ブレイブス~田舎貴族の三男坊は英雄になれるか~

ハッシー

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第5章 悪徳の港町バルト

第45話 魔神の呪い

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「ヴァルさん、獣人種ゾアノスだったなんて……」

 見張りも逃げてしまい、縛られたまま広間の隅に置かれているロウドが呆然と呟く。

「ヴァルは、獣人種ゾアノスじゃねえよ。獣化症者ライカンスロープだ」

 ロウドの言葉を訂正するコーンズ。

 獣人種ゾアノスとは、獣と人の入り混じった姿を持った種族だ。
 犬(狼)類とか猫類とか、様々な種類が存在する。
 しかし彼らは日頃から半獣人の姿であり、人間態と獣人態を行き来することはない。
 その二つの形態を行き来するのは、獣化症ライカンスローピィを患った獣化症者ライカンスロープである。
 ヴァルがそうだと言うのだろうか。
 
「三人とも無事?」

 ミスティファーたちが、三人の所にやって来た。

「ええ、何とか……」

 ロウドがそう答えたとき、隣のアナスタシアにはエリザベスが飛びついていた。

「アナスタシア様! アナスタシア様! アナスタシア様! 私が所用でいないウチに旅に出られるなど! 何故ですか! 何故、このエリザベスめをお連れになって下さらなかったのですか?!」

 アナスタシアに抱きつき、涙を目に浮かべて詰問するエリザベス。

「ベ、ベス……ごめんね。でも、どうしても自分一人で旅をしてみたかったの」

 顔を少し引き攣らせながらも、可愛らしい外見の従僕しもべに謝罪するアナスタシア。

「あ、そうだ! そこです! なら何故、この者たちと一緒に旅をしているのですか!」
「え、え~と……迷宮都市ダンジョン・タウンマッセウでちょっとね……やっちゃって、一人旅が危険だと分かったの。だから、この人たちのパーティに入れて貰ったのよ」

 第一の従僕しもべたる自分を置いてったくせに何故、見ず知らずの者たちと行動を共にしているのか、と怒るメイドに言い訳する主人あるじ
 
「ならば私めも、一緒に行動させていただきます!」

 当然のことだ、と宣言し薄い胸を張る少女メイド。
 
「え、えと、それは……他の人にも聞いてみないと」

 従僕しもべの宣言に、慌てるアナスタシア。
 あくまでも自分は、皆の好意でパーティに入れて貰っているだけで、本来なら自分みたいな未熟者が入っていいパーティではないのだ。

「うん? 別にいいわよ。その子が役に立つのは先程見たしね」
「そうだね。ガン使いは珍しいし、背中のトランクは魔工学マナ・テク絡みのモノかな?」

 ロウドのロープを短刀ナイフで切りながら、軽く加入を許可するミスティファー。
 同じくコーンズのロープを切りながら、エリザベスのガンや背中のトランクに興味を抱くイスカリオス。
 愛すべき主人あるじのロープを切りながら、

「ご許可ありがとうございます。ええ、私のこの背中のトランクは、私が学んだ魔工学マナ・テクの技術で作り上げた特製トランクです」

 加入を認められたことに礼を言い、魔術師ソーサラーの言葉に又も薄い胸を張り答える少女メイド。
 
「アナスタシアが言っていた魔工学マナ・テクを学んだ知り合いというのは、キミのことか」

 ロープの痕を擦りながら立ち上がったロウドが言った。
 
「マーレ家に仕えし、アナスタシア様の第一の従僕しもべエリザベスと申します、以後よろしくお願い致します。お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」 

 値踏みするような目でロウドを見るエリゼベス。
 他家を訪問したときに良く感じた、その視線に懐かしいモノを覚えながら、ロウドは背筋を伸ばして答えた。

「グレイス王国ファグナー男爵家現当主エドワード・ファグナーの末弟、ロウド・ファグナーです。以後よろしく、エリザベス」

 貴族として他家のメイドに接するように答えるロウド。
 この言葉に驚いたのが、アナスタシア。

「え? ロウドくんってグレイスの貴族なの?」

 え、それ今更言うの? という目でアナスタシアを見る他のメンツ。

家名ファミリー・ネーム持ってる時点で貴族だとわかるでしょ、普通。貴方の家だって、オルダネイ帝国の貴族の血を引いてるから、マーレ家を名乗っているのだから」

 呆れたように呟くミスティファー。

「あ、そうか。そうですよね。あまりロウドくん、貴族のお坊ちゃまっぽくないから、つい」

 申し訳なさそうにロウドに視線を送りながら言うアナスタシア。

「ま、ロウドくんが貴族のお坊ちゃまっぽくないってのは同意。世間知らずではあるけど、貴族特有の嫌味が無いからね」

 イスカリオスがアナスタシアをフォローする。

「いや、まあ、どうせ後を継げない三男坊でしたからね。好きにやらせて貰えましたよ。剣術とか馬術とか。後継ぎのエドワード兄さんは貴族としての教育を詰め込まれてたみたいですけど」

