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第4章 迷宮探索(ダンジョン・アタック)
第30話 これからについて
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「で、アナスタシアよ。お主、なんであんな所で捕まっておったのじゃ?」
「あ、そうそう。僕もそれ気になってたんだ」
食事を終え、美味しそうに食後の葡萄酒の水割りを飲んでいるアナスタシアに、オルフェリアが聞き、ロウドが同調する。
聞かれたアナスタシアは、言いたく無さそうにしばし目を泳がせていたが、ロウドの真っ直ぐな目を見て観念して歯切れ悪くポツポツと話し始めた。
「私は北方移民領の出身です。そこで先生に師事して錬金術を習いました」
林檎酒をちびちびと舐めるように飲みながら、黙って聞くロウド。
「ほう、北方移民領か。200年前のオルダネイ継承戦争の際に、難民が逃げ込んで開拓した土地じゃな」
オルフェリアの言葉に頷いて、続きを話すアナスタシア。
「はい、マーレ家の先祖もオルダネイ帝国の貴族だったとのこと。その地で、私は何年もの修行の末、やっと先生から御墨付きを貰いました。ですが、あの北の辺境の地では、まともな素材がありません。なので、授業と素材集めの旅に出ることにしたんです」
「ふ~ん。でも、なんでここに来たの?」
いつの間にか、テーブル脇に来ていたミスティファーが質問をする。
「あ、はい。この〈底無しの迷宮〉には色々な魔獣が出ると聞いていたので、色んな素材が手に入ると思って……」
アナスタシアの返事を最後まで聞かずに、ミスティファーは突っ込んだ。
「貴方、迷宮では、素材採れないの知らないの?」
「え? 嘘!」
「ホントよ。迷宮では、死体は黒い靄になって消えるから素材は採れないわよ」
「え~~!」
両頬に手を当て、口を開いて絶叫するアナスタシア。
絶叫に驚いて振り向き話を聞いて、アナスタシアを痛ましげな目で見る酒場内の冒険者たち。
絶叫しきった後、テーブルに突っ伏すアナスタシア。
「北方移民領には迷宮無いから知らなかった……」
「ま、迷宮職人ボータルも、あんな人の少ないとこに迷宮核をばら撒きはせんだろうからな」
アナスタシアのボヤキにツッコミを入れるオルフェリア。
「えと……ここに来た理由は分かりましたけど、なんで捕まってたんですか?」
ロウドの問いかけに、のろのろと顔を上げ、アナスタシアは口を開く。
「うんとね。ここに来たのはいいんだけど、冒険者さんたちに声かけるの怖くて……取りあえず、一階層ぐらいなら一人でも何とかなるだろって入ってったら捕まっちゃって。眠らされて気付いたら……」
「礼拝堂にいた、と?」
「はい……」
盛大に溜息をつく冒険者たち。
いくら何でも、後衛職一人で迷宮に入るなど無謀以外の何でもない。
「馬鹿としか言いようがないのう」
思わず洩れるオルフェリアのボヤキ。
「そういうこと言わないの(まあ、同感だけど)」
すかさずミスティファーが咎めたが、本心では同じ思いであった。
「うう~」
ツッコミを受けて泣きそうな顔になるアナスタシア。
「そうだね。接近戦の苦手な後衛系が一人で迷宮に入るなんて無謀にも程がある」
レモン水の入ったグラスを持ったイスカリオスがやって来て、キツい一言を口にする。
ますます縮こまるアナスタシア。顔がもう真っ赤になっている。
そんなアナスタシアの様子を見て助け船を出そうとするロウドだが、経験も少ない自分では何も言う資格が無いのではと、口を挟むことができなかった。
「それなら、俺たちんとこ入れてやりゃいいだろ」
コーンズがやって来た。その手には、よく冷えたラガーのつがれたジョッキ。
*麦酒のうち、常温で飲む物がエール、冷やして飲む物がラガー。この作品世界ではそうなっております。
「ロウドを仲間にしたんだ。あと一人ぐらい増えても問題ないだろ」
ジョッキを傾けてラガーを飲みながら、コーンズはミスティファーとイスカリオスに言った。
振り向いてコーンズを見上げるロウド。
