」
ミスティファーが老人、鎧職人のダットンを軽く睨んだ。
ダットンは苦笑しながら頭を搔き、
「ま、お前さんの言うとおりじゃの。しかし、この坊主に鎧の代金払えるのか? どう見ても、冒険者に成り立てじゃろ?」
と、ロウドを横目で見ながら言った。
恐る恐る聞くロウド。
「あの~、この鎧の代金って……」
「白金貨三枚じゃ」
ダットン爺さんの言葉を聞いて、
『む、無理! 絶対無理!』
心の中で叫んで、しゃがみ込みそうになる。
さっきの竜鱗の鎧白金貨一枚だけでも絶望的だったのに、今度は白金貨三枚と来た。
「白金貨三枚? いくら真銀と真重鉄使ってるからって、ちょっと高過ぎない?」
ミスティファーが眉をひそめて言うと、ダットンは反論する。
「まあの、本来なら二枚ってとこなんじゃが、これには軽量化の呪紋が彫ってあるんじゃよ」
呪紋。それは呪的な図形のことである。
その図形のみで、術と同じような呪的な効果を発揮する。
素人目には簡単そうに見えるが、線の太さとか角度とかが厳密に決まっているため、修得は難しいとされる。
「わざわざ隣国のファナンシュから、あの当代一の呪紋師レナンを呼んで彫って貰ったんじゃからの。高くつくのは当然じゃて。その代わり効果は抜群、真重鉄を使っているにも関わらず、普通の板金鎧より軽いぞ」
真重鉄。それは、鋼よりも硬く重たいため、装甲に適しているとされている希少金属である。
しかし、魔力との親和性は低く、術を掛けるには適さないため、呪紋を直に彫って軽量化を図ったのだろう。
対して真銀は、魔力との親和性は抜群であり軽いが、硬度は真重鉄には劣る。
なので、先の竜鱗の鎧のように機動性を重視する防具や武器などの素材とされる希少金属だ。
「ふ~ん、成る程。それなら納得。じゃあ買うわ、これ」
ダットンの説明を聞いて納得したミスティファーは、そう言って腰の小袋から白金貨を取り出した。
「ほ? お前さんが立て替えるのか?」
「ええ」
ロウドは慌てた。白金貨三枚などという大金を用立てて貰う訳にはいかない。
「ミスティファーさん! こんな高額の物、僕にはまだ早いです! 普通に買える鎧でいいです!」
白金貨三枚をダットンに払おうとするミスティファーを止める。
が、ミスティファーもそんなに甘いわけではない。
「あのね、ロウドくん。勘違いしないでね。これは私にも利があるの」
「利?」
「そう。ウチのあんぽんたんな頭目は、真っ先に突っ込んでくのよ。私たち後衛のことなど全く気にしないでね。だから、誰かが中衛に立って敵を防いでくれると有り難いのよねぇ」
決して純粋な善意から立て替えようとしたわけではない。
ロウドの防備を固めさせ、文字通りの後衛の盾にする気なのだ。
「白金貨三枚分、私たち守ってね? ロウドくん」
大輪の花のような笑顔を浮かべて、首をコテッと傾げるミスティファー。
本来ならば、その笑顔にときめくはずが、今この時のロウドの背には寒気が走っていた。
『こ、怖い』
一番優しいと思っていたミスティファーだが、認識を改めた方が良さそうだ。
「この坊主を盾にする気か。まあ、パーティ内でどういう役割分担をするかは儂には関係ないからの。で、他にはいるもんあるのか?」
ダットンがパーティごとのやり方には口を出さんと己が立場を表明し、他に欲しいものは、と聞いてくる。
「あ、はい。兜はあるので、盾が欲しいです」
ロウドがミスティファーから目を逸らしつつ言うと、ダットンは陳列してある盾を物色し始めた。
「お前さんに持てそうな盾というと……前は何を使ってた?」
「凧型盾です」
ロウドの返事を聞いて、ダットンが取り出したのは、白銀に輝く凧型盾だった。
「あの~、もしかして、これって……」
「お前さんの考えてる通り、真銀製じゃ。値段は金貨五十枚」
またも手の届かない金額である。