 ロウドが頭を搔きながら言っていると、その腰から発せられる声があった。
 腰にはいつの間にか、オルフェリアが差されている。
 主の元に転移する機能でもあるのか。

「この魔力マナの波長、お主は!」

 その声はエリザベスに向けられているようだ。
 それを受けて、スカートの裾を摘まみ両側に広げて膝を折りお辞儀をして、挨拶する少女メイド。

「お久し振りでございます、オルフェリア様。七十年ほど前に魔族ダークワンに封印されたと聞き及んでおりましたが、ご壮健で何より。わたくしエリザベスと名乗っておりますので、以後そうお呼びください」

 釘を刺すかのような言葉に不承不承ながらも承諾の意を示すオルフェリア。

「エリザベスのう……まあ、良かろう。しかし、お主がいるということは、この娘は……」
「オルフェリア様。そこに突っ込むと、色々と面倒なことになりますので」

 又も釘を刺すエリザベス。

「はあ……まあ、今頃言っても詮無きことか。これ以上は言わんでおこう」

 メイド少女と知性持つ魔剣インテリジェンス・ソードの謎の会話に目を白黒させる一同。
 
「あのう、オルフェリア? この子と知り合いなの? でも、オルフェリアって七十年前に封印されたんだよね?」

 ロウドは恐る恐る聞く。
 そんな使い手に答える魔剣マナ・ソード

「ああ、知り合いじゃ。そうか、お主ら、此奴こやつを見た目通りの年齢としだと思っとるのか。ほらエリザベス、説明してやれ」

 催促を受けて、自分の説明をするエリザベス。

わたくしは百十四年ほど前に魔工学マナ・テクの創始者ベルモントによって作られた自動人形オートマタでございます」

 その説明に驚く一同。
 自動人形オートマタ。それは魔工学マナ・テクノロジーによって作られる人型の機械だ。
 魔族ダークワン呪術マギによって作られる呪人形ゴーレムとは似て非なるモノである。
 七十年ほど前の第五十二次人魔戦役では、北方移民領より北の、大樹海と北方海に挟まれた狭い区域にて、北の大河ノーリカを下ってきた呪人形ゴーレムの大軍とそれを迎え撃つ戦闘用自動人形オートマタの軍勢がぶつかり合った。
 命無き操り人形が互いを潰し合う悲惨な戦場。
 以後、その区域は人形の墓場パペット・セメタリーと呼ばれて、残骸拾いを生業とする者以外は立ち寄る者もいない。
 
自動人形オートマタにしては、人そっくりだし感情もあるように見えるけど……」

 大貴族の家で自動人形オートマタを見たことのあるロウドが疑問を口にする。
 そう、そこで召使いとして使われていた自動人形オートマタは、金属の肌が剥き出しだったし、無感情に応対するだけだったのである。
 目の前のエリザベスのように、人と見紛う外見や感情があるとしか思えない受け答えなど考えられはしないのだ。

「それは当然です。わたくしは、ベルモントが精魂込めて作り上げた最初の作品オリジナルですから。今出回っているのは、量産のためにデチューンというかダウンサイジングした代物です」

