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第3章『冒険者の街アーバン』
森を抜けて
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……やっぱりエルフって凄いな。俺達は今、森の中を移動している。だけど普通だったら歩みが遅くなってしまうような森の中でも、何の苦もなくササッと進んでいた。
「今日中に森を抜けるわよ!そこまで行ったらテントを張って野営ね!!」
「そうですね、かなり距離はありますが今日の夕方には森を抜けられるでしょう」
「……森の中だと、テントを張るのが大変。それに魔物が急に襲ってきても対応が難しいから、それで良いと思う」
……野宿か。森の中でそんなことをしたら魔物だけじゃなくて虫、特に毒虫とかに刺されてしまうかもしれない。まあ俺は芋虫なんだけどな。……自分で言ったことだが、なんだか傷ついたので自虐ネタはもうよしておこう。
一応俺は[毒消し]を使えるというか、分泌できる。だが刺されたら痛いだろうし、もしかしたら[毒消し]が通用しないような猛毒を食らってしまうかもしれない。だから、刺されないに越したことはないだろう。
それにしても……何にも起きないな。何にもやることがないので、エルフの里で食べた料理やリーダーとゴブリンキングの戦闘シーンを思い出したりしていた。だが、いい加減それにも飽きてしまったな。
……俺は今までこういう旅には魔物の襲撃とか、盗賊が襲ってくるみたいなハプニングが起きるのがお約束の展開だと思っていた。しかし実際は魔物がいたら戦闘にならないように迂回して進んでいくし、そもそもこんな森の中に盗賊がいるだろうか?俺が盗賊だったら、よく馬車が通るような街道沿いで待ち伏せするだろう。
エルフを拐いにくるかもしれない?アーシャ達はランク:D+のホブゴブリンの集団を倒していた、つまり既に一人前の冒険者ぐらいの強さは持っている。さらに森はエルフのホームグラウンドだ。戦力で劣るのにさらに地の利もない、無い無い尽くしだ。というわけで、エルフの里を襲うのは自殺行為であるといえるだろう。
結局俺が言いたいことは、とっても退屈だってことだ。何か役割があるならまだしも、今の俺はアーシャに掴まって運んで貰っているだけだ。何もないことが悪いわけではない、寧ろ良いことだと言える。何か暇つぶしにできることはないだろうか?
…… [状態異常耐性]のレベル上げをしよう。やり方はとっても簡単だ、[毒薬]を飲むだけ。口の中で分泌すればアーシャに掛けてしまうことはないだろうし、何より今できるのはこれぐらいしかない。よし、やってみよう。
……苦い。スキルを使った瞬間、なんとも言えない蘞味が口の中に広がった。苦いだけでなく渋い、そして少しすると舌がヒリヒリしてきた。
体調が悪くなってきたが、さっきよりはマシだな。この苦しみに耐えることで強くなれると思うと、なんだか気分が良くなってきた。気持ち良くはない、断じてない。新しい扉を開いてしまったわけでは……ないと思う。
俺は目的地に着くまでこまめにステータスを確認してHPが減ってきたら[回復薬]、そして[毒薬]も時々使いながら時間を消費していった。
「……やったわ。やっと森を抜けられたわ!」
おー、森の外に出られたのか。……見渡す限りどこまでも草原が続いている、そして見える範囲にあるのは疎らに生えている木だけだった。これは……[毒薬]我慢大会、延長戦の予感がするな。
「疲れましたね、テントを張るのは少し休憩してからにしましょうか」
「……荷物があったらもっと疲れていた筈。ありがとう、ネラ」
「そうね!ネラ、ありがと!!」
「ありがとうございます。ネラのお陰で体力を温存できました」
……[アイテムボックス]を持っていて良かった。こんなに褒めて貰えるなんて、今の俺でも役に立っていたことが分かってかなり嬉しい。
『どういたしまして。ところで、……どこにテントを張るんだ?』
「うーん、少し森から離れた場所にしようかしら?」
『分かった』
今夜のご飯は何だろうか?バーベキューとかだったらいいな。毎日だったら飽きるけど、たまになら楽しいだろう。