断ろうとすると、横からミスティファーが、
「それも貰うわ」
と言ってきた。
泣きそうな目でミスティファーを見るロウドに、ダットンがトドメを刺す。
「後ろのメンツの盾になる以上は、徹底的に守りを固めるしかないじゃろ。となると、兜だけ普通というのもアレじゃから、ほれ」
と言って、白銀の兜を放ってくる。
それは奇しくも、元々被っていた兜と同じ兜であった。
まあ、グレイズ王国軍の一般兵士用に正式採用されている兜がバルビュータなだけなのだが。
「この真銀の兜、幾らなんですか?」
「そうじゃのう……まあ、金貨三十枚といったところかの」
兜ぐらいは自分の金で買おうとしたロウドであったが、あえなく希望は潰えた。
にこやかに笑みを浮かべ、
「じゃ、それも買うわ。ロウドくん、白金貨三枚に金貨八十枚分、頑張ってね」
と、ミスティファーが代金を支払いながらロウドに言った。
引き攣った笑みを顔に無理矢理浮かべ、
「はい、頑張ります」
と言うしかないロウド。
『ヴァルさんが、ミスティファーさんのことを怖がる理由が分かった気がする』
決して口に出さず、心の中でそう思うロウドだった。
ちなみにその様子を、竜鱗の鎧の調整を終えたヴァルが痛ましげに物陰から見ていた。
黒い板金鎧の調整を終え、白々しく出てきたヴァルと合流して、二階へと向かうロウド。
黒い板金鎧は確かに軽かった。
ダットンの言うとおり前着ていた普通の板金鎧よりも軽く、スムーズに動く事ができた。
「どうだ? ソイツの具合は?」
自分も買ったばかりの竜鱗の鎧の具合を確かめながら、ヴァルがロウドに聞いた。
かなり急な階段を登りながらロウドは答える。
「はい! 凄くいいです! 前の奴だったら、こんなにスイスイと階段登れなかった」
防具一式の値段のことを努めて忘れようと、明るく答えるロウド。
「そうか、ならいい」
ヴァルも空元気には気付いていたが敢えて突っ込まなかった。
二階は武器の階だ。
一階でもそうだったが、種々雑多な武器の数々に圧倒されるロウド。
「片手用の剣でいいのがないか、見ていくか」
「はい!」
剣のコーナーに入り、並んでいる品を見ていく。
両手用の大剣の類いはすっ飛ばして、片手用の剣の数々を眺めるロウド。
アレルヤ地方で普通に使われている両刃の直剣いわゆる長剣、ヴァルの父親の故郷リュカンナ地方で使われている反り身の片刃の新月刀、大きく湾曲した刀身の内側に刃が付いた奇妙な刀の湾曲刀等々。
と、そんな風にワクワクしながら見ていると、奇妙な物がロウドの視界に入る。
台の上に置かれた剣である。
刀身が片手用の長剣より心持ち長く、柄も半端な長さであることから片手半剣なのだろう。
鞘は黒い鋼に見事な金銀の象嵌細工が施され、柄頭には青い宝玉がはめ込まれていて、さぞかし名のある職人が手掛けた物だろうと推察された。
これが『奇妙な』と表現される理由は、鎖でグルグル巻きにされているのだ。抜くことができないように。
「なんだ、こりゃ?」
「鎖でグルグル巻きね、何なのかしら」
ロウドに続いて、ソレを見つけたヴァルとミスティファー。
「何なんでしょう、抜けないようにグルグル巻きにしてあるなんて」
ロウドの疑問に、
「呪いの掛かった魔剣とか?」
「馬鹿。そんな物、店に置いとくわけないでしょ。まあ、曰く付きなのは間違いないけど」
各々答えるヴァルとミスティファー。
ちなみに、この世界では魔力の篭もった魔剣はマナ・ソードと呼ばれる。
あーでもない、こーでもない、と三人が言っていると、後ろから声が掛かった。
「気になるか、ソレ?」
ロウドが振り向くとそこにいたのは、中年太りの腹、生え際の後退の目立つ灰色の髪、人の良さそうな福々しい顔 (目は笑ってない)といった風体の中年親父だった。
店主のボンタックだ。
「ボンタック、これ何?」
ヴァルが率直に聞く。