そのロウドに向けて、コーンズは『分かってるって』と言わんばかりに片目のウインクを送る。
「え、で、でも、ご迷惑では?」
困惑するアナスタシア。
「別にいいぜ。コーンズの言うとおり、ロウドが良くてアナスタシアは駄目ってのは無いしな。ま、アナスタシア本人の意思次第だけどよ」
エールから砂糖黍の酒に切り替えたヴァルが、オブライエンやナウマウらと飲み交わしながら、声を飛ばしてきた。
こんな喧噪の中でも、仲間の話し合いを聞いていたらしい。
肩を竦めるミスティファー。
「頭目の許可が出たわね。で、どうする?」
アナスタシアに顔を向けて、本人の意思を問う。
考え込むアナスタシア。
それを期待を込めた表情で見詰めるロウド。
しばしの沈黙の後、口を開くアナスタシア。
「未熟者で皆さんの足を引っ張るかもしれませんが、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げるアナスタシア。
返事を聞いて、嬉しそうに破顔するロウド。
その頭の上にポンと手を置くコーンズ。
「ま、未熟者はここにもいるから、そんな畏まる必要はねえよ。それにウチのメンツは、上下関係こだわらんから大丈夫だぜ」
それに続くミスティファーとイスカリオス。
「そうね。頭目がいい加減だから、礼儀とかそんなのは考えなくていいわよ」
「異端宣告された魔術師がいるくらいだからね。〈自由なる翼〉は」
ロウドは頬を少し赤くしながら、
「ぼ、僕も入ったばかりの未熟者です。一緒に頑張りましょう!」
と目の前の錬金術師の娘に言った。
「はい! よろしくお願いします!」
にこやかな笑顔を見せるアナスタシア。
こうして、アナスタシアは〈自由なる翼〉に入ることになった。
「でも、これからどうする? 彼女の錬金術の素材集めをするなら、迷宮は不適切だ」
イスカリオスが、これからの方針を議題に上げる。
「そうね。まあ、ロウドくんに経験積ますのは別に迷宮じゃなくてもいいから、他のとこ行く?」
「それならバルトに行こうぜ」
コーンズの提案に首を傾げる他のメンツ。
「バルトだったら外国とも貿易してる港町だから、色々と珍しい素材とか手に入るんじゃね? それにアーサーたちの遺骨も故郷に連れ帰ってやりたいしよ」
グレタ攻防戦の後、あのゴブリンの巣穴に戻り、アーサーたちの遺体を回収。
麓の村で葬儀を済ませて火葬にし、遺骨の一部を持ってきていたのだ。
いつか故郷のバルトに帰そうと思って。
「アーサーさんたちは、バルトの出身なんですか?」
ロウドが、アーサーたちを思い出しながら言った。
いきなり同行を申し出た自分を快く受け入れてくれた彼ら。
洞窟の中で親身になって色々と教えてくれた優しき先輩冒険者 (一名除く)。
上位種の小鬼と魔人の騎士リーズによって殺されてしまった彼らだが、遺骨を故郷に帰せるなら、それはいいことだと思う。
「ああ、そうだよ。バルトで生まれ育った幼馴染みだって言ってた。あのクソ野郎のヤンソンも含めてな」
ヤンソンの名を出すときに顔を歪めるコーンズ。
ロウドとしても気持ちは分かる。
あの洞窟内での裏切りは忘れようとしても忘れられるものではない。
再会したら、篭手をはめた拳で顔面を思いっ切り殴ってやろうか、と思っている。
「バ、バルトって南方海に面した港町ですよね?」
目をキラキラさせているアナスタシア。
寒風が吹き荒れる北方海しか見たことの無いアナスタシアにとって、暖かな日差しに照らされた南方海は羨望の的であった。
口に出さないが、その表情が『行ってみたい』と如実に語っている。
「行きたいの?」
ミスティファーの言葉に、
「え、え~と……はい」
と口篭もりながらも答えるアナスタシア。
「ぼ、僕も海を見てみたいです」
ロウドもまだ見ぬ海に思いを馳せて言った。
内陸部にあるファグナー男爵領から出たことが無かったために、海を見たことが無いのだ。
「じゃ、決まりね。ヴァル! バルトに向かうわよ!」
飲んだくれているヴァルに、ミスティファーが怒鳴る。
「バルトな。了解!」
酒のジョッキを掲げて返事をするヴァル。