 と、言外に自分以外の自動人形オートマタなど比較対象にすらならない安物であると言ってのけるエリザベス。

「最初の自動人形オートマタ……」

 興味深げにエリザベスを見るイスカリオス。
 と、そこにコーンズが割って入る。

「このメイドっ子に関しては後ででいいだろ! 今はアレ、何とかしなきゃ!」

 そう言って指差すは、蠍尾獅子マンティコアと血みどろの格闘をしている獣人である。

「そ、そうだった。でも何で呪いの封印解けてんのよ。リリアナさんが月と知識の神の加護で封印してるはずでしょ?!」

 暴れ回る獣人ヴァルを見て、コーンズに詰め寄るミスティファー。

「それが……」

 コーンズの説明が始まる。

    *   *   *

 舶刀カトラスを突きつけられた三人を横目に見ながら、蠍尾獅子マンティコアの待つ檻に入るヴァル。
 ヴァルが入ると扉が閉められ、外から鍵がかけられた。
 魔獣モンスター蠍尾獅子マンティコア用の檻だけあって格子は太く、力自慢のヴァルでも曲げることは不可能であろう。
 蠍尾獅子マンティコアに殺されて死体となって出るか、逆に蠍尾獅子マンティコアを倒すか、しかない。
 しかし、ここにいる紳士淑女の皆様はヴァルが殺されるのを楽しみにしていると思うので、勝ってしまった場合、無事に檻から出ることはできないだろう。
 このままでは、どちらに転んでもヴァルが死ぬことは確定的。

「面倒なことになった……それにしても頼りねえなぁ、コレ」

 手にした新月蛮刀シャムシールを振り回して具合を確かめるヴァル。
 新月刀シミターの刃を延長した両手用刀剣。
 切れ味を重視した反り身の刃の武器だが、ヴァルからすると正直言って、刃の部分が薄くて頼りなく見えるのだ。
 普段使っているモノがモノだけに、どうしても普通の刀剣類は頼りなく思えてしまう。
 幼少の頃より父親の大鬼殺しオーガ・キラーを引き継ぐべく鍛錬をしてきた。それ故の弊害と言えよう。
 だが、今はこれを使うしかない。
 
「があ!」

 一声吠えて襲いかかってくる蠍尾獅子マンティコア
 振り下ろされた前脚の鉤爪を躱したヴァルの視界の隅に何かが映った。
 反射的に新月蛮刀シャムシールで受ける。それは蠍の尾。
 鉤爪を囮に太い蠍の尾で仕留めようとしたのだ。
 
「ちぃっ! 本能なのかどうか分からんが、いやらしいやり方すんなぁ」

 独りごち尾を払って、バックステップ。
 蠍尾獅子マンティコアの攻方法は三つ。
 牙の生え揃った口での噛み付き、前脚の鉤爪、蠍の尾。
 人を遥かに凌ぐ大型四足獣の体躯も脅威である。
 正直言って、使い慣れない武器を使ってタイマンしたい相手ではない。
 
「それでも、やるしかない」

 そう言って蠍尾獅子マンティコアの顔を睨みつけながら、新月蛮刀シャムシールを構えるヴァル。
 一進一退の戦いが続いた。
 鉤爪の痕が剥き出しの腕に幾筋も刻まれ、新月蛮刀シャムシールは刃の半ばほどで折れている。
 蠍の尾を何度か受けているウチに折れてしまったのだ。
 対して、蠍尾獅子マンティコアは、体の様々な部分が切られており、そこからの出血が茶色の体を赤く染めていた。
 しかし深手を負っている様子はなく、元気に力強く蠍尾を振り回して、ヴァルの隙を窺っている。
 
「ちっ……こっちは武器無し、あっちは浅手か。ヤベえな」

 半ばで折れた剣を蠍尾獅子マンティコアに向けながら、これからどう動くかを考えるヴァル。
 
「もう終わったな、あの男も。武器無しでは戦えねえだろ。大鬼殺しオーガ・キラーの息子と言うから、期待したんだが」

 特大のクッションに寝転がり、骨付きの何かの腿肉を手掴みでくっちゃくっちゃと汚らしく食べていたドルネイが、玩具に飽きた子供のように呟く。
 その脇に侍る美女リーラが、コロコロと鈴を鳴らすよう声で追随する。

「そうね。ヤンソンがなんか買ってたみたいだから楽しみにしてたんだけど、期待外れだったわ」

 そう言って、広間の隅のヤンソンの方に視線を送る。
 そのヤンソンは、元修行仲間の死闘を手を握り締めながら見ていた。
 
「いや~、まだ分かりませんよ」

 クッションの脇に立っているギーンが、笑みを浮かべながら言った。

「があ!」

 睨み合いに焦れた蠍尾獅子マンティコアが飛びかかってきた。
 それを左にサイドステップすることで躱し、折れた剣を首筋に突き立てる。
 耳障りな悲鳴を上げながらも蠍尾を繰り出す蠍尾獅子マンティコア
 腹を狙ってきたソレを渾身の蹴りで弾き飛ばし、首筋に埋めた剣の柄を両手で握って押し込む。