「迷宮の戦利品の魔剣だが?」
「いや、何で鎖で巻いてあるのかを聞いてんだよ。ヤバいもんなのか?」
ヴァルの問いに答えるボンタック。
「んにゃ、呪いの類いは掛かっとらんよ。ただ、ちょっとな……」
歯切れの悪い、その返答に眉をひそめるヴァル。
「これ、誰が売りに来たの?」
いつの間にかやって来たコーンズとイスカリオスのうち、コーンズが横から口を挟む。
「〈鋼の怒り〉の連中だよ」
「ナウマウんとこか。あそこなら剣使うのいねえから納得」
〈鋼の怒り〉とは、ドワーフの女戦士ナウマウが率いるドワーフのみで構成されたパーティだ。
〈自由なる翼〉と並ぶ力量で、銀等級昇格寸前である。
ドワーフなので当然、その武器は戦斧や戦鎚であり、魔剣など無用の長物。
「ナウマウが言うには、切れ味はそこそこいいらしい。が、問題はそこじゃない。まあ、気になるなら抜いてみな」
ボンタックがそう言うと、ロウドが足を踏み出し、曰く付きの魔剣を手に取った。
それを見て、非難めいた口調になるボンタック。
「おい、新人にやらせんのか?」
それに対して、ヴァルが答える。
「俺らの中で剣を使うのはいないって、アンタも知ってんだろ? 新顔のアイツだけなんだよ、剣を武器にしてんのは」
皆が見守る中、鎖をほどき、左手で鞘を持ち、右手で柄を持つロウド。
深呼吸して緊張をほぐし、意を決して鞘から抜く。
「やっと抜きおったか」
魔剣が喋った。
新しい装備 終了
ヴァルたちの後について冒険者組合の建物を出たロウドは聞いた。
ここに来るまでに見た大通りには何軒もの武器屋・防具屋の他、装備一式を売ってる武具屋などがあり、何処で買えばいいのか、皆目見当がつかないのだ。
「ボンタック商店に行く」
ヴァルの返答に首を傾げるロウド。
「ボンタック商店?」
「ボンタック商店って言うのは、冒険者組合公認の総合商店よ。武器に防具、道具、携帯食糧など、冒険に必要な物なら何でも売ってる、冒険者向けの雑貨屋、かな。迷宮で見つけた物の鑑定や買い取りなんかもやってくれるのよ」
説明する気のない男連中に代わって、ミスティファーが説明をしてくれた。
この町には多くの武器屋・防具屋があるが、それは大抵、職人組合の傘下にある鍛冶屋と契約し、それの作った武具を売っている商店である。
しかしボンタック商店は、契約している鍛冶屋の武具を売るのみならず、冒険に必要な道具類・携帯食糧なども取り扱い、なおかつ迷宮の戦利品の買い取りなども行い、その便利さから冒険者に重宝され、開業して六年ほどであるが急成長を遂げた店だ。
冒険者組合からも二年前に御墨付きを貰い、晴れて公認の商店となった。
まあ、その覇道の背後には、競争に敗れ潰れた個人商店の怨嗟の声が谺しているが。
中央広場から北へと向かい、北門の前までやって来る一行。
西門とは違って厳重に閉められている北門。守っている衛兵も西門の砕けた態度の衛兵とは打って変わってピリピリしている。
北門の外には〈底無しの迷宮〉の入口があるのだから、当然と言えば当然であるが。
目的の店、ボンタック商店はその北門のすぐ傍にあった。
四階建ての大きな店で、大きく開かれた入口の上に〈ボンタック商店〉と書かれた看板がある。
勝手知ったるなんとやらで無造作に入口に入っていくヴァルたち。
ロウドは、こう言った武器や防具の店に入るのは初めてであり、緊張しているのを深呼吸をして鎮めながら入っていった。
「わ~!」
感嘆の声が漏れる。
一階は防具のコーナーらしく、鎧や盾などが所狭しと飾られていた。
まるで子供のように目を輝かせて辺りを見回すロウドの視界に、とんでもない代物が入ってきた。
〈竜鱗の鎧〉
そう書かれた木札の付いた台の上に置かれたソレは、白銀に輝く鱗状鎧だった。
「ド、竜鱗の鎧?!」
興奮して駆け寄り、木札の下の説明書きを読むロウド。