どちらが頭目だが分かったモノではない。
ともあれ、こうして次の目的地はバルトに決まった。
南の熱く眩しい陽光の元に建つグレイズ第二の都市だ。
これからについて 終了
「あ、そうそう。僕もそれ気になってたんだ」
食事を終え、美味しそうに食後の葡萄酒の水割りを飲んでいるアナスタシアに、オルフェリアが聞き、ロウドが同調する。
聞かれたアナスタシアは、言いたく無さそうにしばし目を泳がせていたが、ロウドの真っ直ぐな目を見て観念して歯切れ悪くポツポツと話し始めた。
「私は北方移民領の出身です。そこで先生に師事して錬金術を習いました」
林檎酒をちびちびと舐めるように飲みながら、黙って聞くロウド。
「ほう、北方移民領か。200年前のオルダネイ継承戦争の際に、難民が逃げ込んで開拓した土地じゃな」
オルフェリアの言葉に頷いて、続きを話すアナスタシア。
「はい、マーレ家の先祖もオルダネイ帝国の貴族だったとのこと。その地で、私は何年もの修行の末、やっと先生から御墨付きを貰いました。ですが、あの北の辺境の地では、まともな素材がありません。なので、授業と素材集めの旅に出ることにしたんです」
「ふ~ん。でも、なんでここに来たの?」
いつの間にか、テーブル脇に来ていたミスティファーが質問をする。
「あ、はい。この〈底無しの迷宮〉には色々な魔獣が出ると聞いていたので、色んな素材が手に入ると思って……」
アナスタシアの返事を最後まで聞かずに、ミスティファーは突っ込んだ。
「貴方、迷宮では、素材採れないの知らないの?」
「え? 嘘!」
「ホントよ。迷宮では、死体は黒い靄になって消えるから素材は採れないわよ」
「え~~!」
両頬に手を当て、口を開いて絶叫するアナスタシア。
絶叫に驚いて振り向き話を聞いて、アナスタシアを痛ましげな目で見る酒場内の冒険者たち。
絶叫しきった後、テーブルに突っ伏すアナスタシア。
「北方移民領には迷宮無いから知らなかった……」
「ま、迷宮職人ボータルも、あんな人の少ないとこに迷宮核をばら撒きはせんだろうからな」
アナスタシアのボヤキにツッコミを入れるオルフェリア。
「えと……ここに来た理由は分かりましたけど、なんで捕まってたんですか?」
ロウドの問いかけに、のろのろと顔を上げ、アナスタシアは口を開く。
「うんとね。ここに来たのはいいんだけど、冒険者さんたちに声かけるの怖くて……取りあえず、一階層ぐらいなら一人でも何とかなるだろって入ってったら捕まっちゃって。眠らされて気付いたら……」
「礼拝堂にいた、と?」
「はい……」
盛大に溜息をつく冒険者たち。
いくら何でも、後衛職一人で迷宮に入るなど無謀以外の何でもない。
「馬鹿としか言いようがないのう」
思わず洩れるオルフェリアのボヤキ。
「そういうこと言わないの(まあ、同感だけど)」
すかさずミスティファーが咎めたが、本心では同じ思いであった。
「うう~」
ツッコミを受けて泣きそうな顔になるアナスタシア。
「そうだね。接近戦の苦手な後衛系が一人で迷宮に入るなんて無謀にも程がある」
レモン水の入ったグラスを持ったイスカリオスがやって来て、キツい一言を口にする。
ますます縮こまるアナスタシア。顔がもう真っ赤になっている。
そんなアナスタシアの様子を見て助け船を出そうとするロウドだが、経験も少ない自分では何も言う資格が無いのではと、口を挟むことができなかった。
「それなら、俺たちんとこ入れてやりゃいいだろ」
コーンズがやって来た。その手には、よく冷えたラガーのつがれたジョッキ。
*麦酒のうち、常温で飲む物がエール、冷やして飲む物がラガー。この作品世界ではそうなっております。
「ロウドを仲間にしたんだ。あと一人ぐらい増えても問題ないだろ」
ジョッキを傾けてラガーを飲みながら、コーンズはミスティファーとイスカリオスに言った。
振り向いてコーンズを見上げるロウド。
そのロウドに向けて、コーンズは『分かってるって』と言わんばかりに片目のウインクを送る。
「え、で、でも、ご迷惑では?」
困惑するアナスタシア。
