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殺気を込めて睨まなかっただけ褒めてほしい。
メルルーナ公爵家に仕えるものは皆、イソベルに殺意を抱いている。
ウォルドからすれば、イソベルの執着は迷惑としか言いようがない。
騎士として最低限の仕事はしたが、イソベルに気に入られようと思ったことなどないし、愛想を振りまいた覚えもない。むしろいつも不機嫌を表に出さないよう無表情だった。
たしかに側妃の暗殺者を壊滅させた。部屋に虫が投げ込まれようが矢が投げ込まれようがイソベルの目に付く前に処理してきた。
だがそれは護衛として最低限の仕事だ。それを評価されたとしてもなんとも思わないし、主の前で引き抜きを持ち掛けられた事には怒りしかない。
この、ゾンビ並みにメンタルが強い男の心を折るにはどうすればいいだろうか。ただ断るだけではだめだろう。
ウォルドはイソベルを無視してアマーリエの前に跪いた。
そしてアマーリエに剣を捧げる。
「我が忠誠は、アマーリエ様のもの」
アマーリエとウォルドが見つめ合う。その間には確かな信頼が見えた。
そんなウォルドをイソベルはあっけにとられた顔で見ている。こっぴどくフラれたことにも気づいていないようだ。
ウォルドはアマーリエに目で問いかける。こいつ、ヤっちゃっていいですか。
アマーリエは笑いを堪えて頷いた。
ウォルドは立ち上がると、腰がくだけたままのイソベルへとゆっくりと近寄る。
「我が主を害する者に向けるのは、剣のみ」
そして剣を抜き、剣先をイソベルの鼻づらに突きつけた。
「ひっ」
間近で真剣を見ることになり、イソベルが小さな悲鳴を上げる。
なんで、どうしてウォルドが俺に剣を向けているんだ。ウォルドは俺を守るんじゃなかったのか。
「ウォルド、なんで」
「我が主を傷つけた貴様は我が敵だ。二度と主の前に顔を出すな」
鼻先に突き付けられた剣がイソベルの心臓を突き刺す。
実際には殺気を当てられただけだったが、イソベルは確かに心臓を貫かれたと感じた。
息が止まる。そして戻るとせき込んだ。
「ひぅ、がはっ、ごほっ」
恐ろしさに体がぶるぶると震える。冷や汗がだらだらとながれ、身体の自由がまったくきかない。
身体に力がまったく入らず、イソベルは床に倒れ込んでいた。
だがそれ以上に精神的なダメージが大きい。
いつも守ってくれていたウォルドに剣を向けられたのだ。もう自分を守ってくれる人はいない。
イソベルは震えながら涙を流した。
「ずいぶん面白そうなことをしているな」
玄関ホールにある応接室には、応接室を監視するための続きの間がある。
そこで一部始終を眺めていたアレクシアの後ろから、帰宅した公爵が声をかけた。
「あら、貴方」
おかえりなさい、と二人はハグをする。
「追い払うか」
愛妻を抱えたまま、公爵は害虫でも見るようにイソベルを一瞥した。
「その必要もないでしょう。ほら」
応接室を見ると腰を抜かした第一王子が泣きながら王宮の近衛兵に回収されていった。
メルルーナ公爵家に仕えるものは皆、イソベルに殺意を抱いている。
ウォルドからすれば、イソベルの執着は迷惑としか言いようがない。
騎士として最低限の仕事はしたが、イソベルに気に入られようと思ったことなどないし、愛想を振りまいた覚えもない。むしろいつも不機嫌を表に出さないよう無表情だった。
たしかに側妃の暗殺者を壊滅させた。部屋に虫が投げ込まれようが矢が投げ込まれようがイソベルの目に付く前に処理してきた。
だがそれは護衛として最低限の仕事だ。それを評価されたとしてもなんとも思わないし、主の前で引き抜きを持ち掛けられた事には怒りしかない。
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そしてアマーリエに剣を捧げる。
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そんなウォルドをイソベルはあっけにとられた顔で見ている。こっぴどくフラれたことにも気づいていないようだ。
ウォルドはアマーリエに目で問いかける。こいつ、ヤっちゃっていいですか。
アマーリエは笑いを堪えて頷いた。
ウォルドは立ち上がると、腰がくだけたままのイソベルへとゆっくりと近寄る。
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そして剣を抜き、剣先をイソベルの鼻づらに突きつけた。
「ひっ」
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なんで、どうしてウォルドが俺に剣を向けているんだ。ウォルドは俺を守るんじゃなかったのか。
「ウォルド、なんで」
「我が主を傷つけた貴様は我が敵だ。二度と主の前に顔を出すな」
鼻先に突き付けられた剣がイソベルの心臓を突き刺す。
実際には殺気を当てられただけだったが、イソベルは確かに心臓を貫かれたと感じた。
息が止まる。そして戻るとせき込んだ。
「ひぅ、がはっ、ごほっ」
恐ろしさに体がぶるぶると震える。冷や汗がだらだらとながれ、身体の自由がまったくきかない。
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だがそれ以上に精神的なダメージが大きい。
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そこで一部始終を眺めていたアレクシアの後ろから、帰宅した公爵が声をかけた。
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