「えっと……白銀竜の鱗を使った至高の逸品! 凄い! ね、値段は……」
上擦った声を上げながら、説明書きの下に書いてある値段を確認するロウド。
「は、白金貨一枚! 全然、手が出ない!」
悲鳴に近い声を上げるロウド。
グレタの戦いでの報奨金は多かった方だが金貨二十枚。
白金貨は金貨百枚に当たるので、手持ちの五倍の値段である。
しょげるロウドに、足元も立てずにススーッと店員が寄ってきた。
軽薄そうな顔の茶髪アフロの店員は、
「おや、それに目を付けるとは。いい目してるよ、坊や。買うのかい?」
とロウドにすり寄り、圧を掛ける。
「いえ、気になったんですが、手持ちが……」
「今、幾らあんの? 金貨二十枚か。じゃあ、ソレを頭金にして分割払いってのは、どうだい?」
何とかして竜鱗の鎧をロウドに買わせようとする店員。
おそらく、あまりの値段に誰も手が出ずに飾り物と化しているので、初めて見るいかにもボンボンといったロウドに押しつけようとしているのだろう。
押してくる店員にロウドがしどろもどろでいると、
「レイザー! なに、ウチの新人に絡んでんだよ!」
と、ヴァルが割り込んで助けに入った。
「え? なに、この坊や〈自由なる翼〉の新人なの?」
レイザーと呼ばれた茶髪店員は、ヴァルとロウドを交互に見る。
「そうだよ。コイツの装備、整えに来たんだから、怪しげなモン薦めんじゃねえよ!」
そう言ってロウドの肩を押して奥に連れて行こうとするヴァルに、レイザーは明らかにウソだと分かる悲しそうな表情を浮かべて言った。
「怪しげなモンって何だよ。心外だなあ、ボンタック商店はきちんとした物しか売ってないぜ。ヴァル」
「竜鱗の鎧なんてホラ吹いて、なに言ってんだよ」
「だ~か~ら~、見てみろって。アンタだったら分かるはずだぜ」
店員レイザーがあまりにも自信満々に言うので、眉をひそめながら白銀の鱗状鎧を見定めるロウド。
「! 確かに全部じゃなくて少しだけど竜の鱗を使ってる! それ以外は、真銀の鱗片なのか」
そう、この鱗状鎧は、硬革鎧の上に、白銀竜の鱗を少々と、それに似せた真銀の鱗片を重ねて止めた物なのである。
「ほう……重さは……」
ロウドそっちのけで竜鱗の鎧に夢中になり、手に持って重さなどを確認するヴァル。
してやったりとニマニマ笑うレイザー。
ロウドは、脇でヴァルの変わり身について行けずにオロオロしていた。
「いい仕事してんな、これ。誰の作だ?」
製作者を聞くヴァルに、レイザーは当たり前のように言った。
「ウチのお抱えの鎧職人と言ったら、ダットンに決まってんだろ。東のルキアン王国から流れてきた竜の鱗を使って、これ作ったんだよ」
「ダットンの爺さんか、成る程ね」
ダットンとは、ボンタック商店と契約している鎧職人である。
王都の方で、騎士や貴族用の鎧を作っていたのだが、見てくれだけを求められるのに嫌気が差して、マッセウに流れてきたのだ。
その経緯から分かるとおり、作る鎧は質実剛健・性能重視であり、虚仮威しの外見は一切無い。
この竜鱗の鎧も、真銀を使っているが故の優美さはあれ、無駄は見られない。
「よし! これ買った!」
子供のように朗らかにヴァルは言った。
機動性を重視して硬革鎧を着ていたのだが、強い敵と戦うことが多くなり、攻撃を食らったら大きなダメージが食らうのは確実になってきたので、防御力のアップはかねてからの懸案事項だったのだ。
この鱗状鎧なら、そんなに機動性を損ねることなく防御力を今よりもアップできるので、渡りに船だ。
「毎度あり~! お代は白金貨一枚だ!」
今までの胡散臭い笑みがウソのような晴れやかな笑顔のレイザー。
腰に下げた小袋から白金貨を一枚出し、レイザーに向けてピンと親指で弾くヴァル。
ソレをキャッチして、
「じゃあ、細かい調整すっから来てくれ」