「別にいいぜ。コーンズの言うとおり、ロウドが良くてアナスタシアは駄目ってのは無いしな。ま、アナスタシア本人の意思次第だけどよ」
エールから砂糖黍の酒に切り替えたヴァルが、オブライエンやナウマウらと飲み交わしながら、声を飛ばしてきた。
こんな喧噪の中でも、仲間の話し合いを聞いていたらしい。
肩を竦めるミスティファー。
「頭目の許可が出たわね。で、どうする?」
アナスタシアに顔を向けて、本人の意思を問う。
考え込むアナスタシア。
それを期待を込めた表情で見詰めるロウド。
しばしの沈黙の後、口を開くアナスタシア。
「未熟者で皆さんの足を引っ張るかもしれませんが、よろしくお願いします」
そう言って頭を下げるアナスタシア。
返事を聞いて、嬉しそうに破顔するロウド。
その頭の上にポンと手を置くコーンズ。
「ま、未熟者はここにもいるから、そんな畏まる必要はねえよ。それにウチのメンツは、上下関係こだわらんから大丈夫だぜ」
それに続くミスティファーとイスカリオス。
「そうね。頭目がいい加減だから、礼儀とかそんなのは考えなくていいわよ」
「異端宣告された魔術師がいるくらいだからね。〈自由なる翼〉は」
ロウドは頬を少し赤くしながら、
「ぼ、僕も入ったばかりの未熟者です。一緒に頑張りましょう!」
と目の前の錬金術師の娘に言った。
「はい! よろしくお願いします!」
にこやかな笑顔を見せるアナスタシア。
こうして、アナスタシアは〈自由なる翼〉に入ることになった。
「でも、これからどうする? 彼女の錬金術の素材集めをするなら、迷宮は不適切だ」
イスカリオスが、これからの方針を議題に上げる。
「そうね。まあ、ロウドくんに経験積ますのは別に迷宮じゃなくてもいいから、他のとこ行く?」
「それならバルトに行こうぜ」
コーンズの提案に首を傾げる他のメンツ。
「バルトだったら外国とも貿易してる港町だから、色々と珍しい素材とか手に入るんじゃね? それにアーサーたちの遺骨も故郷に連れ帰ってやりたいしよ」
グレタ攻防戦の後、あのゴブリンの巣穴に戻り、アーサーたちの遺体を回収。
麓の村で葬儀を済ませて火葬にし、遺骨の一部を持ってきていたのだ。
いつか故郷のバルトに帰そうと思って。
「アーサーさんたちは、バルトの出身なんですか?」
ロウドが、アーサーたちを思い出しながら言った。
いきなり同行を申し出た自分を快く受け入れてくれた彼ら。
洞窟の中で親身になって色々と教えてくれた優しき先輩冒険者 (一名除く)。
上位種の小鬼と魔人の騎士リーズによって殺されてしまった彼らだが、遺骨を故郷に帰せるなら、それはいいことだと思う。
「ああ、そうだよ。バルトで生まれ育った幼馴染みだって言ってた。あのクソ野郎のヤンソンも含めてな」
ヤンソンの名を出すときに顔を歪めるコーンズ。
ロウドとしても気持ちは分かる。
あの洞窟内での裏切りは忘れようとしても忘れられるものではない。
再会したら、篭手をはめた拳で顔面を思いっ切り殴ってやろうか、と思っている。
「バ、バルトって南方海に面した港町ですよね?」
目をキラキラさせているアナスタシア。
寒風が吹き荒れる北方海しか見たことの無いアナスタシアにとって、暖かな日差しに照らされた南方海は羨望の的であった。
口に出さないが、その表情が『行ってみたい』と如実に語っている。
「行きたいの?」
ミスティファーの言葉に、
「え、え~と……はい」
と口篭もりながらも答えるアナスタシア。
「ぼ、僕も海を見てみたいです」
ロウドもまだ見ぬ海に思いを馳せて言った。
内陸部にあるファグナー男爵領から出たことが無かったために、海を見たことが無いのだ。
「じゃ、決まりね。ヴァル! バルトに向かうわよ!」
飲んだくれているヴァルに、ミスティファーが怒鳴る。
「バルトな。了解!」
酒のジョッキを掲げて返事をするヴァル。
どちらが頭目だが分かったモノではない。
ともあれ、こうして次の目的地はバルトに決まった。
南の熱く眩しい陽光の元に建つグレイズ第二の都市だ。
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