今更だがエルフは1日2食しか食べない。俺は毎日3食欠かさずに食べていたので少し物足りないが、それでも十分ありがたいと思っている。
「今日中に森を抜けるわよ!そこまで行ったらテントを張って野営ね!!」
「そうですね、かなり距離はありますが今日の夕方には森を抜けられるでしょう」
「……森の中だと、テントを張るのが大変。それに魔物が急に襲ってきても対応が難しいから、それで良いと思う」
……野宿か。森の中でそんなことをしたら魔物だけじゃなくて虫、特に毒虫とかに刺されてしまうかもしれない。まあ俺は芋虫なんだけどな。……自分で言ったことだが、なんだか傷ついたので自虐ネタはもうよしておこう。
一応俺は[毒消し]を使えるというか、分泌できる。だが刺されたら痛いだろうし、もしかしたら[毒消し]が通用しないような猛毒を食らってしまうかもしれない。だから、刺されないに越したことはないだろう。
それにしても……何にも起きないな。何にもやることがないので、エルフの里で食べた料理やリーダーとゴブリンキングの戦闘シーンを思い出したりしていた。だが、いい加減それにも飽きてしまったな。
……俺は今までこういう旅には魔物の襲撃とか、盗賊が襲ってくるみたいなハプニングが起きるのがお約束の展開だと思っていた。しかし実際は魔物がいたら戦闘にならないように迂回して進んでいくし、そもそもこんな森の中に盗賊がいるだろうか?俺が盗賊だったら、よく馬車が通るような街道沿いで待ち伏せするだろう。
エルフを拐いにくるかもしれない?アーシャ達はランク:D+のホブゴブリンの集団を倒していた、つまり既に一人前の冒険者ぐらいの強さは持っている。さらに森はエルフのホームグラウンドだ。戦力で劣るのにさらに地の利もない、無い無い尽くしだ。というわけで、エルフの里を襲うのは自殺行為であるといえるだろう。
結局俺が言いたいことは、とっても退屈だってことだ。何か役割があるならまだしも、今の俺はアーシャに掴まって運んで貰っているだけだ。何もないことが悪いわけではない、寧ろ良いことだと言える。何か暇つぶしにできることはないだろうか?
…… [状態異常耐性]のレベル上げをしよう。やり方はとっても簡単だ、[毒薬]を飲むだけ。口の中で分泌すればアーシャに掛けてしまうことはないだろうし、何より今できるのはこれぐらいしかない。よし、やってみよう。
……苦い。スキルを使った瞬間、なんとも言えない蘞味が口の中に広がった。苦いだけでなく渋い、そして少しすると舌がヒリヒリしてきた。
体調が悪くなってきたが、さっきよりはマシだな。この苦しみに耐えることで強くなれると思うと、なんだか気分が良くなってきた。気持ち良くはない、断じてない。新しい扉を開いてしまったわけでは……ないと思う。
俺は目的地に着くまでこまめにステータスを確認してHPが減ってきたら[回復薬]、そして[毒薬]も時々使いながら時間を消費していった。
「……やったわ。やっと森を抜けられたわ!」
おー、森の外に出られたのか。……見渡す限りどこまでも草原が続いている、そして見える範囲にあるのは疎らに生えている木だけだった。これは……[毒薬]我慢大会、延長戦の予感がするな。
「疲れましたね、テントを張るのは少し休憩してからにしましょうか」
「……荷物があったらもっと疲れていた筈。ありがとう、ネラ」
「そうね!ネラ、ありがと!!」
「ありがとうございます。ネラのお陰で体力を温存できました」
……[アイテムボックス]を持っていて良かった。こんなに褒めて貰えるなんて、今の俺でも役に立っていたことが分かってかなり嬉しい。
『どういたしまして。ところで、……どこにテントを張るんだ?』
「うーん、少し森から離れた場所にしようかしら?」
『分かった』
今夜のご飯は何だろうか?バーベキューとかだったらいいな。毎日だったら飽きるけど、たまになら楽しいだろう。
今更だがエルフは1日2食しか食べない。俺は毎日3食欠かさずに食べていたので少し物足りないが、それでも十分ありがたいと思っている。
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