と言って、奥の方へと向かうレイザー。
武器ならいいかもしれないが、鎧は売っている物をそのまま使えるわけではない。各人の体格に合うように細かな調整をしなくてはならないのだ。
「ヴァル、ロウドくん! 何処にいるの?」
ミスティファーの声が近付いてくる。
しばらくすると、飾られた防具の陰から、青銀の髪がひょこっと見えた。
「あ、こんなとこにいた。なに、やってんの?」
姿を現したミスティファーが三人に聞く。
「鎧を買った。以上」
ヴァルの言葉に、
「貴方の? ロウドくんの?」
と、眉をピクンとひくつかせながら聞く。
「俺のだよ。前から言われてた防御力アップのために、これ買った」
そう言って竜鱗の鎧を見せるヴァル。
白銀に輝く鱗状鎧をマジマジと見て、
「硬革鎧が下地の真銀の鱗状鎧か。いいんじゃない?」
と高評価を下した後、
「てことは貴方はこれから鎧の微調整よね。じゃ、ロウドくんだけ来て」
と、ロウドに顔を向けて言うミスティファー。
「僕……ですか?」
「そ、君に合いそうな鎧あったの。ちょっと来て」
ミスティファーはロウドの手を握り、奥の方へと引っ張っていく。
女性と手を握ったことなど、死んだ母や古参メイド相手のしかないロウドは、ミスティファーの手の柔らかさにドギマギしながら、引っ張られるまま奥の方へと向かう。
案内されるままに奥へとやって来たロウドの目に入ったのは、板金鎧であった。
白銀に輝く鎖帷子と黒い板金で構成されている。
「この鎧は……?」
「儂の自信作。真銀の鎖帷子を真重鉄の板金で補強した板金鎧じゃ」
黒い板金鎧を見て、呟いたロウドに答えたのは、鎧の傍に立つ老人だった。
白い髭を胸の辺りまで伸ばしており、老人ながらもその体は頑健その物。
特に腕の筋肉は、新米戦士など顔負けである。
「おい、ミスティファー。この坊主か? この鎧を着せたいってのは?」
ミスティファーとは既知らしい老人は、ロウドを上から下までじろじろ見ながら言った。
「なんか、頼りねえ坊主だな。いい目はしてるとは思うが」
辛辣な評価である。まあ、それでも少しは認めてくれているのか。
「ダットンさん、最初から強い奴なんていないわよ。ソレは私よりもダットンさんの方が分かってると思うけど」
ミスティファーが老人、鎧職人のダットンを軽く睨んだ。
ダットンは苦笑しながら頭を搔き、
「ま、お前さんの言うとおりじゃの。しかし、この坊主に鎧の代金払えるのか? どう見ても、冒険者に成り立てじゃろ?」
と、ロウドを横目で見ながら言った。
恐る恐る聞くロウド。
「あの~、この鎧の代金って……」
「白金貨三枚じゃ」
ダットン爺さんの言葉を聞いて、
『む、無理! 絶対無理!』
心の中で叫んで、しゃがみ込みそうになる。
さっきの竜鱗の鎧白金貨一枚だけでも絶望的だったのに、今度は白金貨三枚と来た。
「白金貨三枚? いくら真銀と真重鉄使ってるからって、ちょっと高過ぎない?」
ミスティファーが眉をひそめて言うと、ダットンは反論する。
「まあの、本来なら二枚ってとこなんじゃが、これには軽量化の呪紋が彫ってあるんじゃよ」
呪紋。それは呪的な図形のことである。
その図形のみで、術と同じような呪的な効果を発揮する。
素人目には簡単そうに見えるが、線の太さとか角度とかが厳密に決まっているため、修得は難しいとされる。
「わざわざ隣国のファナンシュから、あの当代一の呪紋師レナンを呼んで彫って貰ったんじゃからの。高くつくのは当然じゃて。その代わり効果は抜群、真重鉄を使っているにも関わらず、普通の板金鎧より軽いぞ」
真重鉄。それは、鋼よりも硬く重たいため、装甲に適しているとされている希少金属である。
しかし、魔力との親和性は低く、術を掛けるには適さないため、呪紋を直に彫って軽量化を図ったのだろう。
対して真銀は、魔力との親和性は抜群であり軽いが、硬度は真重鉄には劣る。