「げぇやや!」

 首から血を吹き出しながら暴れる蠍尾獅子マンティコア
 鉤爪付きの前脚が襲ってきたので、柄から手を離して飛び退るヴァル。
 頭ギリギリを前脚が通り、髪の毛数本が刃のような鉤爪に持っていかれた。
 
「ひゅう。危ねえ、危ねえ」

 冷や汗をかきながら、蠍尾獅子マンティコアから距離を取るヴァル。
 あの首筋からの出血、太い血管をやったに違いない。
 後は上手く逃げ回って失血死するのを待てばいい。
 普段は狂戦士バーサーカーなような戦いをするヴァルだが、やろうと思えばクレバーな戦い方もできるのだ。
 他の仲間のサポートがある普段ならともかく、こんな孤軍奮闘しなければならない状況、しかも仲間が人質に取られているような時に無茶はできない。
 ひたすら檻の中を隅に追い込まれないように逃げ回るヴァル。
 首筋から大量の出血をしながら追いかけ回す蠍尾獅子マンティコア
 端から見ると極めて面白くない展開に不満をこぼすドルネイ。

「つまらんな、おい。人質、一人ぐらい殺して焚きつけるか。逃げてんじゃねえって」

 物騒なことを言う首領ドンに、あの本性が透けて見える笑みを向け、

「そうですね。このまま出血多量で死ぬまで逃げ回るんじゃ面白くない。彼にはもう少し気張ってもらいましょう」

 そう言って、右手を檻の方へと向けて伸ばすギーン。

「さあ、パッサカリアの残り火よ。我が力を得て再び燃え盛れ! 月の封印など打ち破るが良い!」

 ヴァルの体が震えだした。
 首筋の肌に月光の如き青白き光に包まれた禍々しき印が浮かび上がる。
 ソレは脈動するかのように赤く点滅を始めて、青白き光を浸食していく。

「あが! あがあああ!」

 首筋の印を押さえて地面に倒れ、転がり回るヴァル。
 全身の筋肉は強張り、血管が浮き出ており、嫌な脂汗が滝のように流れて、ヴァルの全身を濡らしていた。
 そして、青白き光は赤い脈動に食われて完全に消える。

「おあああ!」

 叫びと共に変化が始まる。
 体が一回り膨張し、その内圧に耐えかねて鎖帷子チェイン・メイルは弾け飛んだ。
 異常発達した筋肉の表面を漆黒の毛が覆っていく。
 口には牙が生え揃い、瞳は黒から深紅へと変わる。
 
「ぐあああ!」

 漆黒の獣人が雄叫びを上げた。

    *   *   *

「は? そのギーンとかいう奴が、リリアナさんの掛けた月の神の封印を解いて、パッサカリアの呪いを活性化させたって言うの?」

 説明を聞いたミスティファーが頭を抱える。
 
「自分で見てて信じられないけど、そうとしか思えない」
 
 コーンズは苦い表情で呟く。

「あの……コ、コーンズ。呪いって?」

 恐る恐る聞いてきたロウドを横目でチラと見ながら、説明を始めるコーンズ。

魔神殺しデモン・スレイヤーの四英雄のウチ、牢獄のパッサカリアにトドメを刺したのはリリアナさんなんだよ。で、奴は断末魔に呪いを放ったんだ。獣化の呪いを……だけど、月の神様の加護を持つリリアナさんには効かないではね除けられ、息子であるヴァルに取り憑いたって訳」
「ソレがアレ?」

 暴れ回る獣人ヴァルを見ながら、呆然と呟くロウド。

「そうだ。幼い息子に呪いが憑いたことにリリアナさんは嘆き、月の神様に祈った。そして、その加護の元、獣化の呪いは封印された」
「神様の力を借りた封印を解いたってこと? あのギーンって奴が?」
「そういうこと……何者なんだよ、あのギーンって野郎」

 暴れるヴァルを、楽しそうにニヤニヤと笑いながら見ているギーンを睨みつけるコーンズ。
 神の封印すら破ったギーンの正体が分からず沈黙する一同の耳に、オルフェリアの声が届く。

「月の神の封印を解いても不思議はない。アイツは人ではないのだから。アイツは魔神デモンの一柱、道化師フッカーじゃ」


魔神の呪い  終了
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