なので、先の竜鱗の鎧のように機動性を重視する防具や武器などの素材とされる希少金属だ。
「ふ~ん、成る程。それなら納得。じゃあ買うわ、これ」
ダットンの説明を聞いて納得したミスティファーは、そう言って腰の小袋から白金貨を取り出した。
「ほ? お前さんが立て替えるのか?」
「ええ」
ロウドは慌てた。白金貨三枚などという大金を用立てて貰う訳にはいかない。
「ミスティファーさん! こんな高額の物、僕にはまだ早いです! 普通に買える鎧でいいです!」
白金貨三枚をダットンに払おうとするミスティファーを止める。
が、ミスティファーもそんなに甘いわけではない。
「あのね、ロウドくん。勘違いしないでね。これは私にも利があるの」
「利?」
「そう。ウチのあんぽんたんな頭目は、真っ先に突っ込んでくのよ。私たち後衛のことなど全く気にしないでね。だから、誰かが中衛に立って敵を防いでくれると有り難いのよねぇ」
決して純粋な善意から立て替えようとしたわけではない。
ロウドの防備を固めさせ、文字通りの後衛の盾にする気なのだ。
「白金貨三枚分、私たち守ってね? ロウドくん」
大輪の花のような笑顔を浮かべて、首をコテッと傾げるミスティファー。
本来ならば、その笑顔にときめくはずが、今この時のロウドの背には寒気が走っていた。
『こ、怖い』
一番優しいと思っていたミスティファーだが、認識を改めた方が良さそうだ。
「この坊主を盾にする気か。まあ、パーティ内でどういう役割分担をするかは儂には関係ないからの。で、他にはいるもんあるのか?」
ダットンがパーティごとのやり方には口を出さんと己が立場を表明し、他に欲しいものは、と聞いてくる。
「あ、はい。兜はあるので、盾が欲しいです」
ロウドがミスティファーから目を逸らしつつ言うと、ダットンは陳列してある盾を物色し始めた。
「お前さんに持てそうな盾というと……前は何を使ってた?」
「凧型盾です」
ロウドの返事を聞いて、ダットンが取り出したのは、白銀に輝く凧型盾だった。
「あの~、もしかして、これって……」
「お前さんの考えてる通り、真銀製じゃ。値段は金貨五十枚」
またも手の届かない金額である。
断ろうとすると、横からミスティファーが、
「それも貰うわ」
と言ってきた。
泣きそうな目でミスティファーを見るロウドに、ダットンがトドメを刺す。
「後ろのメンツの盾になる以上は、徹底的に守りを固めるしかないじゃろ。となると、兜だけ普通というのもアレじゃから、ほれ」
と言って、白銀の兜を放ってくる。
それは奇しくも、元々被っていた兜と同じ兜であった。
まあ、グレイズ王国軍の一般兵士用に正式採用されている兜がバルビュータなだけなのだが。
「この真銀の兜、幾らなんですか?」
「そうじゃのう……まあ、金貨三十枚といったところかの」
兜ぐらいは自分の金で買おうとしたロウドであったが、あえなく希望は潰えた。
にこやかに笑みを浮かべ、
「じゃ、それも買うわ。ロウドくん、白金貨三枚に金貨八十枚分、頑張ってね」
と、ミスティファーが代金を支払いながらロウドに言った。
引き攣った笑みを顔に無理矢理浮かべ、
「はい、頑張ります」
と言うしかないロウド。
『ヴァルさんが、ミスティファーさんのことを怖がる理由が分かった気がする』
決して口に出さず、心の中でそう思うロウドだった。
ちなみにその様子を、竜鱗の鎧の調整を終えたヴァルが痛ましげに物陰から見ていた。
黒い板金鎧の調整を終え、白々しく出てきたヴァルと合流して、二階へと向かうロウド。
黒い板金鎧は確かに軽かった。
ダットンの言うとおり前着ていた普通の板金鎧よりも軽く、スムーズに動く事ができた。
「どうだ? ソイツの具合は?」
自分も買ったばかりの竜鱗の鎧の具合を確かめながら、ヴァルがロウドに聞いた。
かなり急な階段を登りながらロウドは答える。
「はい! 凄くいいです! 前の奴だったら、こんなにスイスイと階段登れなかった」
防具一式の値段のことを努めて忘れようと、明るく答えるロウド。
「そうか、ならいい」
ヴァルも空元気には気付いていたが敢えて突っ込まなかった。
二階は武器の階だ。
一階でもそうだったが、種々雑多な武器の数々に圧倒されるロウド。
「片手用の剣でいいのがないか、見ていくか」
「はい!」
剣のコーナーに入り、並んでいる品を見ていく。
両手用の大剣の類いはすっ飛ばして、片手用の剣の数々を眺めるロウド。
アレルヤ地方で普通に使われている両刃の直剣いわゆる長剣、ヴァルの父親の故郷リュカンナ地方で使われている反り身の片刃の新月刀、大きく湾曲した刀身の内側に刃が付いた奇妙な刀の湾曲刀等々。
と、そんな風にワクワクしながら見ていると、奇妙な物がロウドの視界に入る。
台の上に置かれた剣である。
刀身が片手用の長剣より心持ち長く、柄も半端な長さであることから片手半剣なのだろう。
鞘は黒い鋼に見事な金銀の象嵌細工が施され、柄頭には青い宝玉がはめ込まれていて、さぞかし名のある職人が手掛けた物だろうと推察された。
これが『奇妙な』と表現される理由は、鎖でグルグル巻きにされているのだ。抜くことができないように。
「なんだ、こりゃ?」
「鎖でグルグル巻きね、何なのかしら」
ロウドに続いて、ソレを見つけたヴァルとミスティファー。
「何なんでしょう、抜けないようにグルグル巻きにしてあるなんて」
ロウドの疑問に、
「呪いの掛かった魔剣とか?」
「馬鹿。そんな物、店に置いとくわけないでしょ。まあ、曰く付きなのは間違いないけど」
各々答えるヴァルとミスティファー。
ちなみに、この世界では魔力の篭もった魔剣はマナ・ソードと呼ばれる。
あーでもない、こーでもない、と三人が言っていると、後ろから声が掛かった。
「気になるか、ソレ?」
ロウドが振り向くとそこにいたのは、中年太りの腹、生え際の後退の目立つ灰色の髪、人の良さそうな福々しい顔 (目は笑ってない)といった風体の中年親父だった。
店主のボンタックだ。
「ボンタック、これ何?」
ヴァルが率直に聞く。
「迷宮の戦利品の魔剣だが?」
「いや、何で鎖で巻いてあるのかを聞いてんだよ。ヤバいもんなのか?」
ヴァルの問いに答えるボンタック。
「んにゃ、呪いの類いは掛かっとらんよ。ただ、ちょっとな……」
歯切れの悪い、その返答に眉をひそめるヴァル。
「これ、誰が売りに来たの?」
いつの間にかやって来たコーンズとイスカリオスのうち、コーンズが横から口を挟む。
「〈鋼の怒り〉の連中だよ」
「ナウマウんとこか。あそこなら剣使うのいねえから納得」
〈鋼の怒り〉とは、ドワーフの女戦士ナウマウが率いるドワーフのみで構成されたパーティだ。
〈自由なる翼〉と並ぶ力量で、銀等級昇格寸前である。
ドワーフなので当然、その武器は戦斧や戦鎚であり、魔剣など無用の長物。
「ナウマウが言うには、切れ味はそこそこいいらしい。が、問題はそこじゃない。まあ、気になるなら抜いてみな」
ボンタックがそう言うと、ロウドが足を踏み出し、曰く付きの魔剣を手に取った。
それを見て、非難めいた口調になるボンタック。
「おい、新人にやらせんのか?」
それに対して、ヴァルが答える。
「俺らの中で剣を使うのはいないって、アンタも知ってんだろ? 新顔のアイツだけなんだよ、剣を武器にしてんのは」
皆が見守る中、鎖をほどき、左手で鞘を持ち、右手で柄を持つロウド。
深呼吸して緊張をほぐし、意を決して鞘から抜く。
「やっと抜きおったか」
魔剣が喋った。
新しい装備 終了
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